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神様ですから!いえ、邪神です


「テッテレーン!おめでとうございまーす!!初、レベルアップです!ご褒美に、神様がこの状況の説明をしてあげるね!!!」


いきなり現れて、何を言ってるんだこの男は?というか、周りが動かない?まるで‥‥


「まるで、僕とキミ以外の時が止まってるみたい?‥‥顔に書いてあるよん」

「‥‥わかってんなら教えろ。これはどういうことだ?こんなになったのはお前のせいなのか?」

「まぁまぁ、落ち着いて?全部話すからさ。一気に行くから、付いてきてね。途中で止めたりしないから」


ウィンクをしながら、邪神は喋り出した。関係ないが、ウィンクをした邪神の顔は物凄くイラッとした。


‥‥ゴホンッ!えぇー、今から遡ること十と八年前!

ある世界に、邪神と呼ばれる存在が生まれました。邪神は危険な存在。その世界の神様は、邪神を排除しようと躍起になりましたが、殺す事は出来ず、逆に自分達が殺されてしまいました。

神を殺し、その世界で唯一の神になった邪神は、暇になって下界に住む人間達で遊ぶ事にしました。それが今、この世界で起こっている『黒化』と呼ばれる現象を引きおこす事でした。

しかし、この『黒化』は一定量の魔力を持った人間は『黒化』しないという出来損ないの現象でした。

そこで邪神は考えた!自分の世界が無理なら、別の世界で『黒化』を流行らせればいいんだと!!いっそのこと、この世界と別の世界を混ぜてしまおうと!!

そして、邪神は世界を渡り、人が多く、魔力が少ない今の世界を見つけ、其処にいた神を皆殺しにして『黒化』を流行らせました。

しかし、神との戦いで力の大半を失った邪神は、一定の地域でしか『黒化』を流行らす事が出来ませんでしたとさ


意味が分からない。つまりあれか?目の前の男が、暇つぶし目的でこの事態を招いたって事か?


「そういうこと。いやぁ、この世界はいいね!魔力が基本少ない人間ばっかなんだもん。‥‥ちなみに、このままじゃキミたち全員死んじゃうから僕から『力』をあげる。まぁ、レベルアップ。つまり、『黒化』した人間を殺せば、だけどね。あっ、別に生きてる人間でも全然オッケーだよ!」

「‥‥‥‥‥お前が、その神だろ?」

「うん。そうだよ」

「お前を殺せば、元の平穏に戻るのか?」

「いやー、それは無理だねぇ。向こうの世界と完全にくっつけちゃったし。まぁ、向こうは土地が無くなったから魔物とか人間が住めなくなってね。こっちの世界に少しずつ転送されてってる。この日本って所だと、北海道に数人。魔物がここら辺にどんどん転送されてるね。僕の世界の者が厄介になるね」

「‥‥‥お前の力が元に戻ったら、どうするつもりだ?」

「この世界に飽きたら別の所に行くつもり。そうだなぁ、数年はいるかな?それだけ過ぎれば世界もこの生活に順応してつまらなくなるだろうから」

「‥‥‥‥そうか」

「他に聞きたい事は?」


山ほどあるに決まってんだろ。『黒化』が世界中に進行するのはいつ頃なのか。『黒化』を治す方法は?魔物はどんなのがいる?人が転送されてるらしいが、言葉は通じるのか?魔物が転送される所は北海道だけなのか?挙げればキリがない。‥‥‥まぁいい。時が止まってるんだ。ゆっくりと一つずつ聞いてやる。


「えっとねー、『黒化』進行はもう少し先かなぁ。一つの大陸、島に一つずつ『黒化』するように仕掛けて来てるけど、あと2日は『黒化』が発生しない場所があるよ。魔物はキミたちの世界の物語で出てるのと変わらないよ。いやぁ、想像力豊かだねぇこの世界は。言葉に関しては問題無し。世界を混ぜたときに共通にしといたよ。魔物や人間の転送は日本では此処と北海道だけ。‥‥‥‥安心しなよ。キミのお姫様がいる沖縄はまだ大丈夫だからさ」


