イベント七日目
引っ越し完了
「急いで!!もう持たないよ」
『ありがとう』
モニカに手を貸しながら引っ張りあげて、次の部屋へと走った。いきなりの展開でスタミナ管理がちょっと大変だ。
数時間前──
日付が変わるまで、イベントが進まないと言われた俺達はリーザリオンのドロップ品などをリョータと振りわけたり、体を休めたりしながら過ごしていた。
『あと少しで日付が変わるな』
「そう………だね」
リョータのセリフにメニューの時計を見ながら頷こうとした時に部屋の中に何かが転移してきたので、杖を身構えた。
『あれ?オルヴさん?』
モニカのセリフによく見れば蟻人だった。ピクリとも動かないからオルヴさんだとは思うけど確証が持てない。蟻顔の見分けはつかないよ。
死んだように動かないオルヴさん(?)にどうしたらいいのか思案していたところに差出人不明のメールが届いた。
『忘れてたよ、個体名オルヴを返しておくよ。ボクが扱ってた時よりは性能が落ちるから気をつけてくれたまえ、健闘を祈る』
メールを読み終えるとメールアイコンからオルヴさんへと光が流れた。光がなくなると充電を終えたかのように、オルヴさんが起動した。
『おっ!?………敵は?』
「もう終わったよ、オルヴさん。後はたぶん帰るだけ」
『そうか』
前衛がリョータだけになるから戦力の低下をどうしようか考えていたのだけど一応問題は解決したのかな。リョータに頑張ってもらうのは変わらないんだけどね。
「性能落ちるってのが、どれくらいかわからないからリョータも気をつけて見てて」
『わかった』
「悪いね、今度何か御馳走するから」
『じゃあ、肉だな』
『もう、二人して………』
モニカが怒って作戦に割り込んできた時に、ちょうど日付が変わったようだ、城が震動しているような、揺れてるような感じがした。
『次元城からの脱出
リーザリオンを倒したことにより、次元城の崩壊が始まりました。
制限時間内に脱出して下さい。
なお、次元城崩壊後は、次元城には二度と入ることは出来ません』
緊急クエストみたいだ、制限時間はカウンター見ると10時間くらいある。
「脱出するだけなら余裕なんだろうけど………」
『どうしたのリューちゃん?』
『すごいお宝があるかも知れないだろう?』
「うん」
リョータはわかってるね、この手の二度と入れなくて制限時間がある脱出クエストってのは、制限時間にお宝を探すクエストって場合が多い。
時間ギリギリまで探してすごいお宝を手に入れても時間オーバーすれば手に入らないので、引き際が肝心のお宝探しクエストの可能性がある。
『さすがに全部は回れないけど1ヵ所くらいなら行ってもいいんじゃないか?』
「じゃあ、急いでいってみようか!!」
オルヴさんのことが心配で悩んでた背中をリョータに押してもらう形でお宝探索へと向かった。
探索する方向を決めて部屋を出て少ししたところで崩壊の演出かなんかで廊下ごとの崩落に巻きこまれた。




