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「私の父は時々怖い時もありましたが、だいたいは優しい人でした。

県一番の名士でもありました。


家はさほど裕福というほどではありませんでしたけど、それなりに幸せな家庭で私は育ったのだと思います。


ですが、ある日突然、父はおかしくなってしまいました。

本当に突然でした。

私は私の何がいけなかったのか考えました。


言いつけを守らなかった事はなかったし、勉強も欠かさずしました。母から教わった槍のお稽古も一生懸命しました。


何が悪かったのか、結局分かりませんでした。

父は家に帰らない日が多くなり、母は泣く事が増えていきました。


私の何がいけなかったのか、分かりませんでした。


父は家でお酒を飲んで暴れます。

母は泣きやみません。


何がいけなかったのか分かりません。


私はますます、稽古に力を入れました。


悪いものが私達家族を襲っても大丈夫なようにです。私は筋が良かったようで、家を出て、武術の師匠に預けられました。


暫くすると、父がアヘンに手を出したと離れて暮らす母に聞かされました。


とても怖い物だといいます。それからの父はますますおかしくなってしまいました。

母も神経を悪くして寝て過ごす日が続きました。

私は家に戻り、母の介護をするようになりました。でも母は、手足が次第に動かなくなり、排泄もうまくできないようになりました。

食事さえも人の手を借りました。


私は何が悪かったのか分かりませんでした。


その分稽古にも力が入りました。

そして、私は甘夫妻と出会いました。

ご主人は優しい人でしたが、夫人はとても怖い人でした。

二人は医者に診せると言って母をどこかへ連れて行ってしまいました。

私は母を返して欲しいと一生懸命頼みましたが、返してはくれませんでした。

昔の優しかった父を返して欲しいと頼みましたが、夫人はうんとは言ってくれませんでした。


代わりに、私は仕事を与えられました。


それは、王崇姫という女の子の身辺を探る事。仲良くなる事。


そして、最後には殺す事。


それを成し遂げる事ができれば、父も母も戻ってくる。幸せなあの頃に戻れるのです」

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