コイツ、先輩のこと‥‥‥‥というか、心を読むな。


「神様ですから!あ、邪神か。えーっとあとは『黒化』を治す方法だっけ?それはね、えーっと‥‥‥どこにやったかな?」


いきなり服を叩いて何かを探し始める。‥‥‥‥目当ての物はローブのポケットにあったみたいだ。小瓶を取り出して見せてきた。


「これこれ、『解黒薬』。『解毒』じゃなくて『解黒』だからね?間違えちゃダメだよ。使い方は簡単!飲むも良し噛まれた‥‥‥あっ、噛まれたらアウトね。噛まれた所に掛けるも良し。一滴でも掛かれば大丈夫なこの薬!お値段なんと、たったの二百ポイント!!」

「ポイント?なんだそれ?」

「あれ?説明してなかった?」


アチャー、と言いながら額に手を当てる邪神。早く教えろ。


「えっとね、『黒化』した人を殺すと百ポイント入るんだ。ポイントをみる方法はね‥‥‥そう言えば考えて無かった。えーっとじゃあ、これもレベルアップした人限定にしよう!!RPGとかであるじゃん?ほら、右上に体力ゲージとか、あぁいう風に見えるようにするね。ほいっ!」

「ぐっ!?」


突然、頭に激痛が走る。思わず目を閉じ、ゆっくりと開けると、視界の右上に何やらボタンみたいなのが見えた。

なんか変な感じだ。視界を動かすと一緒に付いて来る。


「それをじっと見つめてみて?」


言われた通り、意識をボタンに集中させる。

すると、ボタンがはじけてなにやらカタログみたいなのが出てきた。『解黒薬二百ポイント』と書かれているのを早速見つけた。直ぐ下に、『回復薬品百ポイント』というのもある。


「そこで、使いたい物を頭の中で読んで。そしたら、手のひらとかどっかに出るから。出したい場所も考えとくとなお良い」


試しに『解黒薬』を、手のひらに出すよう念じてみると、本当にさっき邪神が見せてきた物と同じ小瓶が出てきた。


「うんうん。ちゃんと出てきたね。それ、三十分以内に飲まないと『黒化』が始まって十五分で完全に『黒化』するから時間には気をつけてね。ちなみに、『黒化』って言うのは魔力量で感染の時間が決まるよ。まぁ、レベルアップした人だけだけど」


とんでもないこと言いやがる。‥‥‥まぁいい。次だ。

出した小瓶を胸ポケットに入れて、次の質問に移る。


「魔物ってのがこっちの物語に出てくるのと変わらないなら、ドラゴンとかもいるんだろ?絶対負けるんだが‥‥‥」

「そうそう待ってました!!さぁ、僕がキミたちに送る『力』の説明をしよう!!!」


なんかいきなり興奮して、一気に語り出した。コワッ!!


「キミたちに送るのは『職業』!一定のレベルアップをすると、『一般人』からクラスアップする事が出来る!!あ、もう一度さっきみたいにボタンを見て。多分一番上に職業とか名前が出てるから!」


‥‥‥確かに、名前と職業、年齢にレベルがある。ゲームみたいに体力ゲージは無いけど、魔力量は書いてあるな。35‥‥‥多いのか少ないのかわからんな?


「35は多いよ。一般の人は10ぐらいだから。まぁ、魔法を使う職業になるまでは関係無いけどね」


やっぱりあるのか、魔法。

‥‥‥こんな状況なのになんかワクワクしてきたな。


「職業のクラスアップはいつ出来るんだ?」

「クラスアップはレベル20になったら出来るよ。その時、メイン職業と、サブ職業を決められる。メイン職業は余程の事がない限り変えられないから気をつけて。サブ職業はレベルが20・40・60‥‥‥と、こんな風に上がっていくと一つずつ増えていくよ。メイン職業を決めて自身を『アップデート』すると、十分は激痛で動けないから気をつけてね。あと、メイン職業を決めた後はレベルが1に戻るからね」


