奪還作戦 5
大きめの火球が複数着弾して轟音とともに、叫び声が爆風とともに流れて来る
『順調ですね、恐ろしいくらいにきれいにはまってます』
若い士官が声をかけてくる
『あぁ、だからといって油断するなよ』
ここまできれいにハマる天人の策に驚く、だがうなじの辺りがチリチリする感覚が消えない、こういう時はいつもすんなりとはいかない
敵の部隊を目的の場所まで引っ張り出してから一気に反撃に転じた、伏せた人形兵に罠を起動させて矢の雨が降り注ぐ
側面からの奇襲に慌てた所にこちらの魔術が決まり、態勢を建て直そうと後退しようにも、こちらを追うために進んで来た道には人形兵が伏せてあり退路等ありはしない
相手の進行上に土魔術で壁を作りあげ迂回させれば次の罠がある、近くの人形を使い起動させて敵を減らすの繰返しで混乱から回復させないように敵を一方的に追い詰める
矢で、魔術で、罠で、休みなく襲う攻撃にその数を着実に減らしていき、伏せた部隊も残りわずかとなる
右側に回り込んでいた部隊が少し前のめり気味に攻撃を仕掛けるのが見えた、右側は全滅させてやろうと意気込んでいたのがいたな
『右側が焦ってない?仕掛けるのが早いよね』
『無理する局面でもないんだけどな、、、説教は後でするとしてフォローに行ってくれるか』
『わかった、貸しひとつな』
後方に位置取りしてた部隊から報告に来てた同僚も右側の攻撃を気にしてたようだったので、向かってもらう
『!?』
突然、伏せてあった人形と繋がらなくなった、警戒しながら向かうと敵の援軍だろうか、灰色のローブがたっていた
遠見の魔術を使い、距離があるのにもかかわらず姿を見た時にゾクリと悪寒が走る、周囲にはバラバラになった鎧人形と抉れた大地に不自然に開けた空間
『知らせをうけてきてみれば、人形ばっかでつまらんなぁ』
魔術を感知したのか男がこっちを見て喋ると同時に姿が消える
距離があるのに聞こえるはずのない声が聞こえた事よりも直感にしたがい倒れるように前のめりに身体を動かすのと首があった辺りを何かが通りすぎるのが同時だった
『うぐっ』
完全には避けきれなかったようでふき飛ばされる、背中が焼けるように熱いのは斬られたからか
『ほう、、、いまのを避けるか、完全にとったと思ったのにねぇ』
声のした方を見るとローブのフードがはずれ顔が露になった男がいた、白髪に灰色の肌、額には角の生えた人とは思えない姿だった
『何者だ』
『この身体はベルフェゴールってなってるけどね、呼ぶならバアルにしてもらおうか』
『?』
思わず呟いた疑問の声を拾ったのか意外にも答えが反ってきた、いろいろと聞きたいことはあるが、とりあえず今はバアルという強敵らしいことがわかれば良い




