借金取りには俺はなら…ない!
取り立てお手伝い課
ミョルニル信用銀行の末端も末端
むしろ子会社どころか別会社なんじゃないかと思うくらい端の端のそのまた端にその課はあった。
曰く、最終就職地。曰く、窓際のサッシの隅
おまけのように、取り立てお手伝い課はミョルニル信用銀行の離職率が嘘のようにブラックな課らしい。
新しいネームプレートをうけとり、シャルル=マヨ=リーファンは取り立てお手伝い課の初出勤日を迎えた。
「失礼しまーす。」
扉を開けてみると中は以外と静かだった。
至って普通のオフィス、木造りのアンティークな机がシックな雰囲気を漂わせてる。
書類の山に文字通り埋もれてる人さえいなければ…
「ちょっと!大丈夫ですか!?」
慌てて書類をかき分けると、中から出てきたのはロリ貧乳の女の子だった
「あ、ありがとう。いや、書類を片付けてたんだけどなぁ、思ったより片付かなかったね!むしろ散らかしたわ!」
豪快に笑う見た目は細めに見える体躯。茶髪に編み込まれたハーフアップ。傍には戦鎚、土色の瞳。どこから見てもドワーフ族の女の子だった
「ええっと、君は?借金の返済?それとも取り立てお手伝い依頼?」
「いえ、今日から配属になりましたシャルル=マヨ=リーファンです!よろしくお願いします」
「私はナス、ナス=ヒタシ=フライド」
そういって握手してくるロリ貧乳に目は奪われることは無かった。巨乳好きだしね!
揚げ浸し……なんて言ったらきっとぶっ殺されるんだろうなぁ
「ちなみに茄子の揚げ浸しっていったらハンマーで叩きにするから、よろしくね!」
ちなみに揚げ浸しさんは僕の上司らしいです。なんでわかるかって?
私が上司のタスキに、よーくみるとネームプレートにAスタッフって書いてある
ちなみに俺はCスタッフ
「ナスさん、ここは何するところなんでしょうか?」
「説明何も聞いてないの?」
「ここに来いとしか…」
「ここはね、ミョルニル信用銀行が貸した借金を取り立てたり、返すのが難しい冒険者に取り立てる分の依頼金が入りそうなクエストの斡旋をしたりするの。
またまたその逆で、高難易度クエストのお手伝いしたり。ええっと、依頼人が欲しがっている、遺物の探索を手伝ったり、お金になりそうな討伐クエスト一緒に受けて、儲けの8割を借金返済に充てさせたりする、まぁ……取り立て屋件冒険者ギルドって所かな」
えっ何それ聞いてない
戦闘とか一言もお祈りメールに書いてなかったぞ!むしろ取り立てお手伝い課の場所すら書いてなかった。
「闘うんですか?」
「闘うよー!借金踏み倒す奴から、あとついでにモンスター」
にこにことハンマー素振りするナスさん
いやいや、むしろ殺す勢いやん
「んで、シャルル=マヨネーズくん?」
「マヨです!」
「マヨくんは戦闘はどういうスタイルなの?魔法系?物理戦闘?もしかして両方つかえるとか!?」
ワクワクしてずずいと近寄ってくるナスさんはまるで子供みたいに目を爛々と輝かせながら寄ってくる
「魔法剣士いいよね!ほんと憧れるよね!私もこの戦鎚に魔法乗っけられたらなぁ!ねぇねぇどんな風に闘うの!?」
どうしようこの人、すっごい狂戦士の匂いがするよ…あと、ついでに話聞いて!
「いや、あの…」
自慢じゃないけど俺は喧嘩が弱い
魔法戦闘は愚か魔法自体がほぼほぼ使えない上に物理戦闘すら一回もした事が無い。野犬にすら負ける。
だって面接の時戦えますか?なんて言われなかったし?
「よーし、まず戦ってみようか!戦って相手を知れだよね!よっしゃ早速レッツバトル!」
えっちょっ待って待って
「いっくよー!!」
「うええええええ!?」
結果として
もちろん待ってなんてくれなかった。
急にナスさんに手を引っ張られ、凄い力で修練場へ駆け出されてしまった。さすがドワーフ族力強い
いや、あの、話聞いてー!!!!!!!
死ぬから、戦鎚でぶん殴られたら死ぬからー!!
叫んだ言葉だけがサイレンのように響いた。
お母さん、お父さん
初日にて、僕物理的に死にそうです!!
もうやだこの職場!