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非日常から、日常へ




『ハハッ!お前は、俺と同じだよ!!こんなクソッタレの日常じゃなく、血と、鉄の匂いを求めてる!!お前にも、いずれわかる日が来るっ!そしたら、また殺り合おうぜぇっ!!!』



最近、というか高校入ってから、毎日が退屈だ。


別に、友達が居ないというわけでは無い。

クラスの男子は殆どが一塊になって、一緒にスマホのゲームを休み時間中にやるし、昼も皆でゲームをしながら食べてる。

下校は部活やってない面子でファーストフード店に行く事もある。(一応部活に入ってはいるが、活動してないので入ってないも同然だろう)

それに俺はバイトもやってる。先日この高校を卒業した二つ上の彼女もいる。所謂リア充という奴だ。

だけど、なぜか俺の心は満たされない。



「‥‥‥なんで、あの野郎の言葉、思い出すんだろうな」




「ちょっとコウ君どうしたの?そろそろ次の授業始まるよ?そんな所居たら遅れちゃうよ」

「‥‥なんだ深月か。次なんだっけ?」


頭の上から自分の名前を呼ぶ声がして首を上に向けると、非常階段から身を乗り出して見下ろして来る幼なじみの顔が見えた。‥‥黒か。深月の癖に生意気だな。


「終業式だよ。これで終わりだから行こう?」

「えぇ‥‥やだよ。校長の話なげーんだもん。十分以上話してるんだぜ?ぜってーいきたくねー」

「なに言ってるの、今年度これで最後なんだから。それに、なんか表彰もあるんだって。レイ君がバスケの大会で優勝したんだよ!!」

「レイの入ってるチームが、だろ。それに、アイツはそんなに試合出てないだろ?ウチは特待生だろうと関係無いからな」

「そんな事ないよ!少しだけど決勝戦も出てたんだから!!」

「知ってますぅ。家で父さん達が騒いでた」


あれは五月蝿かった。流石俺の息子だとか、なんでもっと玲二を試合に出さんのかとか、色々と。

まぁ、俺はサッサと寝たから関係無いけど、翌日のレイの顔は酷かったな。あれは朝方まで付き合わされたんだろう。


「全く、なんで双子なのに此処まで違うの?顔も似てないし」

「そりゃ俺達が二卵性だからだろ。‥‥なぁ、この話何百回目だよ。いい加減に飽きたぞー」

「何度だって言ってあげるわよ。全く、なんで双子なのに此処まで違うのー!!」

「テメッ‥‥‥」

「悔しかったら追いかけてきなさい!」


流石にちょっとムッとした。勢いよく立ち、降りてきた階段を一個飛ばしに走っていく。

深月も、慌てて上へと登っていく。三階は二年。つまり、新しい俺達の教室がある階だ。





「オラ深月ぃ!!テメェ覚悟は‥‥」

「遅いぞアホ。さっさと体育館に向かえ。‥‥深月、ご苦労様」

「へへっ、今度テストの点オマケしてね!」

「次も私が受け持つとは限らないが、まぁ少し採点を甘くしてやろう」

「やったね!」


走る深月を追うのに必死で、気がつかなかった。

此処はこれから一年間通い続ける事になる俺達の教室。最悪だ。これで終業式に出ることは確定‥‥


「ほら、櫻木。お前も観念して体育館行くぞ」


直ぐに身を翻し、体育館へと向かう。

‥‥今なら逃げられるんじゃ?なんて考えたが服の袖を深月が掴んでる。コイツ‥‥


「えー、校長の話長いんだよ。あんなの真面目に聞きたくねーよ」

「それは私も同感だがな、校長の話を聞くなんてもうそんなに無いんだから、有り難く聞いておけ。ま、私みたいに教師になるなら別だが?」

「絶対お断り。つか、教師がそんな事言っていいのかよ?」

「いや、普通は駄目だろ」

「認めんのかよ‥‥」

「だって、私は普通では無いからな。それはお前がよく知ってるだろう?」

「あぁ、そうですね。部員確保とか言って拉致監禁を平気でやるようなクレイジー教師だもんな‥‥」


去年の四月。部活をやる気が無かった俺は、部活動オリエンテーションを早々に抜け出し、バイト探しをする予定だった。が、


『お前、新入生だな。此処にいるということは部活入る気無いんだろう?だったら私の部活に籍だけでも入れてくれ。というか入れる。名前は?‥‥めんどくさいな。確保ーっ!!』


