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日本最強の少年


「だ、第八位‥‥‥‥?」


なんだそれ?第八位ってなんの順番だよ?


「‥‥あれ?人違い!?ウッソだろオイ!!朝部ぇ!どうなってるこれは!?」

「いや、自分に聞かれても‥‥‥」


いきなりシリアスムードが壊れ、どこにでもいそうなオッサンに早変わり。キリッとしていた顔から馬鹿みたいな顔になった。

どうなってんだよその顔は‥‥‥


「なんで俺が『限定英雄』だと知ってる?そんで第八位ってなんの順番だ?」


とりあえずの質問を投げかける。それに、待っていたとはどういう事だろう。全く面識はないと思うんだが?


「あぁ?お前、視界の右上にあるメニューボタン押してみ?『商品」の横に『ランキング』ってあるだろ。それ開け」

「はぁ?商品の横にランキングなんて‥‥‥あぁ」


俺の場合、商品の横ではなく装備の横だった。俺だけだもんな。武器と防具の十連ガチャやったの。


ちなみに、メニューはこんな感じで見えている。



●ステータス 商品 装備 ランキング




ここからランキングに意識を向けると、文字がはじけてゲーム画面が変わるみたいに文字がかわる。ランキングはこんな感じに見えていた。




●ランキング


一位 『限定英雄』レベル23


二位 『勇者』レベル12


三位 『剣姫』レベル10


四位 『聖女』レベル9


五位 『パラディン』レベル9


六位 『賢者』レベル7


七位 『聖霊使い』レベル6


八位 『狂戦士』レベル5


九位 『戦巫女』レベル3


十位 『死霊使い』レベル2




おぉう‥‥こんなものが合ったとは。しかも、俺一位だし。まさかの最強‥‥‥ま、良いか。それよりも、なんで俺が『限定英雄』だってわかったんだ?


「なぁ、なんで俺の正体わかったんだ?サブ職業の効果か?」

「あ?ちげぇよ。俺らが協力できるように、居場所がわかるようになってんの。試しに俺の所に意識向けてみろ」


言われたとおりに『狂戦士』に注目する。すると、頭の中に情報が流れ込んでくる。

なるほど、こうやってやるのか。これは便利だ。


「ちなみに、電話もできる。なんでこんな力が着いたのかはわからんが、俺は協力するよう言っていると思っている」


なるほど、まぁ確かに協力っちゃ協力か?‥‥アイツそんな事一言も言ってなかったけど。

多分だが、俺達が必死扱いて生きようとしてるの見たいだけだと思う


「ふぅーん‥‥他の上位陣と連絡を取ったり会ったりしたことある?」

「無いな。一応居場所は確認してるが、皆離れ離れでな。と言っても、これは国内ランキング。上位陣は全員日本人みたいだ。外国はしらん」


外国に俺達以上がいても可笑しくないが、こんな世界になったんだ。もう少ししたら連絡も取れなくなるだろう。

それまでに国ごとの上位なのかどうかは知りたいな。各国の状況も一緒に。


「連絡なら取れないぞ。日本国内はスマホ使えるんだがな、外に連絡しようすると出来んのだ。あと、固定電話はどこにも繋がらない」


学校だけじゃ無かったのか。外部との連絡は出来ない。

日本は完全な島国。他の国との連携は取れない。


「自分達でなんとかするしか無いな。‥‥で?俺を連れてきた目的は?というか、なんでレベルアップをさせない?させれば戦力になるし、『一般人』のままだと危険だぞ?」

「外部と連絡取れなくても、政府は生きてんだよ。発砲禁止命令が出たままだ。俺は非番で中にいたからレベルアップしたが、他のヤツはそうじゃないんだよ。なにかキッカケがあればレベルアップさせることも出来るんだが‥‥‥」

「オークの話はしてないのか?ゴブリンでも、スライムでもいい。オーガでも良いぞ」

「はぁ?こんな世界になって頭可笑しくなったか?そんなのいる訳ないだろ」


は?コイツ、『黒化』した連中だけで此処までレベル上げしたのか?とんでもないな‥‥いや、俺も似たようなもんか。

オークとかの経験値抜いても二位ぐらいは軽く越えるし。


「俺の横にいるコイツはオーガだぞ?正確には鬼人に至ったオーガだけど」

「‥‥‥コスプレじゃねーの?」


当たり前だろ。なに言ってんだコイツ。


「本当に見たこと無いんだな。‥‥よし、俺が聞いた話をしてやる」

「誰に?」

「邪神」

「は?」


八位だけに聞かせるのは不公平だろう。ということで、上位陣全員に電話を繋げる。


「あー、もしもし?始めまして。『限定英雄』だ。突然だが今から、なんでこんな世界になったかを教えてやる。いいか、一度しか言わないからよく聞け。事の始まりは十八年前‥‥‥」


