奪還作戦 4
リューイ、ヒナ視点
異常料理は賊達に好評だった、スキルによる簡易作成でどんどん作って行く、、、この城の中で食べてない人はいないんじゃないかってくらい量は作ったから後は効果が出るまでの時間稼ぎが仕事だね
『姉ちゃん、こっちにエールと赤いのかけたやつくれや』
「はい、ただいまお持ちします」
効果が現れるまでは酌に呼ばれて向かうの繰返し、リョータってヤツが気になるけどね、名前的にプレーヤーの気がするけど姿は見えない‼️
呼ばれないし自分からは近づかないよ、商人さんは脱出の為のルートを確認してる、あらかた料理もはけたのでそろそろ逃げないといけない
『ありがとさん、助かったよ』
商人さんのところに戻ろうと考えていたら、声をかけられたリョータってヤツを嗜めていた人だ
「これも仕事ですから」
『呼び止めて悪かったな帰るんだろう、お疲れさん』
言いたいことだけ言うとさっさと背中を向けて行ってしまった、今の人は良い人そうなんだよね、なんとなくだけど嫌々やってますって感じがする
考えても仕方ないからと商人さんと合流して、一応あいさつしてから城を出るよ
『お疲れ様』
商人さんから飲み物を受取る
「ありがとうございます、バッチリなんで次にいきましょう」
グレープ系の炭酸だった、炭酸が喉を通る時の刺激が心地良い、、、疲れた時は炭酸だよね
飲み終わった器を返して、ほぼ空になった荷馬車に乗り込むといったん城を離れて待機することになっている、小さくなる城をみながら揺れる馬車の中での一時の休息に身を委ねた
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
通路に張り巡らされた怪しい植物を避けながら進む、ネズミみたいな動物が植物に触れて吸収されていたのでこの植物はだいぶ危険なようだ
『なんとかここまではこれたけど………』
目の前には複雑に絡み合い壁のように通せんぼする植物にこのままでは進めない
脈打つように微かに震動する植物に触れないように進む為の物がインベントリにないか探すが良いものが見つからない、いっそ燃やしてしまおうかと考える
植物が敵の仕業なら態々秘密の抜け道から潜入しようとしてることを知らせることになり奇襲作戦は失敗に終わるだろうと考え直した時にまた動物が植物に触れたようだ
『!?』
後方の植物が移動して退路がなくなり包囲された状況になってしまった、しかも少しずつ狭まって来てるような気もする
『何かに反応してるってことよね』
気のせいではないようで、考えてる間にも植物が近づいて来てる、身につけてる物の何かに反応してるみたいだ
『さっきと違うことというと、、、』
中心部に近づいたから知覚が強くなった、まだ先は長そうなのだけど
『なさそうね』
一気に来てもおかしくないのに、それがなくじわりじわりと迫る植物に知覚してるにしては違和感がある
『魔力?、、、精霊に反応してるの?』
さっき植物に襲われた動物が逃げようと使ったであろう魔術の残滓に植物がまとわりつくようにしている
発動まで至らず集まってきただけの精霊を利用させてもらおうと、植物がまとわりついている精霊に役割を持たせる
落石に見せかけるように少し大きめの“石礫”を作りそのまま落とす、植物が石に触れると長めに設定した魔術が効力を失う
『この植物の餌が精霊で、植物に吸収されて魔術の解除になったってことね』
あまり気は進まないけど目の前の植物の左右に精霊を集めると壁から離れたところで最後の決定をしないで待機させる
予想通り植物が精霊を取り込もうと動き、先へと進むだけの隙間ができる、、、急いで通り抜け短時間に設定した魔術の最後の決定をすると砂のような細かい石が地面に落ちる途中で消滅する
植物の動きから少しは精霊が吸収されたようだけど大部分は役割を終えて逃げきったと思う
周りを見ると先端部分を通過し終わったのか太い根がひとつずっと奥まで続いている
『急がないと』
開けてだいぶ進み易くなった道を手間取った分を取り戻すように足早に進んでいく