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「ふう……」
読んでいた本をパタンと閉じて顔を上げました。
開け放たれた窓からは夜風が緩く流れ込んできます。
ふととある気配を感じて窓の方を見ると、いつの間にか、窓辺に水の入った小瓶が置かれていました。
手に取り、栓を抜くと、まるで意志を持っているかのようにゆるゆると宙に浮かんでいく水。
それが表したものを見て、私は眉を顰めました。
「やはり来月の初めには戻らなくては」
私はずっと考えていた事に決着を付けると、小鳥を一羽夜空に飛ばしてから、本やノートをまとめて研究室を出ました。