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約束の蒼紅石  作者: 夢宝
魂の傀儡子編
4/29

平穏と序章の終止符

こんにちは!夢宝むほうです! 予告通りなんとか今日に掲載することが出来ました!正直テストが終わってからの3日間での執筆だったのでかなり大変でした……(笑)まあでも話自体はだいぶ前から練りこんでいたのでそれに修正を入れつつの執筆だったので何とかなりました!読者の皆様には長いことお待たせしてしまったことに対しての申し訳ない気持ちでいっぱいです。またこれからも読んでいただけるように頑張っていきたいと思います!では「約束の蒼紅石」第4話お楽しみください!

 「……お兄ちゃん!?」

 「謙介さん……」

 卓と真理は驚いた様子で青年、篠崎謙介を見た。

 「2人とも下がってていいよ。」

 謙介はへびの魂玉に完全に背を向けて2人に向いあった。すると蛇の魂玉は謙介の頭上に大きな頭から飛びかかった。 

 「お兄ちゃん! 後ろ!」

 「心配ご無用。」

 謙介は魂玉を振り返ることなく手に持った西洋の剣で真っ二つに切り裂いた。

 二つに切り裂かれた魂玉はその場で切られても少し暴れた後、動かなくなり消滅した。

 「……すごい。」

 その様子を見ていた卓はただ呆然としていた。

 「謙介! 外にいた魂玉は討伐したよ。」

 突然家庭科室の窓からスレンダーな女性が飛びこんできた。

 「要、こっちも今終わったよ。」

 謙介は要にふっと笑顔を見せた。

 「お兄ちゃん、どうして鳴咲市に……?」

 「ん? ああ。一時的にこの町に配置されたんだ。実はもうすでにこの町に魂の傀儡子はいる。」

 「「えっ!!??」」

 卓と真理は同時に反応した。

 「昨日、俺と要は直接魂の傀儡子と剣を交えた。」

 「やっぱり強かったけどね。」

 要ははあっとため息をついて苦笑いした。

 「やつの目的を知ることは出来なかったけどこの町が大きく関係していることは間違いないという本部の考えでね。俺達は魂の傀儡子殲滅までこの町に配置されることになったというわけだ。それに俺たちが配置されたからといって勝率はせいぜい数パーセントしか上がらないだろうけど。実は先日、スイスであのイザイとヴァーグアーがやつに殺された。」

 「えっ? あのヨーロッパ支部弐〇騎士にじゅうきしの2人が!?」

 真理は驚きを隠せなかった。だがそれも当然である。ヨーロッパ支部弐〇騎士とは2人一組みで行動する討伐者計10組のことを指し、ヨーロッパの討伐者のトップ10というわけである。

 「ああ。本部はこの事態を深刻に受け止めていてな。しかも魂の傀儡子はやたらと魂玉をこの町に配置している。まるで何かを探させているかのように。それに対してこの町は討伐者の配置が少し足りなかったんだ。だから俺達も今回特別にここに配置された。」

 謙介は話しながら手に持っている剣を石の中にしまった。

 「あの、謙介さん……」

「ん? 何だい弟くん?」

 謙介はさっきまで少し堅かった表情を崩してにっこりほほ笑んだ。

 「真理はともかくその、俺なんかがこの戦いに参加するのはかえって迷惑になるんじゃ……」

 卓は唇を噛みしめて少し俯いた。

 「……確かに今のままでは戦力として数えることは難しいかもね。」

 謙介は笑顔のまま卓に言い放った。

 「……」

 卓はそれを聞いて無言でそのまま立っていた。内心自分の無力さに苛立ちすら感じいていた。

 「でも、だからこそ今日2人に会いに来たんだよ。」

 「えっ……?」

 その言葉に卓はぱっと顔を上げた。

 「謙介もあなたには期待しているのよ? だから今日は提案があってあなたたちに会いに来たわけ。」

 謙介の後ろに立っていた要が前に出てきてにっこりと笑った。

 「提案?」

 真理も謙介の言葉に聞き返した。

 「そう。この町の北に海岸があってそこに灯台があるんだけどね。実はそこの地下は本部の所有しているある施設があるんだ。」

 「施設……?」

 卓は灯台を思い起こして施設の存在が自分の記憶にないことを確認した。

 「うん、まあいわゆる特訓用の施設なんだけど、そこなら通常の何十倍の速さで贈与の石の力を引き出すための経験値が積めるわけなんだ。もうすでに魂の傀儡子はこの町に来ているわけだからあまり時間がないのも事実。ならもう急激な戦力アップにはこの方法しかないと思ってね。」

