VR戦争
某国某所
『うまくいきましたな』
『あぁ、連中もはめられたとは思うまい』
『勝ち戦ですが、支払う報酬もあるのでVIP用の賭場も開いていいでしょうか?』
『高い報酬を払ってあるんだ、少しでも回収出来るように大勢呼ぶんだぞ。あいつらにも演出するように言っておけ』
指示を受けた男性は恭しく頭を下げると実行するために部屋を出ていく。
『これであの国も終わりだな』
残った男はグラスの中の液体を飲むと、戦勝後について考えを巡らせるのだった。
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ロランさんの母国と、とある国との戦争が決まってから一週間経った。ロランさんの国とはもともと仲が悪く、隣同士ということもあって度々やりあっていたようなのだが今回のような暴挙に出るとは思わなかったと報道番組でも言っていた。
「お待たせ」
『悪いけど、お願いね』
戦争が始まった時点でロラン小隊に所属していたから、戦争中はクランを抜けることが出来ないというルールがあるので、戦争へ参加することになっていた。
アフリカ大陸並みの広さを持つ合戦場には、五つの丘が出来上がっていた。真ん中の丘が一際高く山のような頂上には大型の兵器が見える。この位置からでも見えるってことは近づいたらどれ程大きいのか想像もつかない。
『東側の青色が敵軍、西側の赤色が自軍になる』
『我らが目指すのは南西の丘になる。本軍が中央の丘を攻略している間に周りの丘を制圧していく作戦だ』
サバイバルゲームというよりかは、戦略シミュレーション感覚だ。戦力てきにはほぼ互角だが兵種と陣容がだいぶ違った。
こちら側は左右の軍が前進して本陣が後方にある鶴翼の陣。
向こう側は縦深陣のようだ。
「戦力は互角って言って無かった?」
『そのはずなんだが』
探知を使って調べる限りでは赤軍3万に対し青軍は7万近かった。
『2万5千対2万5千のはずだったんだがなぁ』
急ピッチで5千増やしたこちらだが相手はものすごい数を増やしていた。
戦争決まった時点で申告された数のごまかしは出来ないので、新たに作られた機体なのだろうけど一体どんな手を使ったことやら。
『それに敵部隊に厄介なのがいるみたいだ』
「厄介?」
『あぁ、コイツらだ』
ロランさんから画像を表示させると、霞がかかったようにボヤけた黒塗りの機体が映っていた。背中に箱を背負ったような格好だが縦長のボヤけ方は二足歩行なのかもしれない。
『おそらくだが【炎上】のディザスターだと思う』
ロランさんの話ではクラン【炎上】は有名らしい戦場を渡り歩く傭兵で戦績が32戦31勝1分け、ついた側は負けたことがないらしい。