     ・

     ・

     ・

     ・


「フゥ、疲れたぁ‥‥アイツら質問多すぎだろ」


邪神に聞いた話を包み隠さず全て話し、電話を切って一息入れる。

いやぁホントに疲れた。これなら中で闘ってる方がいいかもな。


「邪神の暇潰し、か‥‥‥ふざけてやがるな」

「そうだねー。でも俺らじゃどうにも出来ない。だからこの世界に順応するしかねーんだよ。さぁ!次は俺の番だ。なんで俺を此処に連れてきた?アイツらには聞かせられないんだろ?」

「あぁ。『限定英雄』お前と交渉をしたい。俺達から差し出せるカードはお前が連れてきた奴ら全員を最優先で『保護』すること。対価として中にいる生きてる人間の救助と魔物や『黒化』した奴らの一掃だ。『蘇生薬』はお前が使いたい時に使ってくれて構わない」


なるほどね。『蘇生薬』を自由に使えるのは大きい。それだけ、俺を手放したく無いんだろう。‥‥でも、正直な所俺と一緒に居た方が安全な気がするんだよなぁ。

レベルアップしてるの此処で第八位だけだろ?それで『保護』って言われてもなぁ?


「じゃあコッチからも条件だ。俺の双子の弟である櫻木玲二、弟のガールフレンドの天音南。それに双葉深月と二ノ宮薫。野島雄大に上條美咲を九州にいる如月彩と伊波真心の元に送ること。他の奴は普通の対応で構わない。あと、自衛隊員をレベルアップさせることだな。これぐらいしてくれないと俺も中に戻る気はない」

「なっ、それでいいのか?レベルアップの件はなんとかしてみるが、他に連れてきた奴らの安全は良いのか?」

「それはどうでもいい。俺は『限定英雄』だぞ?大切な人間以外はどうでも良いんだよ。アイツらを連れてきたのは『限定英雄』になる前の俺が決めたんだ。あの時はまだ甘さがあったけど、今は違う。だから、あの6人を2人の所に連れて行ってくれるなら協力する」

「‥‥わかった。明日には出発できるようにする。お前も明日の朝までは休め。専用のテントを用意させる」

「わかった、よろしく頼む。オーガウス、行くぞ」


真っ赤に染まったコートを翻し、テントの外へと出て行く。行き先はレイと先輩と先生の元。

先輩と先生、九州行きに納得して無いからなぁ。なんとかしないと。





「あれが『限定英雄』か。ただのガキだな。だが、強さは本物。か‥‥」

「えぇ。横にいたオーガウスという者も、相当の手練れですね。‥‥‥どうします?隙あらば闘うとか言ってましたけど、あれは無理ですよ。殺されます」


改めて対峙してわかった。今の自分達では、何をしても殺されると。そして、コウは兎も角オーガウスは黒化していない人間を殺すことに何の抵抗も無いことも。


「わぁーってるよ。俺らじゃどう足掻いたって叶わねぇ。なんだよ武器と防具の十連ガチャって、反則だろそれは‥‥‥」

「私達に一切の貸し出しはしないとも言ってましたからね。早く彼が80レベルに到達すれば良いんですがね」

「はぁ?80レベルにいち早く到達するのは俺らだ。あんなガキに最強名乗らせてたまるか」


獰猛な笑みを浮かべて愛用している軍用ナイフを引き抜く。それを見ながら朝部は、密かに嘆息していた。あぁなった彼は、もう誰にも止められない。明日から仕事をさせるのに苦労するな、と‥‥‥




        ーーーーーーーーーー




「だからっ!こうするのが一番良いんだよ!!オーガウスとアシッドも付ける。これの何が気に食わない!?」

「全部だ全部っ!一人で此処に残るとかなに言ってる!?いい加減にしろっ!!」

「いい加減にするのはお前だ、レイッ!!俺が此処に残って殺し続ければおまえ等は安全な所に行けるんだよ!!これは、九州でレベルアップせずに一番危険な先輩達を守る為でもあるんだよ!!」