ふぅん‥‥‥激痛か。余計なもんつけてくれやがって。


「そろそろ終わりにしようか。‥‥‥‥その前に、人類初のレベルアップを果たしたキミに、特別ボーナス!!」


あぁ、あの初って人類初だったのか。

てっきりレベルアップが初めてだからって意味かと思った。


「本当は説明だけのつもりだったんだけど、騒動が起こって三十分経ってもだ~れも殺さないんだもん。僕焦っちゃった。だから、漸く殺してくれたキミにご褒美だよ!武器十連ガチャに防具十連ガチャだよ!!」

「武器?防具?」

「うん。だって丸腰じゃ死んじゃうでしょ?本当は武器は僕の世界の人が作ったのをって考えてたんだけど、この調子じゃ武器以前に皆死んじゃうから、ここで十個わたしておこうかなって。ちなみに、これが終わったら暫く武器と防具十連ガチャは無いから。そうだな~、キミ達の中の誰かが80レベルまで行ったとき、レベル上位十名にそれぞれ十連引かせてあげる」


つまり、この十連でこの先暫くの装備が決まるのか‥‥‥‥緊張してきたぁ!!


「そんなに緊張しなくて大丈夫。SランクからDランクまであるけど、特別にAランクは一個確定にしといてあげるから。気を楽にして、ヒッヒッフー、ヒッヒッフーだよ!!」


その呼吸法は今使うやつじゃねーよ‥‥‥‥


いつの間にか出ていた商店街の福引きで使われるやつよりも大きいガラガラを両手で思いっきり回す。

すると、丸い光りの玉が出てきて身体の中に吸い込まれるようにして入っていった。


「ふぁ!?お、おい!なんか入ったんだけど!?」

「ボタンを見て、装備って所が増えてる筈だから。そこで見てみて」


‥‥‥おぉ、本当に増えてる。どれどれ?




Aランク 疾風迅雷


Bランク 魔弾銃

    炎の鞭

    氷の短剣

    ドラゴングローブ


Cランク 青銅の剣

     ナックル

    ポイズンダガー


Dランク 銅の剣

     パチンコ(球は八個)





‥‥‥下2つ。ふざけてんのか?


「うっわ、Sランク無し。まぁ、『疾風迅雷』はSランクに匹敵する武器だから良いんじゃない?けどパチンコって‥‥‥」


うわー、邪神に同情された。最悪‥‥‥‥八回打ったらもう使い物にならないじゃん。なんでこんなの入ってるんだよ?


「いやほら、遊び心って大事じゃん?」


超絶いらねー‥‥まぁ、我慢するか。まだ防具が残ってる!!


「じゃああとは防具ねー。今度こそSランク出してよー!」


ねぇ、なんでそんなにお前だけ楽しそうなの?おかしくない?こっちは命懸かってんだけど?


「だって僕命懸かってないし」


うざ‥‥‥っと、どれどれ?





待ってました!待望のSランク!! 雀羽織すずめばおり


Aランク  水の法衣

     賢者のローブ

     龍神の鱗


Bランク 鉄のむねあて

    フルアーマー


Cランク 皮の鎧

     鉄の盾

     

Dランク 大鍋の蓋

    普通の革ジャン



本当に待って、下2つ‥‥‥‥‥


「アハハハッ!お、大鍋の蓋!!なんだよそれアハハハッ!!か、革ジャンって!!!アッハハハハハ‥‥ゲホッ、ゲホッ」


邪神が咽せてる。ざまぁ。

‥‥‥なんて言ってる場合じゃ無いんですけど。なにこれ?Sランクなんか邪神の台詞入ってるんだけど?大鍋の蓋ってなによ?普通の革ジャンなんてそこら辺で手に入るわ!!


「ゲホッ、ゲホッ‥‥‥と、取り敢えず気に入ったの装備してみなよ。やり方は『解黒薬』とかと同じだから」


‥‥‥疾風迅雷はいいよ?名前カッコいいし強そうな感じするし。

けどさ、雀羽織ってなに?雀?可愛いイメージしか無いんだけど?


