はじまりの街 1
光が収まり視界がハッキリとしてきた、広場の中心にいるみたいだな、はじめてのVRゲームだけど現実とあまり変わらないようだ、水や緑の匂いや風の感じかたなどに違和感がない
後ろを見ると輪っかが宙に浮いて回転してる、遠くには杖や騎士風の人もいる、現実なら銃刀法違反だろうから仮想空間なんだよなって思う、それにしてもなんだか頭が重い、VRゲームの適性検査には影響ないと出たはずなんだけど
「………んな?」
重い頭を下げたら、ふわりと銀色の波が飛び込んできた
『お姉さん、大丈夫?』
何が起きたかわからず混乱してたら、声をかけられた
「たぶん大丈夫……って、お姉さん!?」
目の前にいるローブ姿の女の娘の前には俺しかいない、後ろを見ても誰もいない、何かのスキルでこの娘には他に何か見えているんだろうかとキョロキョロとあたりを見る俺を不思議そうに見てる
『あっ私はシロっていうの、ヨロシクね、っでお姉さんの名前は?』
「お姉さんじゃあない、俺はリューイだ」
腰まであるとても綺麗な銀髪にほっそりとした腕で気弱そうに見えたみたいだ、どうしてこうなった?
『アバターの不具合かなぁ、どんな選び方したの?』
「自動補正にしてスキャンしたんだけど、」
『それだね、リアルじゃあ女の子っぽい容姿してるんじゃない?補正の項目の美化選んであるとか?何も弄ってないなら美化になってるよ』
「………マジかぁ」
補正の項目なんて何も弄ってない、見落とした
『ちなみにDDOは課金関連は最初の容姿選択にしかないからね、最新の技術を使った現実と変わらない世界がウリだから』
「まぁいいか、髪が長くなっただけだしな」
ゲームをするぶんには問題ないだろう、しばらくすれば長くなった髪の重さになれるだろうと判断して気持ちを切り替える
『転移門の所でなかなか動かなかったから、リューイは初心者さんかな?よかったらいろいろ教えてあげようか』
「そうなんだけど、シロさんは暇なの?なんかやることあるんじゃないの?」
『いいよ、私はそこで露店出してるんだけどね、本店にNPC雇ってるから任せられるから問題ないよ、人間観察が趣味みたいなもんだから店出しながら眺めてたんだぁ』
「じゃあ、お願いします、シロさ『敬語は禁止ね、なんか壁感じちゃってwwゲームなんだし楽しくいこーよ』ん……わかった、よろしくシロ」
『けー、じゃあ行こうか、ここじゃ落ちつかないし私の店に行こっか』
確かに広場の真ん中にいつまでもいるわけにはいかないよね
ふと周りを見回すと何人かと視線がぶつかるがすぐ顔をそらされた、なんだ?
『どうしたの?行くよー』
「なんか見られてるんだが」
『銀髪が珍しいからじゃない?そんなことより移動しようよ』
納得してない俺の手をとりシロは歩きはじめる、引っ張られるようなかたちで俺は広場をあとにした
リューイが見られてたのは、もちろん銀髪が珍しいわけではなく、美少女だったからなのだが、説明してたら時間がもったいないと思い、シロはさっさと場所を変えることにしたのだった