用意してくれたテントにレイ、深月、南、先生、先輩、部長、オーガウス、アシッドを連れた十人で向かう。周りのテントには誰もいない。多分、バリケード前で起こした騒ぎが原因だろう。今はありがたいが。

ということで、改めて全員に明日からの事を話したのだが‥‥全員から却下された。勿論、使い魔二人は別だ。


「‥‥‥いいか?別に俺は逃げろと言ってる訳じゃない。とりあえず如月先輩と伊波先輩を迎えにいってくれって言ってるんだ。何でそれが却下だよ?」

「お前も付いてくればなんの問題も無いんだよ。つか、迎えに行ってそのまま待機だろ?迎えじゃなくて合流じゃねぇか」

「先輩、さっきは話の途中になりましたけど、伊波先輩からも了承して貰ってます。だから、大人しく‥‥‥ちょうど伊波先輩からです。もしもし伊波先輩?今ホテルですか?」


話は全く進まずに平行線なので、一息入れる意味も込めて伊波先輩の電話を取る。もしかしたら、先輩達の状況で考えが変わるかもしれない。今は、それに賭けるしかない。


『えぇ、着いたわよ。そっちはどう?ちゃんと安全地帯まで行けた?』

「今さっき着いた所です。明日の朝からレイ達送るんで、ホテルの名前教えて貰えます?」

『流石ね‥‥‥○○○ホテル。ここの最上階を無期限で貸し切ったから。着くのは何時頃かしら?』


無期限貸し切りって‥‥時々思うけど、この人何者よ?なんで一般高校通ってたの?


「着くのは夕方だと思います。‥‥如月先輩、どうしてますか?」

『今お風呂入ってる‥‥‥音だけでも聞く?』


お、お風呂っ!?お、音だけ‥‥


「ハッ!!いえ、大丈夫ですっ!!じゃ、明日の夕方レイ達お願いします!!!」

『りょーかい。気をつけてねー』


あのままだと色々とヤバかったので一気にまくし立てて電話を切る。

危なかった‥‥‥音だけとか、余計に妄想が捗るじゃないかっ!!


「と、ということで、明日から行って貰うのは了承済みなんですよ。これで納得してくれました?」

「「「「「「「「するわけねーだろ」」」」」」」」


‥‥‥‥‥ですよね。


「えぇいアシッド!!コイツら全員明日の昼まで寝かしとけっ!!」

「‥‥‥了解、主」


アシッドは酸以外にも簡単な毒や眠りを増長させる液を作ることが出来るらしい。

その液をぶっかけてもらい、寝かせたまま出発してもう遅い。という所まで寝てて貰おう。護衛はオーガウスとアシッドいるから心配無い。


「ちょっ、コウやめ‥‥‥」

「おまっ‥‥」

「いやっ‥‥‥」


フハハハ。俺が最強!!おまえ等ごとき簡単に倒せるわ!!


「いや、やったの俺だけどな?」

「うるせぇよ」




全員が寝たのを確認し、アシッドにこの場を任せて朝部と名乗った男の元に行く。

‥‥‥家族の確認、しないとな。



「む?『限定英雄』か。何か用か?此方も色々と忙しいのだが?」

「俺の、俺達の家族がどうなったか、わかんねぇか?」

「‥‥‥‥‥‥今調べている所だ。弟の彼女と言う天音の両親は既に避難している。今は栃木の親戚の所だ。双葉の両親も関西の方に向かったと情報が入っている。如月と伊波の両親は此処にいる。二ノ宮は地元が東京ではないので心配はいらん。野島と上條はSOSの連絡が入っている。明日、お前が一番最初に行く場所だ。だが、お前の家族は‥‥‥連絡も付かないし、生死も不明だ。済まない」


