奪還作戦 7
バルカン、ヒナ視点
ギリギリで避けられるくらいのあきらかに加減された攻撃、何故か一気に来ない、でも避けるのに精一杯という嬲りもの状態にされてどれくらいたっただろうか、突然攻撃が止む
『………?』
少し離れたところにいるバアルの方を見るといつのまにか仲間らしきモノが立っていた、山羊の顔で執事のような格好をしてる
『申し訳ないけど、ここまでのようだから勝負は預けるよ』
勝負にはなってはいなかったのだけど、山羊顔と一緒に飛んであっという間にいなくなったバアル
思い出したかのように力が抜けてその場に崩れ落ちると、周りを見渡して見ても動く者はいない、さっきまでの戦闘が嘘のように静かな森、生き残ったのが不思議なくらいにでこぼこになった地面がさっきまでの事が夢ではなかったことを物語る
巻き込まれないように離れた位置にある、夜営地にいた部隊に連絡を入れると、先行気味に突っ込んだ部隊も含めて全員無事という妙な報告が返ってきた
報告をまとめると、自分みたいに多少怪我をしたのがいるが人的被害はゼロ、人形は全部バラバラ、敵部隊も周りには居ない
作戦が成功なんだか失敗なんだかわからない状況、他のチームとは連絡が取れないが夜の強行軍は出来ないので今日は一旦引くほかない
リューイ達が上手く行ってる事を祈りながらも夜営地へと帰還するしかなかった
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
『いきなりね、女だから何?』
男の攻撃をかわしながら、理由をたずねる
『俺の仇をとるためだ、、、俺は女に殺されたんだよ、恋人に裏切られて』
いったん距離をとって剣を腰辺りで居合いのような構えをしながら男が答える
『殺されたって、、、!?』
男の言ってる事が理解できなくて、さらに聞こうとしたところに背後に魔力を感じてとっさに横へとずれる
今までいた場所を何かが通りすぎていった、同時に男が突っ込んでくるのが見えた
『もらったぁ』
空中の見えない何かを踏むようにとびあがって一気に剣を振り下ろしてくる
『………くぅ』
崩れた態勢を立て直せていないから避けられないので、できるだけ威力をころそうと、受け流しを試みるも体重の乗った上からの一撃を完全には捌ききれずにいったん受けとめるも肩に刃が埋まっていく
“爆発”、完全に切断される前に火魔術を至近距離で放った、こっちにもダメージが来て双方吹き飛び、距離をとることには成功した
『やってくれたな』
相手の腕もだらんと落ちてるところを見ると相当ダメージは入ったみたいだ
こっちのダメージも深刻で、すでに起き上がってる男に対して身体を向けるのが精一杯で回復薬を急いで使おうとしてるが、相手の方がはやそうだ
『消してやる』
男の魔力が膨れあがったかのように濃密に集まってくると、嵐のような渦をバスケットボールくらいの大きさに固定してしまった
回復薬を使用して、よろけながらもなんとか立ち上がった時には嵐玉がこちらに放たれていた
『……えっ?』
こちらにむかいながら明滅を繰返し、次第に速くなっていく間隔で爆発するんだなってのはなんとなく理解できた、回避しなきゃと思うが玉が吸い寄せているのかだんだんと引っ張られるような力が加わる
逃げれずに玉に当たる寸前、もうダメだと衝撃に備えようとした時に何かが間に割り込んできた
割り込んできたモノは玉に当たると爆発した、上方へと向かう強風に逆らえずに舞い上がる、次いで目をあけてられないくらいに光った
『被害が大きくなるから準備なしでは使うなって言ってあっただろう?』
目の前の爆風に耐えながら声のした方を見ると、角を生やした何かがいた