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 何かが臭う。


 こんなにも上手く事が運ぶはずはない。どこかに落とし穴があるだろうと奥歯を噛んでしまう。


 昼下がりに城内で行われた会議の結果は上々だった。


 満場一致で王韙の太守就任は可決された。これも、ひとえに私の尽力の賜物である訳だが、どうにも腑に落ちない何かを感じていた。


 拍子抜けするほどに抵抗が無く、あっけないほどにスムーズにいったのだ。


「ありがとう。みんなの期待に必ず妾は応えて見せる。来る万庶の大軍を退け、長沙の民を安寧に導こう」


 笑顔で初心表明演説を行う王韙であったが、会場の空気はどこか白々しく空虚に感じられた。


 私が人を疑る余りの思い過ごしだろうか。


 召集に応じない者は実はいた。

 それも少なくはない。


 王韙からの召集に応じる時点で集った彼等には彼女に多少の賛意があると言えるかもしれない。


 応じない者はその逆で、端から彼女の事など認める気などない。


 これらは、流石に捨て置けないので、王韙の意向通り徐曠や嘩蓮などに捕縛に向かわせた。


 その中には、主簿の甘悸かんきもいた。


 甘悸は、五日前に王韙をケチョンケチョンにいたぶった女の夫である。あの女は甘備かんびという名である。


 あれから調べたことだが、過去に王韙の乳母をやって散々虐めていたのはあの女らしい。


 その日の夕刻には全ての不穏分子は獄に落とされた。

 

 それでも、私は不安を払拭することができなかった。


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