と、こんな風に去年の三年を使い、無理やり『オカルト研究部』なんてアホみたいな部活に入れられたのだ。

まぁ、活動なんてしておらず、只だべってるだけの部活。

しかも、俺を拉致した三年同様の方法でこのクソ教師に捕まったと聞いている。はた迷惑な話だ。しかも、二年連続で担任。


「私はクレイジー教師ではない。ちゃんと二ノ宮薫という名前があるんだぞ?ちゃんと二ノ宮先生と呼べ」

「呼ばれたいなら先生らしくしろ」

「えー、めんどくさいなぁ」

「お前ホントに教師か?」

「失礼な。教員免許は持っているぞ?」

「そういう事じゃねーんだよ‥‥」


あぁ、先輩方。誰か一人でも留年してくれても良かったんじゃ無かろうか?これから二年コイツと二人‥‥胃薬がいくらあっても足らんな。


「来年、ちゃんと新入部員を確保して来いよ。出来なければお前みたいな被害者が出ることになる‥‥ホラ、列に並べ」


くだらない話をしていると、すぐに体育館に着いた。

深月が静かだったがどうしたんだ?‥‥スマホでゲームしてんじゃねーよ。


     ・

     ・

     ・

     ・


「~~であるから~~~なので~~~~という事を、皆に伝えたく~~~~~~」



なっっっっがい!!!

なんなの?もう少し簡単にさぁ、出来ない訳?ほら、前の奴がデカいと後ろは隠れて見えないからって寝てる奴いるぞ?前の奴にちょっかいかけてる奴も‥‥あ、担任らしき先生に見つかった。


「ねぇねぇコウ、さっきまでどこでサボろうとしてたんだよ?なんで僕も連れてってくれなかったんだ?」

「おい、優等生の玲二君が校長先生の話の途中に話してていいのか?」

「僕だって早く帰りたいし、こんな長い話聞きたくないよ。それで、どこに居たんだ?また何時もの場所か?」

「おう。アソコは日が当たらないから涼しいんだよ。お前を連れてかなかったのは、お前の彼女が絶対に嗅ぎつけるからだ」

「アハハ、そんなまさか」


俺とは正反対の優等生である玲二が、優等生らしからぬ行為をしている。やはり双子だな。

コイツも完全な優等生では無いという事だ。‥‥お前連れてってこれまで彼女に見つからなかった事は無いんだよ。

GPSでも仕込まれてるんじゃないのか?


「それにしても今日の話は長いなぁ。もうそろそろ十五分だぞ?」

「確かに、もう帰して欲しい。‥‥この後部活だけど」

「ハッ、ザマァ。俺は帰ってゲームの続きでもやるよ」

「いいなぁ‥‥はぁ。特待生なんかで入るんじゃ無かったよ。普通に入試で入れば良かった。そうすればゲームし放題なのに」

「バスケ部期待のホープ様が何言ってやがる。試合にもほかの奴より多く出して貰ってんだろ?」

「いやまぁそうなんだけど‥‥」

「だったら文句言うなよな」



「キャアッ!?」

「おいっ、どうした!?」

「だ、誰か担架持って来い!!」



「?どうしたんだろ‥‥」

「知らね、どうせ貧血かなんかだろ。先生達もそんなに慌ててないし、誰かの持病って事は無さそうだ。苦しんでる様子も無いみたいだからな」

「そっか、コウが言うなら大丈夫だな。‥‥けどこれで、後五分は話が延びるぞ」

「言うなよ、今それ考えてたんだから‥‥」


二人して溜め息を尽き、最低でも五分は延びたであろう話をウンザリしたような顔で聴き始める。


「ちょ、やめて痛いよ!!」

「おいっ、何やってんだお前!?」

「おい離せよ、おい!!」

「こいつ、なんでこんなに力強いんだ‥‥」


‥‥何やらトラブル。

舞台の上から見ていた校長が、此処からでも分かるぐらいに顔を真っ青にして舞台裏に控えていた先生達に何か喚いている。トラブルは端っこ。三年生だ。つまり俺達には何も関係ないと!ならこの隙に少し座って休憩しよ。


