奪還作戦 6
ヒナ視点
『ーだろう?』
進み易くなってペースをあげていると声が聞こえてきた、近くに誰かいるようだ
警戒しながら慎重に歩を進めると、通路の先は広めの空間があるようだ
角から中の様子をうかがうと10畳くらいの広さの部屋の中央に天井を突き破り生えてきたであろう植物、真ん中辺りが膨らんでいて顔のようなモノがある
そして植物に話しかける男、灰色のローブを纏い、中の装備はわからない
通信してるのか、植物に知性があるのかはわからないが男が喋っている、独り言の多い危ない奴って可能性も少しあるが
部屋の奥の方に階段が見えたので、登れば城に突入できるところまできたみたい、戦いになっても良いようにスキルの入れ換えをしてから身体強化のスキルを使う
『終わったら知らせてくれ』
気配を殺しながら近づいていくと、話終わったのか男がこちらに背を向けて階段へと歩きだす
植物の陰に隠れて部屋から出て行くのを見送り、改めて部屋の中を調べる、植物だけの何もない部屋には男が喋っていた相手につながるようなモノなどない
植物に知性があってさっきの男に何かを命じられてやっているのが濃厚である、城を取り戻した後にこんな植物があっても困るだろうから燃やしてしまおう
『炎よ』
『ダ……レ……ダ』
火魔術で剣を作り下の方を薙ぎ払う、集めた精霊に反応したのか植物が声を出したが構わずに攻撃していく
身体を燃やされながらも鞭のようにしならせた蔦で反撃してくるのを間に土魔術で壁を作り防ぐ
一瞬の間をあけて壁が崩れて蔦が伸びてくる
『ムダ……ダ』
根っこのような部分から精霊を吸収していたように土魔術を無効化されたようだ
『ふーん、物理主体でやれば良いわけよね?』
近づいてくる蔦を剣で切り飛ばし、インベントリからハンドアクスを取り出し頭?部分へと投げつける
蔦でハンドアクスを防ごうとしたのを見て、次々とハンドアクスを取り出し投げる
守ろうとしたってことは物理には弱いんだろう、天井部分へと突き刺さった斧が勢いよく切り裂き植物が倒れる
炎の剣の方で切り裂いた下部分が勢いよく燃えはじめたから精霊の吸収も出来なくなったようだ
ほどなくして砕けるようなエフェクトがおこりの欠片となって消えた、ドロップアイテム神魔樹の種を手に入れたというメッセージを消しながらひといきつく
『さて、行きましょうか』
時間的には頃合だろう、階段へと向かう
『誰だ、テメェ』
階段から誰か降りてきながら切りつけてくるのをギリギリでかわせた
『聞いておきながら切りつけてくるってのはどうなのかしら?』
『お前、女だろう、、、女はみんな敵だ!!』
昔にひどい目にあったのか女ってだけで敵視してくる目の前の重装備の男、敵意剥出しでこちらを睨みつける目には憎しみの炎が揺らめいていた




