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虚実

「行くとこも 無いんだし 居ればいいよ」


頭をかきながら 横を向いて言うと 彼女は


俯いたまま ボソッと呟いた


「有難う…」


その日から 吸血鬼との奇妙な


同居生活が始まったのでした






「ヴァレン・ディス・ラミア」


昨晩 吸血鬼の彼女は自分を そう名乗った


だが 長すぎると言うだけで 彼女の名前は


「美 亜」と母により命名された…


そして 何より 意外だったのは それを彼女が


あっさりと 承諾した事だった




「…太 …翔太 …おい 翔太!聞いてるか?」


「あ 悪い 何?」


「おい! 美亜って 誰だよ?」


「え?ああ 家に連れ帰った あの子だよ って


俺 声に出してたか?」


「ああ 思いっきりな」


純平と京太がニヤリと笑い 俺を見ていた


そんな純平達を横目で見ながら 咳払いをして


「母さんが 美亜を 気に入ったみたいでさ


当分 一緒に暮らす様になったんだよ」


「何だと!何も無かったのか!それじゃ


心配した俺達が バカみたいじゃないか!」




「い いや 何も無かった訳でも無いんだよ」


「何かあったのか? やっぱり吸血・・・」


京太が 身を乗り出した時 始業のベルが鳴り


「早く 席に着けよ〜」の声と共に


担任が教室に入って来た




この時ばかりは 担任に救われた気がした


それは 純平と京太に 美亜が吸血鬼なのを


話すべきかどうか 迷っていたからだった


美亜が吸血鬼だと知れば 果たして


あいつらは どう思い どうするだろうか?


いや 例え知った所で ただの人間の俺達に


何も できる事は無い




その時 あの記憶が俺の頭の中を遮った


人間達が吸血鬼を滅ぼしていく あの恐ろしい


場面が脳裏に はっきりと映し出されると


同時に 気を失い 俺は倒れた




そして目を覚ますと 俺は保健室のベッドの


上で それを純平と京太が 覗き込んでいた


「翔太! 目が覚めたか!」


「純平に京太?それに 俺は一体!?」


「お前 授業中に突然倒れたんだよ


覚えてないのか?」


「そうか あの時の記憶が頭の中を遮って


俺はそのまま気を失ったのか」


「あの記憶って 何だよ??」


「ああ 人間が大勢で 吸血鬼の美亜を


襲ってるんだよ」





「おい 吸血鬼って どう言う事だよ?」


純平と京太の顔からは 血の気が引いていた


「あ い いや 夢の話だよ」


「夢?さっき 記憶って言わなかったか?」


「いやいや 夢に決まってるじゃないか」


「俺には はっきりと記憶って聞こえたが」


純平がチラリと 京太に目をやると


「お 俺にも 記憶って聞こえた」


すると ほら見ろと言わんばかりに 純平が


腕を組んで 俺をジッと見ていた




「2人共 何マヂんなってんだよ


俺が ただ言い間違えただけだって」


「本当か〜?」


「お 俺に そんな記憶がある訳無いだろ?」


「そ それも そうだよな」


純平と京太が 顔を見合わせて 頷いたのを


見た俺は ホッとして鞄を手に取ると


「さ さぁ それじゃ〜 帰ろうぜ」


「そうだな」


二人を 誤魔化す事は 出来たんだろうか?


不安が残る中 学校を後にしたのでした
















































































































































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