コウを手招きして座ろうとすると、突然の爆音。

倒れた三年の周りにいる生徒や先生以外全員が慌てて外をみる。すると、外のいくつかの場所から炎と煙が巻き上がっていた。

現実には有り得ないだろう光景だ。窓から見える範囲なんてたかが知れているのにこの範囲でこの数の煙。明らかに異常事態だ。


「レイッ!深月と彼女連れてこい。俺は先生呼んでくる!!」

「‥‥っ!分かった!!」


突然の事で固まっていたレイを正気に戻す。

このままじゃ不味い。あと数分。いや、数十秒もしない内にパニックになって誰がどこに居るのか分からなくなる。

それだけは避けなければならない。


急いで教員が控えてる体育館脇に行き、二ノ宮先生を探す。

‥‥が、居ない!?なにやってんだあの人は!三年のところか!?


キィィィィィン‥‥‥‥‥‥


耳が痛い。マイクとマイクをぶつけた音だ。

俺がやろうとしていた方法。俺の他にこんな事をするのはあのクレイジー教師だ。


「諸君。正気に戻って冷静になれ。体育科の先生は体育館の外に出て現状の把握を。ダブル櫻木もついて行け。他の先生方は暴れている生徒を無理矢理でも抑えてください」


片方のマイクを使って指示を出す二ノ宮。まだ教員歴二年の癖にこんな指示出して大丈夫かよ?


「ま、待ちたまえ二ノ宮君!指示は君が出すのではなく我々が出す!それに、櫻木君達は生徒だ!!そんな危険な事は‥‥」


うん。デスヨネー。教頭、ちゃんとお約束守ってくれて嬉しいです。


「現状で、一番冷静なのは私と櫻木兄だ。あなた方は生徒を落ち着かせていてください。それとも、今の指示以外に何か言うことは在るのですか?それに、櫻木兄がこのような状況でどれだけ頼りになるか、アナタも知っているでしょう?」

「いや、それは‥‥」


言葉に詰まる所までやってくれるとは、教頭、優しいですね!!


「一年と二年は舞台の方へ!暴れている生徒と、怪我をした生徒は先生達の方へ!!先生方、入り口付近を見ていて下さい」


普段の雰囲気と全然違うなぁ。何時もコッチなら俺も楽なんだけど‥‥


「櫻木、なにか失礼なことを考えていないか?」

「うわっ!?いつの間にこんな近くに来たんだよ!」

「ついさっき」


失礼なことを考えていると、耳の側から声がしてきた。くすぐったい。


「いいからさっさと動け。‥‥暴れている生徒、様子がおかしい。オカルト研究部の本領発揮だ!」

「なんかおかしいと思ったら、そう言うことか‥‥」

「いきなり人を襲う様になった生徒に、殆ど同時に別の場所で起こった爆発。テンション上がるなぁ!!」


やっぱりクズだ‥‥まぁ、今はこういう先生が居たことを幸運に思うべきだな。


「はいはい、わかったから。‥‥先生方、行きましょう。レイ、深月と彼女、それに先生に着いててくれ」

「は?僕も行くように言われたんだけど?はい、木刀」


深月と彼女を連れてきたレイに、此処に残るようお願いすると、意味がわからないといった表情で木刀を渡してきた。

こんなのどこにあった?つか、必要か?


「何か合ったときの為に、お前は残れ。お前なら三人ぐらい守れるだろ?あと、先生が暴走しないように見てて欲しいってのもある」

「‥‥わかった、任せといて。けど、ムチャはすんなよ?」

「なに言ってんだよ?別に何もねーって」


無理矢理笑顔を作って安心させようとしたけど‥‥失敗だな。

顔がこわばってるのがわかる。手も震えてるし。

今更だけどなんで俺まで‥‥ん?なにやってんだあの先生?