「名前は関係無いよ。これ、Sランクの中でも上位に位置するコートだから、凄いよ」


‥‥‥‥本当かよ?信じるからな?『疾風迅雷』『雀羽織』


それぞれの名前を頭の中で読み上げる。

すると、下半身に重さが、身体全体を包み込むように真っ赤なコートが現れた。疾風迅雷は二つで一つの双剣のようだ。それぞれ緑と黄色に銀色が入った鞘に収まっている。

カッコイい‥‥‥そして『雀羽織』。スイマセンでした。名前なんて只の飾りって事が良くわかりました。これからよろしくお願いしまぁす!!!


「おぉー、カッコイいよ!!そう言えば気になってたんだけど、キミはなんでこの状況でこんなにも冷静で‥‥‥‥へぇ、なる程ねぇ。‥‥じゃ、僕はいくね。時間停止解除は二秒後だよー。いーち、ぜーろ!」


‥‥‥‥は?


いきなり辺りの音が耳に入ってくる。先生達を食べる音や、園児達の声と身体がぶつかる音。


いきなり過ぎるぞ邪神!!ふざっけんな!!!あと、心の中みたろ!?


テッテレーン!!最初のレベルアップ者が出たので、ボーナスターイム!今から一時間、ポイントが十倍!!一杯殺してね♪


は?なにこれ、こんなのまでしてくれんの?‥‥って、今そんな事言ってる場合じゃねーー!!


「あぁーーぁぁ!!」


先生達を食べていた『黒化』した人達が俺に気づいて向かってくる。数は5。つまり、五千ポイントだ。


動きは普通の人の早歩き程度。注意して動きを見ていれば簡単に避けて‥‥腕を斬り落とせる。

保育園側に一番近いやつに近づいて、左手の黄色い剣で両腕を斬り上げ、そのまま上から下に振り下ろし真っ二つにする。

血が飛び散って身体に纏わりつく。身体は黒いのに血は赤いらしい。おかしなものだ。


「よしっ、一体!‥‥って、なんか灰になって消えたんだけど!?聞いてないぞ邪神!!」


斬りつけた左右で灰に変わっていくのは、ホラーだった。

いやだって、どんどん左右で無くなってくんだよ?真ん中開いてるんだよ?滅茶苦茶恐いよね!


「あぁぁーー!」

「はっ、なんだ?仲間斬られて怒ったか?」


振り下ろしたままの左手を持ち直し、その間に右手をクロスされるように真横に振る。二体目は胴体から上と下に別れてどんどん灰となっていく。どうやら、斬られた場所から灰になっていくシステムのようだ。

そこから三体も、同じようにして斬り捨てた。最初に殺した人も同じように灰になったのか?と思って後ろを振り向くと、確かに灰になって消えたようだ。跡形もない。

‥‥‥‥代わりに別の物で溢れていたが。


「あぁぁーー」

「あぁ、あぁーー」

「あぁぁぁーー」


どうやって柵を壊したんだよ‥‥‥つか、この数相手にするのはなぁ。相手子供だし、やりづらい。


保育園の柵が一部壊され、そこからどんどん『黒化』した園児達が出て来ていた。


「えーっと、幼稚園の生徒数はたしか‥‥‥三百人ちょっとだったかな?先生は20ぐらいだっけ?ということは‥‥‥全員灰に変えたら単純計算で三十二万ポイントか!!まぁ、全員が出欠って訳じゃ無いだろうけど」


誰に話すでもなく、独り言を呟く。そうしないと気がおかしくなりそうだ。

さっき『黒化』した五体を斬った時の感触。まさにあの時と同じ感覚。全身の毛が逆立ち、手に気持ち悪い感触が纏わりつくあの感じ。少しでも気を強く持とうとしなければ今にでも逃げ出しそうだった。


「さぁ、お兄ちゃんと最後のチャンバラだ。皆、もう少し頑張ってくれよ‥‥‥っ!!」


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