VR戦争 4
『そっちに進軍中の部隊があるようだよ』
『うまくいきやしたね』
『それが、ここを通らなかったようでね………中央軍じゃないようだ』
『ってことは南のヤツラってことですか?』
『そんな戦力差はないはずなんだけどね………あの国の連中かもしれないし警戒だけはしといておくれ』
『了解しやした』
南のメンバーからの報告では異常なしだったからね、あたいが確認に行くとしようか
『中央軍が動くかもしれないからね、半数は作戦維持しとくんだ………残りはついて来な』
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
北西の丘へと戦力を送ったので、南東の丘はロラン隊だけで攻略することになった。
最終強化まで持っていった【クリムゾン】の赤い車体に“水膜”をかけた。
続いてノエルが“迷彩”をかけて周囲と同化する。
『迂回出来そうな道には罠が仕掛けてありますよ』
『予想通りだな………【フェニックス】にシフト』
『了解、【フェニックス】起動します』
索敵をしていたミミが罠を見つけたようだ。
敵が通信系の機体が多いとのことだったから側面に回り込む道に罠が仕掛けてあるという予想が当たった。
罠を回避するために、最終強化に付けた変形モードを起動して【クリムゾンフェニックス】へと変わる
タイヤが横向きになり風の魔方陣が起動して車体が浮き上がる。
仕掛けられた地雷の罠を回避して、ジャミングをしながら敵機体の監視もすり抜けて行く。
『そろそろ仕掛けはじめろ』
『了解、“レギオン”』
ミミが“レギオン”を使用すると劣化コピーされた【ブラッディー】シリーズがたくさん出現する、すぐさま“迷彩”を施し次々と伏兵を作りながら移動した。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
『【フェニックス】から戻します』
縦陣の側面に展開された罠を伏兵を配置しながら通り抜けて敵の背後へと回り込んだ。
本来であれば正面から攻勢をかけて挟撃するところだが、単機なのでできない作戦だ。
『このまま好機が訪れるまで待機する、敵の動きを見逃すなよ』
『それじゃ、いくよ!!』
位置取りが済んだので隠れながらミミが配置した“レギオン”を動かして順番に罠を起動させていく。
劣化コピーの軍団を作る“レギオン”だが“レギオン”だけで戦闘に突入しても弱すぎて役に立たないとのことだったので敵の罠を有効に活用することにしたのだ。
罠に掛かって大破していく、劣化ブラッディーシリーズの予想残骸から確認にきた部隊は罠が期待通りの戦果を上げたと誤認する。
どんどん罠が起動していく様子に赤軍が慌てて逃げているように見える青軍は敵の居場所がわかって包囲しようと追ってくる。
けれども罠を避けながら追っても追い付けない、いないのだから追い付けるわけがないけどね。
焦れた敵が後方の部隊を使ってまでいない赤軍を包囲しようと動かす。
『どうやら上手くいったようだな、あそこに青軍の指揮官がいるようだ』
「あれを倒せば終わりだね」
『黒塗りの機体が三体いるね、中心の機体が指揮官機かな』
作戦が上手くいき縦陣がいない部隊を追いに行って崩れた、包囲にいかずに残ったってことは指揮官に違いない。
【クリムゾンウルフ】がターゲットに向かってアポカリ弾を放ちながら突っ込むと動揺からたちなおさせずにあっさりとかたがつくのだった。