‥‥電話?あぁ、電話して来いって事か!なる程。サンキュー先生。


「櫻木、行こう。お前は一応生徒だからな。何かあっても、先に前に出るのは先生達だ。いいな?」

「一応って‥‥りょーかい」




         ーーーーーーーーーー




「なんだ、静かだな?‥‥電話が繋がらない!?どうなってる!!」

「落合先生、学校の電話が全て電源落ちてます!」

「くそっ、電気は付くのにどうなってる!!」


固定電話が全て使えない。‥‥なら、スマホも?


「‥‥先生、スマホは使える!どこに電話する!?」

「おぉナイスだ櫻木!先ずは警察に電話してみよう。この静けさは何かおかしい」

「さっきの爆音からして、悲鳴とか聞こえても良いのに何も聞こえないからな」

「あぁ。先生達はちょっと外の様子見てくる。櫻木、電話しておいてくれ」

「りょーかい!」


先生達が職員室を出て行って、直ぐに彼女である如月先輩に電話を掛ける。

この非常事態。他の人達も同じ事をするはず。となると、110番をしても掛からない可能性の方が大きい。

なら、五日前から卒業旅行で沖縄に行っている先輩に聞いた方が早い。ちなみに、大学は明後日かららしい。他の大学より少し遅いのだ。


「‥‥‥先輩っ!!」


五回目のコールでやっと出てくれた。遅いよ先輩‥‥っ!!


『もしもしコウ君?どうしたの、声聞きたくなった?」

「それどころじゃないよ先輩っ!!今そっちで東京の臨時ニュースやってない!?」

『えっ?‥‥ちょっと待って。まだホテルに居るからちょっと見てみる』

「お願いします‥‥っ!」


まだホテルに居たんだ。もう昼前なのに‥‥そんな事を考えていると、電話の向こうから一緒に旅行に行っている伊波先輩の声が聞こえてきた。


『彩っ!どうしよう。今日の飛行機飛ばないって!!私達、帰れないよっ!!』

『えっなにそれ!?どういうこと!?』

「先輩!伊波先輩に代わって!!」


何かしらの事件が起こったことは確定。しかも、飛行機を止めるような最悪の事件。

‥‥下手したら東京周辺は隔離されたか?


『‥‥はいもしもし~、代わったよ。ごめんねー今日は帰れそうにないや。再開は明日以降だねー』

「そんな事より!飛行機止まった理由は!?」

『そんな事って‥‥なんか空港で事故らしいよ?全便飛ばないって言ってた。今日飛ぶ筈の飛行機に乗る予定だった人はホテルも滞在期間伸ばしてくれるんだって、しかも無料!!』


空港だけじゃない。政府が動いてる!と言うことはやっぱり東京周辺は隔離か‥‥


「わかりました。タダで良かったですね。早速で悪いんですけど、泊まれるだけそっちに泊まっててくれません?絶対にコッチには帰ってこないで下さい」

『はぁ?いやいや、アタシも暇じゃ無いし、明日には帰るよ?飛行機も動くらしいし』


なに?‥‥下手に刺激しないように、1日だけって言っておけば取り合えずは納得するからな。明日以降が大変だろうが。


「良いですか?今から俺が言うとおりにして下さい。そして、これは先輩には伝えないようお願いします」

『えっ、なに?彼女に内緒話?そういうの良くないよー』

「ふざけてる場合じゃ無いんです。今コッチは学校の体育館の窓から見える限り、五カ所で煙が上がってます。飛行機が止まったって事は、東京全域。もしくはその周辺までの範囲で、同じことが起こってると考えていいと思います」

『えっ‥‥テロとかってこと?』

「いえ、銃声も、悲鳴も聞こえないので違うと思います。なにか、もっと別の‥‥」

「ギャァァァァァァ!?」


突然の悲鳴。これは落合先生の声!?くっそ、何があった!?