 「やります!」

 謙介が話し終わると同時に卓はすがるように言い放った。それを見て謙介と要は少しきょとんとしたがすぐに表情を戻した。

 「でもこれは想像以上にきついよ? なんせ通常1年以上かかることを1週間でやるんだから。」

 「大丈夫です! それに俺決めたんです。これからは俺が真理を守るって。」

 「卓……」

 それを聞いた真理は少し頬を赤らめて嬉しそうな表情をした。

 「はは。真理もいい男に好かれたもんだ。」

 謙介がからかうように言うと真理は慌てたようにそんなんじゃないわよと否定した。

 「じゃあ弟くん、君たちは来週からテストがあるんだろ? だったらテスト後にでも灯台に来てくれ。」

 「え、あ、はい。」

 「待ってお兄ちゃん。私もその施設で訓練する。」

 真理は卓より一歩前に出た。

 「そう言うと思ってたよ。いや、そうでなくては困る。今回の相手は強敵だからね。真理も強くなる必要がある。」

 「うん。」

 真理は謙介の言葉に強く頷いた。

 「じゃあ俺達はそろそろお邪魔するよ。伝えたいことは全部伝えたからね。」

 「じゃあまた会いましょう。」

 そう言い残して謙介と要は家庭科室の窓から外に出た。

 そのあとに真理は断絶を解いた。ぐちゃぐちゃになった家庭科室は元に戻ったが一部の窓は壊れたままだった。

 「相変わらず謙介さんはかっこいいな。」

 「そう? 討伐者としての実力は認めざるを得ないけどね。」

 真理ははあっと小さくため息をついた。

 「そういえばあの要さんって謙介さんとはどういう関係なの?」

 「私も詳しくは知らないんだけどなんかお兄ちゃんの2番目のパートナーらしいよ?」

 「2番目?」

 「うん、なんか最初のパートナーは1年ちょっと前に亡くなったらしいの。」

 「そうか……」

 卓と真理は家庭科室を後にして蓮華と春奈が待っている教室に戻った。

 「たっくん! 真理ちゃん!」

 二人が教室に戻ると蓮華が心配そうな表情で駆け寄ってきた。

 「何で2人ともそんなぼろぼろなわけ?」

 春奈も卓と真理の制服が汚れているのに疑問を持って近づいてきた。

 「いや、まあなんだちょっと転んじゃって……」

 卓は乾いた笑いでごまかそうとした。

 「……まあ怪我も大したことないなら別にいいんだけど?」

 最初は目を細めていた春奈もすぐに卓と真理の無事に安堵した。

 「もしかして、また魂玉?」

 横にいる春奈に聞こえないように蓮華は卓の耳元で聞いた。

 「まあな。蓮華は心配しなくていいよ。」

 卓は蓮華の頭にポンと手を置いた。蓮華も本当に?と上目遣いで聞いた。卓はそれに力強く頷いた。

 「じゃあ今日はそろそろ帰ろうか!」

 春奈の言葉に他の3人も頷き学校を後にした。3人は寄り道もすることなくそれぞれの家に真っすぐ帰った。


 同日、午後7時。聖徳高校家庭科室。

 日は完全に沈んだ家庭科室に差し込む月明かりは2人の男女のシルエットを映し出していた。

 「危うく壊れた窓の修復を忘れていたよ。」

 月明かりに照らされた謙介は掌に自らの贈与の石を乗せそれを光輝かせていた。

 その光を浴びた壊れた窓の破片は光を纏いみるみる元通りに戻っていった。

 「謙介もまめよね。これくらいの破損ならほっておけばいいのに。その時空調整トラベリング・コントロールってそれだけでもかなりの力を使わなくちゃいけないんでしょ?」

 「まあな。でもあまり弟くんに迷惑かけられないだろ?」

 「弟くん?」

 要はいたずらな笑みを浮かべて謙介の顔を覗き込んだ。謙介はそのクールな顔を少し赤らめて要から目を反らした。

 「本当は妹さんのためなんでしょ? 可愛い妹に迷惑かけて嫌われたくないから。」

 「うるさいぞ。」

 窓の修復が終わると謙介はネックレスにしてある贈与の石を首からかけた。

 「はいはい、怒らないの。」

 要は子供をあやす様な口調でクスクスと笑った。

 「ちょっと年上だからっていつもいつも……」

 謙介ははあっとため息をついた。

 「謙介はまだ19歳なのに大人すぎるのよ~。もっと可愛げがあってもいいのに。」

 要は少し頬を膨らませた。

 「要だってまだ20じゃないか。」

 「それでも年上なんだから敬語くらい使いなさいよ~」

 「うるさい。」

 謙介は体を揺さぶってくる要をため息混じりであしらった。

 「もお~!」

 要は拗ねたようにそっぽを向いた。

 「ところで、今週と来週はこの辺一帯の魂玉は俺達で討伐することにしたいんだが。」

 「妹さんのため?」

 「……」

 謙介は口を閉じて要から目を反らした。月明かりに照らされた彼の頬をまだ赤らんでいた。

 「ホント、シスコンなんだから。」

 要は呆れたように言い放った。

 「悪いか?」

 「……はいはい。」

 要も観念したように頷いた。

 「ところで、話しは変わるんだけど。」

 要は少し真面目な表情をして謙介に向き直った。

 「あの2人を今回の戦いに巻き込むのは止めた方がいいんじゃない? それが可愛い妹さんならなおさらよ。」

 「……俺だって出来るならそうしたい。でもそれは出来ないんだ。本部からの命令でもあるし、何よりアイツ自身討伐者であることに誇りを持っている。」

 謙介の目には何かを決断するときのような力強さが垣間見えていた。

 「でも、5年前妹さんは奇跡的に助かった。でも今回もそんなことが起こるなんて限らない。むしろそんなこと起こるわけがないのよ? 私は謙介との付き合いは最近だけど、一度だけ見たあなたのあの悲しげな表情は忘れられないの。もうあんな顔見たくないわ。」

 「……俺にどうしろと?」

 「私たちだけで倒すのよ。この一週間で。」

 「本気で言っているのか? つい昨日戦ったばかりで分かっているだろう。俺達2人じゃ万が一でも勝つことはない。」

 謙介はそう言って家庭科室から出ようとしたが、謙介の腕を要はがしっと掴んだ。

 「でも私たちがやるしかないじゃない! 彼らはまだ未熟過ぎる!」

 謙介は腕を掴まれた手をゆっくり振り払って要に向き直った。

 「要、勘違いするな。俺は真理と同じくらいお前も大事なんだ。そんな無理をしてまた俺にあのときの表情をさせないでくれ。もう大事な人を失うのはごめんだ。」

 「えっ……」

 要は意表を突いた謙介の言葉にボフッと顔を赤らめた。

 「魂の傀儡子は、みんなで倒そう……」

 謙介はそう言って家庭科室から出た。要も謙介が家庭科室を出た後で潤んだ口元を手で隠すようにしてついて行った。

 

 


 十日後、聖徳高校。

 「期末試験も終わった~! ウチの高校って期末試験の時期早いからこれから夏休みなで気楽でいいわよね!」

 最後のテストを回収し終えたクラスには緊張の糸が切れたような安堵感とテストが出来なかった者の絶望感が入り混じった独特と雰囲気を醸し出していた。そんな中で春奈は意気揚々とテスト終了の一瞬を満喫していた。

