夏休み新聞5ページ
「さあ、山だー!川だー!ここ何処だー!」
「なにぃ?!」
「祐希、道知ってるんじゃなかったのね……」
「いやー、よく考えればいっつも車だったな。まあ、テンション上げて行こう!」
「無理だろ!」
遂に始まった夏休み。旅行先は川ありの山に決定。当初の予定通り山奥にある祐希の祖母の別荘に遊びに来たのだが、なんと祐希の祖母が用事で車が出せないとのこと。仕方がないので歩いて別荘を目指す事に……
「遭難したらまず火を起こそう!」
「無人島かここは、ってもう火付けてるし!山火事とかになったらどうすんだ!今すぐ消せ!」
「とりあえず誰かコンパスとか持ってない……」
おお、方位磁石で何とかなるとは思えないけど、まともな意見でたな。でも持って来るか、普通……
「おお、俺持ってんで!いや〜偶然やな、ちょっと待てよ」
……これは凛の言い方が悪いと取るべきか、賢人のボケが鬱陶しいと取るべきか
「さあ、遠慮せずどんどん円をかいてくれ!あ、今鉛筆出すからな」
明らか後者だな
そうこう考えている間に凛によって放たれた鉛筆が賢人の頬を掠めた
「今なら私ヘッドショットキル出来そうな気がする……」
そうなる気持ちも分かるけど、今は落ち着こう
とりあえずここはどの辺かぐらい知らないとな……
「祐希、地図貸して」
「……はい」
「いや、返事はいいから地図を……」
「はい」
はい?肺、杯、灰、牌……
「灰ぃ!」
こ、こいつら地図燃やしやがった!
「じゃあ明かってくるからねー、ここ動いちゃ駄目だよー」
「ああ、行ってらっしゃいーーさて、これからどうしよう、地図も無いしな……」
「圭介、今思ったんだけどーーここ何処や?」
「今更!?山で遭難中だよ!」
「じゃあ明は何処に行ったんやろうね……」
「山だねー」
「鹿とか狸とかわんさか居そうやな」
「ちゃんと狩ってこれるかな?……ってハント?!」
んなわけ無いな、どっかに店があるなら正規ルートに帰れるな!とりあえず明の帰りを待つか……
「ほんなら明の帰りを待つ間に防犯グッズのご紹介〜」
また、賢人変なものを作って来たな。
「これは小学生に人気の商品ですね、怪しい人が来たらこのピンを引き抜け!」
こいつが防犯ブザーごときで満足するはずがない。何か仕掛けがあるな。例えば煙幕が出るとか?まさかな……
「爆発します」
何だ、ただの手榴弾か……って煙幕越えたーー!
「ピンを抜いてから0.5秒ほどで爆発する。どうだこの速攻性!」
「じゃあ誰が抜くんだよ!不審者か?不審者が自爆するのか!?」
「……道ずれにどうぞ」
「防犯する気ねー!」
「おかえり明、何処に行ってたの?」
「ここに来る途中お店が並んでるのが見えたから。」
「それじゃあ元の道に戻れそうだな!それで何を買ってきたんだ?」
「え?使うかな〜と思って、とりあえず地図と方位磁石を……無くてもいけそうだね」