イベント六日目 2
リザードマンとケンタウルスを併せたようなモンスターはリザタロウスと名乗った、次元城のボスであるリザタロウスとの戦いが始まった。
『“酸弾”』
オルヴさんが口から3つの塊をリザタロウスに吐き出した。名前からして酸の塊だろう。リザタロウスの名乗り辺りから何かにイラつくような感じのオルヴさんが先陣を切る形だ
『ふんっ』
「なっ!?」
迫りくる“酸弾”に対して リザタロウスの取った行動は回避ではなく、鋼のごとく引き締まった筋肉に力を込めての防御だった。盛り上がった筋肉が“酸弾”をあさっての方に弾いた。
リザタロウスはそのまま駆けてくる、馬の四肢を持つからかその動きは素早くオルヴさんに接近して2連撃を放ってくる。ひとつめを避け、ふたつめは受け流してリザタロウスのバランスが崩れる。
『もらった』
『甘い!!』
アーツ後の硬直、受け流してのバランスが崩れた隙を突いたリョータの攻撃は馬の後ろ足での跳ね上げるような蹴りで邪魔をされた。
『きゃあ』
モニカの悲鳴に振り返れば、モニカの腕に蛇が噛みついていた。
「大丈夫?」
『なんとか………ありがとう、リューちゃん』
蛇に“水球”を当てモニカから引きはがした。地面に吹き飛んだ蛇に槍を突き立てると欠片になって消えた。
「毒はない?」
『あったかも知れないけど、料理でついた耐性は抜かれてないよ』
いつのまにかリザタロウスの尻尾の蛇が攻撃してきたみたいだが、蛇は弱そうだね。不意を突かれなければ大丈夫だろう。ボス戦だし出し惜しみはなしでいこう、ちょうど知合いだけのパーティーだし聖術のバフをかけよう。
「“聖力”………“聖魔”」
オルヴさんとリョータに力のバフ、モニカと自分に魔力アップのバフをかけた。
『力がみなぎる、これなら』
リョータが先行してオルヴさんが慎重に後に続いた。
驚くことに、バフの乗ったリョータの攻撃をリザタロウスは捌くというよりは強引に耐えるという方法で迎えうっていた。
『ガハッ………きかぬ』
「効いてるじゃん」
効いてはいるんだけど倒れるまではいかないって感じのリザタロウスはアーツを出し切って硬直に入ったリョータの方を向いて大きく息を吸い込んだ。
『まさかっ!?………ブレス攻撃?』
大きく息を吸い込んだってことは何かを吐き出すのだろうということはわかるんだけど、リョータは硬直で動けない。俺は距離が開いていて届かない。モニカは強力な魔術の準備中。
「リョータ!!」
間に合わないと思いつつも魔術の準備に入りながら、俺は距離を詰めるために駆け出した。