 「春奈は今回大丈夫だった?」

 蓮華が春奈に尋ねると春奈はブイサインをして蓮華に抱きついた。

 「蓮華のおかげでもうばっちり! ありがと!」

 「あはは。どういたしまして。」

 蓮華も少し照れくさそうに春奈に抱かれた。

 「真理はどうせ余裕なんだろ?」

 卓が真理に悪戯っぽく聞いてみた。

 「当然! こんな簡単なテストなんてテストとしての意味を成さないくらいよ。」

 真理は得意げな表情で答えた。

 「まあ今回も俺は蓮華のおかげで結構上出来だったな。」

 「良かった。」

 蓮華は卓に優しく微笑んだ。

 「……でアイツは……」

 卓は恐る恐る少し離れた席でうつ伏せになっている悪友の陽介に視線をやった。

 「ふん! あんな馬鹿はほっとけばいいのよ!」

 春奈は軽蔑するような眼差しで死にかけている陽介を睨みつけた。

 「……ひどいじゃないか。」

 春奈の言葉にピクリと耳を動かした陽介はのそりと起き上がってゾンビのように近づいてきた。

 「来るなああああ!」

 春奈は容赦なく陽介を蹴り飛ばした。陽介はそのまま蹴り飛ばされ壁に激突して力なく倒れ込んだ。

 「ありゃ重症だな。」

 卓の一言に蓮華も真理も苦笑いを浮かべていた。

 「ところでさ、今日から1週間試験休みじゃん? これからみんなでプールにでも遊びに行かない?」

 陽介とのやりとりをなかったかのように振り払った春奈は目を輝かせて3人に訊ねた。

 「プール? でも俺達水着なんか持ってきてないぞ?」

 真理と蓮華も顔を見合わせて頷いていた。

 「大丈夫! この前出来た大型のプール施設でね、水着もそこで貸出してくれるの! 種類もサイズも豊富で人気なんだよ?」

 話しながら春奈はカバンからそのプール施設のチラシを出して見せた。

 ちなみにこのプール施設は聖徳高校から北にバスで13分ほどのところにある。

 「まあ水着を貸してくれるってんなら行ってみるか?」

 卓が真理と蓮華に聞くと二人ともうん!と満面の笑みを見せた。

 「決まりね!」

 4人は今だにノックアウトしている陽介を置いて教室を後にした。

 

 4人がバスに乗ってから15分後、4人ともプール施設の入り口で驚愕していた。

 「チラシで見てたより大きい……」

 「最近のプール施設は発展してるんだな……」

 「「……」」

 真理と蓮華は言葉すら出てこなかった。

 ここ鳴咲ウォーターランドは日本でも有数の超大型プール施設で、温水プールや流れるプール、波が起こるプールなど全20種類のプールに超巨大ウォータースライダーなどのアトラクションも7種類もあるという大規模なものだ。平日にも関わらず、その規模の大きさから他県からの客や地元民なども大勢来ていた。