‥‥‥思っていたより、いや、想像以上にいい結果だ。

父さんと母さんは、ああ見えて昔は薙刀と剣道でデカい大会出てたって聞いてるから大丈夫だろう。後は先輩と部長か。


「両親や兄姉も九州行きに追加。俺が明日助けてきたら先輩と部長の親も送ってくれ。家の親はコッチで何とかする。もし見つけたり、俺が連れてきたら九州行きで頼む」

「了解した。‥‥‥少し、頼みがある。本来なら今日は休んでもらう予定なのだが、外で『黒化』が溢れている。少し処理を頼みたい。俺が出るのはまだ問題でな」

「やっぱり、アンタもレベルアップしてんのか?」

「あぁ。まだ『一般人』だがな。昨日はさっきの上司と一昨日の夜から呑み屋をハシゴしてたんだ」


なにやってんのさ、昼からだぞ?問題が起きたの。つか、その状態でアイツは『狂戦士』になったのか‥‥‥恐ろしい奴。


「じゃあ、付いて来るか?俺のサブ職業の一つが『魔物使い』でさ、さっきのオーガともう一人使い魔が居るんだ。ソイツらは九州に行かせるから、俺一人になるんだよ。どうする?」


『アップデート』する人が増えるのは良いことだ。今まで気にしてなかったが、邪神はドラゴンが来ることを否定してなかった。つまり、近いうちに現れるんだろう。そうなったら、上位十位全員で倒すことになると思う。第一位だからって一人でやったら確実に死ぬ。


「ふむ、確かに『アップデート』は魅力的だが‥‥お前と会ってから上司がやる気を出してな。俺がいないと仕事をしそうにない。今回は見送らせて貰おう」

「そっか‥‥‥困ったな。先輩と部長の両親が居る所って、何人ぐらい人がいるんだ?」

「十三人だ」


十三‥‥一人で守るにはキツい人数だ。オークやオーガが出て来たら相手するのに少し外さないといけない。

その間守る奴が居なくなるのは拙い。


「一人か二人、自衛隊から借りれないか?レベルアップさせて十三人の護衛に回らせる」

「少し難しいな。今国に掛け合ってるが、実際に許可が下りるのは早くて明後日。魔物を見れば直ぐにでも許可されるかもしれないが‥‥‥」

「そっか。んじゃまずは外の奴ら片付けてくるよ。入ったところで良いんだよな?」

「あぁ、問題ない。‥‥‥俺も一緒に行こう。戦闘を撮影してもいいか?その映像でも許可されるかもしれない」

「おーけー。許可が下りるのは早ければ早いほど嬉しい。んじゃ行こうか」


     ・

     ・

     ・

     ・


さっき、人殺しだとか言われたので「雀羽織』と『疾風迅雷』を閉まって普通の学生服姿に戻っている。それでも、ばれる可能性があるということで軍が使ってる車の中で外の様子を見ていた。もう少ししたら人払いが終わるのでその間に。という事らしい。‥‥なら朝部がやればいいじゃん?


「うっわ、確かに一杯だな。こりゃバリケード持たないぞ?」

「だからお前に頼んだんだ。少し待ってろ。今撮影の準備をして‥‥‥「ば、バリケードが突破されましたぁ!!」っ!?」


不味いな、撮影を待ってる暇はない。取りあえず、アイツらを全員片付けるっ!!


「俺が片付けるから、その間にバリケード張り直せ!!」


車を飛び出し、『雀羽織』と『疾風迅雷』を装備し直す。剣を引き抜き、『黒化』した奴らの群へと飛び込む。





「ハァッ!!」


向かってくる奴らの首を、胴体を、手を斬り刻んでいく。

さっき通った時は此処まで居なかったのに、この一時間ちょっとの間になにが?と考えながら、目の前の奴を斬る。すると、奥の方から雄叫びが聞こえてきた。この声はオークやオーガの物ではない。


「ちょっと拙いことになった!!今すぐ第八位を呼べっ!俺はちょっと外に出る!!お前も、命令とかなんとか言ってたら死ぬぞっ!!」

「あっ、おい!!‥‥行っちまった。しかし、これが第一位か。バリケード付近の奴らは皆片づいたぞ。‥‥急ぎバリケードを張り直せっ!あと、黒川一等陸佐呼んでこいっ!!」


近くにいた奴に命令し、改めて周りを見渡す。被害と言えば突破されたバリケードの残骸。それ以外は無傷と言って良いだろう。人払いの途中だった事もあり怪我人や噛まれた奴は0。一体も通していないし、本人も怪我無しの上に息すら上がっていなかった。


「50はいたと思うんだけどなぁ‥‥‥五分掛からなかったぞ?どうなってんだよ」 


しかも、さっきの雄叫びの主を倒しに行ったのだ。これが第一位。これが、日本最強の少年。


「黒川さんじゃないけど、震えが止まらねぇよ‥‥‥」



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