新聞部
誰が所属しているのか分からない
活動しているのかすら不明……
柳亭学院、新聞部
俺はそこに入部する事になった。
話は少し前に遡る……
「と、いう事で笹木 , 圭介君を我らが新聞部の部長にしたいと思います!」
「俺が部長をやるのか!?」
周りからは拍手喝采、完全に面倒ごとを押し付けようとしているのが伝わって来た。
そう、俺は入部どころか部長にさせられる羽目になる。
そして、さらに話は遡る。あれは入学式の翌日の話……
俺は教室にいた。今考えればあの時、遅れないようにかなり早く家を出たのが間違いだったのだ。友人と呼べる存在はまだ出来ず、クラスメイトとコミュニケーションをとる時間なども考慮して早めに登校してしまった。
友人がいないとは書いたが、決して引っ込みがちのインドア派というわけではない。中学時代はバスケ部の副キャプテンを務めたし、クラスのノリについてゆけず、浮いた存在というわけでも無かった。
ただ単に、同じ中学だった奴がこの学校におらず、まだ入学して間もないため、友人が出来ていないそれだけの事だ。
隣の教室で喧嘩が始まったらしく、俺は興味半分で覗いてしまった。しかし、この判断がこれからの高校生活を左右する事になった。
喧嘩をしていたのは背の低い女子2人。1人はポニーテール。気が強そうで、(直感たが)ヤバイオーラを放ってる。絶対敵にはしたくないと心の底から思う。だから、もう1人のショートヘアーで可愛い顔立ちの女子を尊敬すると共にその身を案じる。
……なるべく関わりたく無かった。
「お前!私とこいつ、どっちが背が高い!」
喧嘩の内容が小学生レベルで答える気も失せる。ーーなどと言ったら殺されそうなので……真剣に考えます!見た目完全に一緒で結論は「同じ」だが、それでは納得しそうもないので、髪の毛のリーチを考慮すると……
「ショートヘアーの彼女です!」
……俺がこの高校に入学して最初のミス、
「おーい、俺は男だそ?!」
そこからは頭が真っ白になり覚えてない。
ただ、名前は祐希という事だけは覚えていた。
そして、失礼極まりない事をした代わりに新聞部を作るから入って欲しいと頼まれた。
まあ、特にどの部活に入ろうか決めて無かったため。
作る事にした、新聞部を!
俺が新聞部の部長になって2ヶ月が経過するが、なかなか変わった部活になってしまった。
まずは俺なりに部員をまとめてみた。
小方・祐希ーー新聞部の副部長、背が低い。よく女子と見間違われ、本人も慣れているよう?、特技は女装……
高井・凛ーー祐希とよく喧嘩する。ポニーテールで気が強いが常識人で、祐希以外は基本的に穏やか。特技は……
木原・賢人ーー危険人物!とにかくこいつから目を離す訳にはいかない。
黒部・明ーー新聞部のムードメーカー、財政担当
情報が入って来なくなる為、自分が新聞部である事を内緒にする事にした。
で、頭悪い奴が多すぎる。中間テストも欠点続出……
現に今も期末テスト1週間前で祐希の家で勉強会を開くというから向かっているが、勉強会になるかどうか不安だ。
「おっ、全員揃ったな!」
どうやら俺が最後だったらしい。
「賢人、全員揃ったんだから話せよ」
「ふっふっふっ、俺はとんでもない物を発明してしまったんや!」
不安だ……
「明……テスト勉強は出来てるかー」
「出来てる訳無いじゃないですかー」
おそらく、床に散乱する様々な誘惑に負けたのだろう。
「でもまだ一週間あるぞ……」
しかし、俺の意見は当然のごとく流された。
「祐希……今回のテストは出来そうか!」
「出来ません!」
戦意喪失か
「やる前から諦めんなよ……」
凛が俺の肩に手を置いて首を振る。これは無駄だという事なのだろうか?
「圭介は嫌いかー」
「オー!」
「なんで俺なんだよ!」
久しぶりに全力でツッコンでしまった。
「圭介みたいに背が高くて、勉強も運動も出来る奴なんて、この世にごまんといないからからでしょうがぁ!」
なんか今日は気分がいい。
「ーと、そこでこんな物あったら便利じゃね?って物を紹介してやる!」
何が入っているのか分からない大きな鞄から、シャーペンと絆創膏と薄い何かが出てきた。
「勉強が出来ないなら、テスト中に教えてもらえばええと思わんか?まずはこのマイク内蔵型シャーペンをそこら辺にいるどっかの頭が良くて調子乗ってる圭介に装備する。」
圭介はマイク内蔵型シャーペンを装備した。
圭介の連携が15上がった。
「ー装備させたら、この超薄型スピーカーを絆創膏で自分の耳の裏に貼り付けろ!そしたらテストは完璧だ」
「何が完璧なんだよ!」
ピピピピ……
「おおー、凄い聞こえるじゃん!」
「これならテストはバッチリだな!」
……そ、そうだろうか?
「このスピーカーとマイク内蔵型シャーペンさらに、絆創膏もお付けして。なんとお値段変わらず1500円!」
「買ったー!」
「売るなー!」
勿論、後者が俺である。