『ちょっ、ちょっとなに今の悲鳴!?』

「大丈夫です。ふざけた男子生徒が女子生徒にボコられてるだけです!!それより、水と非常食を準備して、明日にでも本島に渡って下さい!沖縄に居たら逃げ場が無くなります!!!」

『ちょ!!さっきと言ってることが‥‥わかった。あんたの言うとおりにする。でもね、これだけは約束。‥‥生きて、彩にぶっ叩かれなさい!!心配かけてる罰ゲームよ!!!』

「ははっ、了解!!」


電話を切って脇に置いていた木刀を持って職員室から飛び出る。悲鳴は外だ。うちの学校の横に、幼稚園がある。そっちの方からの悲鳴だ。



「先生!!」


グチャグチャと何かが音をたてている。落合先生の上に跨がって何かしている男の人がいた。


「あぁ‥‥ぁぁぁ‥‥‥さく、ら‥‥‥ぎ‥‥‥‥‥‥‥‥にげ、ろぉ‥‥‥‥‥」


クルッ、落合先生に跨がっている男が、此方を向く。

‥‥真っ黒。黒人の人のような黒ではなく、絵の具などの何色にも混ざることの無いような黒。

目が赤いのと、口の辺りが血で赤い以外全てが黒。着ている服も、元が何色か分からないが真っ黒に染まっていた。


‥‥は?なんで黒?というか、あの口の周りの赤って血だよな?誰の?落合先生の?なんで、さっきまで元気だった。なにもわかっていないこの状況でも、冗談を言ってくれるような先生。その人が、真っ黒の男の後ろで倒れている。

‥‥首周りが真っ赤だ。何時も着ている緑色のジャージも、真っ赤に染まっている。

前を見ていたくなくて、少しだけ目線を幼稚園側に外す。すると



「あぁーー、あぁぁーー」



‥‥‥‥‥‥‥‥‥真っ黒に染まった園児が、柵にぶつかりながら此方に向かって両手を延ばしている。一人じゃ無い。多分、園内にいる子達全員が、真っ黒に染まっている。


「う、うわぁぁぁぁ!?」


今まで溜まっていた感情が、一気に溢れ出す。


「あぁー!!あぁぁぁーーーー!!」


コウの叫び声を聞いて、園児達も叫び始めた。ガシャガシャと柵に身体の至る所をぶつける。


「あああぁぁ!!」

「っ!?」


落合先生を食べていた真っ黒の男が、こっちに向かって両手を前に突き出し走ってくる。速‥‥くはない。早歩き程度だ。

けど、そこまで距離が離れていなかったからあと数歩で捕まる。


「くっそ!!」


思いっきり木刀を学校側に薙いで壁に激突させ、その隙に先生の所に行く。他の先生はどこにいった!?


「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥は?」


先生達は、コウが居た位置からは見えない死角で、同じ真っ黒に染まった人に食べられていた。クチャクチャと左右で音が聞こえる。


「‥‥‥あぁぁ」


後ろから声が聞こえる。直ぐには立てないぐらいの強さで脇腹にぶつけたのに、何事も無かったかのように立ち上がり、向かってくる。


あぁ、もうダメなんだ。もう‥‥‥‥殺すしかない。


きっとこの人は、もう人間じゃない。いや、この人だけじゃなく黒に染まった人は皆死んでいる。そう考えよう。このままだと、殺される。


「直ぐに、楽にしてやる‥‥‥」


両手を前に突き出し、早歩きで向かってくる男を軽々と右に避け、振りかぶった木刀で頭を思いっきり叩く。

グシャッと音を立て、横からみるとV字に見えるように斬る。‥‥‥確実に殺した。木刀を引き抜くと、コウとは反対方向に倒れる。すると、突然さっきまで聞こえていたグチャグチャという音、園児の叫び声、園児が柵にぶつかる音が消えた。


「テッテレーン!おめでとうございまーす!!初、レベルアップです!ご褒美に、神様がこの状況の説明をしてあげるね!!!」


‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥は?


申し訳ありません学年の間違いをしておりました。

コウ達は二年生。

暴れているのは三年生になります


2017.6/26

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