 「さ、さあ早く行きましょ!」

 春奈が先陣を切って入り口のチケット売り場に向った。

 「一人1500円か。これだけの施設でこの値段は安いんだろうな。」

 卓の一言に春奈はえへんと得意げに胸を張った。

 「そうなのよ! ここのプール施設は他に比べても引けを取らない、むしろ勝っているくらいなのにこの安さ! 鳴咲市のシンボルと言っても過言じゃないわ!」

 「シンボルって……最近出来たばかりなんだろ。」

 春奈のテンションに蓮華も苦笑いを見せている。真理はほへ~などと感動のあまり入り口から中の様子をキョロキョロ見回していた。

 「はい、これみんなの分。」

 春奈はそう言って3人にチケットを配った。

 「城根は男子だからあっちからの入場ね。」

 そう言って春奈は今いる場所から10メートルほど離れたもう一つの入り口を指さした。

 「おう。じゃあまたあとでな。」

 卓は男子用の入り口から、他の3人は女子用の入り口へと姿を消した。


 鳴咲市ウォーターランド女子フロア。

 「うっわあ~! 素敵な水着!」

 春奈は目をキラキラさせて大きな部屋に張ってあるレールから掛かっている無数の水着を次から次へと手に取って行く。

 「本当にこんなにあるんだ!」

 蓮華もビキニやワンピース型の水着などを手にとって見比べていた。

 「卓ならどんなのが好きかな。」

 真理は真理でぶつぶつ呟きながら真剣に選んでいる。

 「真理ちゃんにはこのワンピース型の水着が似合うと思うよ?」

 蓮華は自分が手に持っていた薄いピンクで少しフリルの着いた水着を差し出した。

 「私もそれ真理ちゃんに似合うと思う!」

 春奈もその水着を推奨した。

 「そ、そうかな?」

 真理は少し照れくさそうにその水着を受け取った。

 「で蓮華はこれだと思うな~」

 春奈はニヤニヤしながらオレンジのビキニを差し出した。

 「ええ!? こんなの恥ずかしいよ~」

 「大丈夫大丈夫! 絶対似合うから!」

 「そういう春奈はどれにしたの?」

 「私はこれ!」

 春奈は背中に隠していたパープルの水着をバンと前に出した。

 「どお? 大人っぽいでしょ!?」

 「う、うん。」

 蓮華も観念したように春奈の手からオレンジの水着を受け取った。


 同時刻、ウォーターランド、プールサイド。

 トランクスタイプの水着を着用した卓はプールサイドで辺りを見回した。

 「やっぱ中もすっげー広いな。あんなでっかいウォータースライダーもあんのかよ。」

 プールはざっと見回しただけでも7種類は見えてそのどれも来客でいっぱいだった。

 「卓~!」

 そんなことをしていると背後から真理の声が耳に届いた。

 「お~遅かったな。」

 「女の子は時間がかかるものよ?」

 春奈は悪戯っぽく微笑んだ。

 「ごめんねたっくん。」

 「……!?」

 小走りで近づいてきた水着姿の蓮華を見て卓は少し心臓が高鳴った。

 「あ、今蓮華にときめいたでしょ?」

 そんな少しの変化も春奈は見逃すことなく探求してきた。

 「ばっ! そんなことねーよ。」

 卓はすかさず春奈から目を反らした。

 「卓! 私の水着はどう?」

 ばっと卓の目の前に真理が立ち塞がった。

 「あ、ああ。似合ってるよ。」

 「……」

 真理はじっと目を細めて卓の様子をうかがった。

 「……可愛いよ。」

 観念した卓のその一言に真理の表情はぱあっと明るくなった。

 「じゃあ早速プールに入ろう!」

