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人狼

「出て行った?どうしてだよ!じんろうって


一体 何なんだよ?!」


すると 母が俺の両肩に手を乗せて 今までに


見た事のない 真剣な顔で喋り始めたのでした




「人狼の使命はね 吸血鬼を守る事なの」


「え?吸血鬼を守る?」


「でも昔 人間達との争いで 人狼の一族は


殲滅したと 聞いたんだけど」


「でも もし生き残りが居たとして


人狼が この町に来た理由は・・・」


「美亜ちゃんを 迎えに来たんでしょうね」


「そんな!折角 美亜と仲良くなれたのに…」


「そうね でも 人間社会で 生きていくのは


美亜ちゃんに 過酷なんじゃないかな?」




「だ だけど・・・」


言葉につまった俺を 困った顔で腕を組み


俯いた母の姿を見て ふと疑問に思った


「ねえ 母さん どうして人狼や吸血鬼の事を


そんなに詳しく 知ってるの?」


「母さんの事より 美亜ちゃんはどうするの?


人狼に連れていかれるわよ?」


「そうだった 早く美亜を見つけないと!」


母の言葉に 俺は 思わず立ち上がり


家を 飛び出していた




美亜の 行きそうな場所や心当たりが


ある訳じゃないけど ただ ジッとしては


居られなかった


それは 人狼に手を取られて 去っていく


美亜の後ろ姿ばかり 浮かんでくるからだった


だけど遮二無二走っても 見つかる筈もない


それは 分ってる……




「ハァハァ」


くそ〜 一体 何処に居るんだよ 美亜!


目を閉じた時 脳裏には 何時も無愛想だった


美亜の顔が 浮かび上がり 胸が熱くなった


何処に 何処に居るんだよ!!


その時 頭の中に美亜の声が 響いた気がした


とうとう 幻聴が聞こえる様になったか・・・


そう思った次の瞬間 ハッキリと声が響いた


「熱い 苦しい 助けて……」


違う 幻聴じゃない!




俺は声の聞こえる方へと 走り出した


額に汗する俺を 容赦無く太陽は照らした


こんな強い陽射しの下に出るなんて


吸血鬼には 自殺行為だろ!


そして その声は 次第に大きくなってきた


あの橋の下だ!土手を滑り降りて駆け寄った




すると そこに苦しそうな顔で うずくまる


美亜の姿を見つけた


「おい!大丈夫か!」


肩を抱いて 声を掛けるとチラリと俺を見て


「し 翔太 ど どう してここに・・・」


「迎えに来たんだよ さあ家に帰るぞ!」


「ダメよ 帰れない」


「何言ってんだよ 母さんも心配してるぞ!」


「私は吸血鬼 だから…」


「そんなの関係ない 帰るぞ!」





「残念ながら そうは いかないんだな」


背後から声が聞こえ それを見た美亜が呟いた


「人狼……」


俺はゴクリと息を飲むと 覚悟を決めて


ゆっくりと 振り向いたのでした










































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