 春奈は真理と蓮華の手を引っ張って流れるプールに向った。

 「ほら城根も早く!」

 「お、おう!」

 卓も3人の後に着いて行って流れるプールの近くまで行った。

 「意外と流れが速いな……蓮華大丈夫か?」

 「う~ん……どうかな……」

 蓮華は少し不安そうな表情をしていた。というのも蓮華は水泳は苦手な種目だからだ。まるっきり泳げないわけではないのだが、それでも50メートル泳げるくらいのレベルだ。それも普通のプールでの話だ。

 「だから城根が蓮華を支えなさい!」

 春奈はバンと卓の背中を叩いた。

 「いって! 何するんだ!」

 卓の声が春奈に届くことは無く既に真理と2人でプールに流されていた。

 「あ、あの私はここで見てるからたっくんも……」

 「……ほら。」

 卓は少し気恥ずかしそうに手を差し出した。

 「えっ?」

 突然のことに蓮華も少し戸惑った。

 「せっかく来たんだからいっしょに楽しまないと損だろ?」

 「……うん!」

 蓮華は満面の笑顔で卓の手を取って二人でゆっくり流れるプールに入った。

 「流れが速いからな。俺の手を放すんじゃないぞ。」

 「うん!」

 蓮華は卓の手をしっかり握りながらプールに入った。

 「お似合いのカップル発見!」

 既に一周流されてきた春奈が茶化すようにニヤついていた。そしてそのあとに流れてきた真理は面白くなさそうにぶすーっとした表情で流れてきた。

 「お前な!」

 卓と蓮華は顔を赤らめて思わず手を放してしまった。

 「あっ!」

 次の瞬間蓮華が水の流れに乗って卓の少し前に流されてしまった。

 「蓮華!」

 慌てて卓はバタ足と水の流れに乗って蓮華の前に出て体を抱き押えた。

 「大丈夫か!?」

 「う、うん。」

 蓮華は少しびっくりした表情だったがすぐに笑顔に戻った。

 「そっか、よかった……!?」

 卓は自分の身体が蓮華に密着しているのに気付き手を握ったまま少し離れた。

 「あ。悪い……」

 「……ううん。別に嫌じゃなかったから。」

 「えっ?」

 「……」

 二人はゆっくり水に流されながらどことなく気まずい空気が流れていた。

 「お二人さん遅いよ!」

 またまた流されてきた春奈と真理が近づいてきた。

 「仕方ないだろ蓮華は泳ぎが苦手なんだから!」

 「ごめんね……」

 「あ、いやそういう意味じゃなくて!」

 卓が少しあたふたしたのを見て春奈はニヤリと笑った。

 「お熱いことで。」

 春奈が2人を追い抜く瞬間にポツリと笑いをこらえながら呟いた。

 「ったくあいつは……ごふっ!?」

 蓮華を掴んでいた卓の背中に真理が激突した。

 「当っちゃった。わざとじゃないのよ?」

 あからさまに悪意に満ちていた真理の表情は卓に一切の反論も認めさせてはくれなかった。

 「分かったから離れろ。動きづらいだろ?」

 「蓮華はくっついてる。」

 「蓮華は泳げないんだ。」

 卓と手をつなぐ蓮華と卓の背中にくっつく真理というなんともシュールな光景で3人は水の流れに乗って流れていた。

 「蓮華ばっかり……」

 「真理ちゃん……」

 少し寂しそうな真理の表情に蓮華も少し心配した。

 「はあ……分かったよ。そのままでいいよもう。」

 「本当!?」

 「ああ。」

 卓の言葉を聞いて真理はもっと卓の背中にくっついた。周りの客はその光景をちらちらと見る者が多かったが卓はあまり気にしないようにした。しかしすれ違うたびに冷やかしを飛ばしてくる春奈だけは気になって仕方なかった。

 それからしばらく流れるプールで遊んだ後で4人はプールサイドに置いてあるパラソルの下で売店で買ったやきそばやフランクフルトなどを食べていた。

 「次はどのプールで遊ぼうか?」

 春奈はやきそばを頬に頬張りながら提案した。

 「だったらあの巨大なウォータースライダーなんかはどうだ?」

 「ふ~ん」

 卓の一言に春奈はニヤニヤした。

 「な、なんだよ!?」

 「い~や、城根も策士よのお~。ウォータースライダーなら自然と蓮華に密着できるもんね。」

 「ばっ!? んなこと考えてねーよ!」

 卓は焦ってその場で立ちあがった。横に座っている蓮華も目をパチクリさせて卓を見上げていた。

 「あはは。冗談、冗談。」

 ケラケラ笑う春奈の横でジュースを飲みながらつまんなそうな顔で真理が目を細めている。

 「お前が言うと冗談に聞こえないんだよ……」

 卓は呼吸を整えて座りなおした。

 「ごめんってば。まあそれは冗談だけど、確かにウォータースライダーは楽しそうね。」

 「私も興味ある。」

 ジュースの飲みほした真理は立ちあがってウォータースライダーの方を見た。

 「じゃあみんなで行ってみるか。」

 やきそばの空き容器を捨ててから4人でウォータースライダーに向った。

 「きゃははははああああ!」

 春奈は両手を上げて叫びながら巨大なウォータースライダーを滑った。その後から真理も同じように叫びながら滑った。そして最後は勢いよく下にあるプールに頭からドボンと落ちた。

 卓と蓮華はまだウォータースライダーの上で立ちつくしていた。

 「やっぱ蓮華は無理しなくていいんじゃないか?」

 「ううん、私もこれやりたいから。」

 蓮華は首を横に振ってから恐る恐る下を見下した。

 「……」

 蓮華の肩は小刻みに少し震えていた。卓はそれに築いて蓮華の手をそっと握った。

 「えっ?」

 突然のことに驚いた蓮華が卓を見上げると卓はにっこり笑っていた。

 「蓮華は意外と強情なとこあるからな。一緒に滑ろう。」

 「……うん!」

 卓の後ろに抱きつくように蓮華が座ってウォータースライダーを滑った。

 「うおお! 意外とスリルあるな!」

 「きゃああああああああ!」

 蓮華の叫びはもはや絶叫と呼べるものだった。蓮華は結局下のプールに落ちるまで絶叫し続けていた。

 「大丈夫か?」

 卓はすぐに蓮華の身体を支えてプールの端まで泳いで連れて行った。

 「う、うん。でもあんなに叫んじゃって恥ずかしい……」

 蓮華の顔はみるみる赤くなった。

 「ははは。確かにあんなに叫ぶ蓮華あまり見たことないもんな!」

 卓は蓮華をからかうように頭をポンポンと叩いた。

 「もお意地悪!」

 蓮華はプクーと頬を膨らませてプールサイドに上がった。

 「蓮華~! 城根~!」 

 先に滑り終わった春奈と真理がプールサイドに上がった蓮華に駆け寄ってきた。

 「どうしたの?」

 「あっちでこれからイベントがあるらしいの! 行こうよ!」

 春奈は興奮気味に反対側の大型プールを指差した。そこにはすでに大勢の客が集まっていた。

 「イベント?」

 プールサイドに上がった卓が春奈に訊ねた。

 「なんか誰でも参加出来るらしいよ! 優勝すれば懸賞もあるらしいの!」

 春奈の目は輝いていた。というものの春奈は人一倍勝負事が好きな性格でその上負けず嫌いでもあるのだ。

 「まあ行くだけいってみるか。」

 卓もそこまで嫌ではなく蓮華と真理が頷くのを確認してから春奈の後からイベントのあるプールに向った。プールに着くと周りのプールサイドには人の壁が出来ていて、その上には天井から吊るされた巨大で色鮮やかに装飾されたプレートがあった。プレートには水球大会と書かれていた。

 「イベントって水球大会のことだったのか。」

 卓は少し離れたところからプレートを見上げて納得していた。

 「そうらしいわね! でもこの大会は3人1組らしいから私たちでも参加できるのよ!」

 春奈はさっきより増して興奮していた。

 「3人1組か。なら蓮華は無理しないで見ていてくれよ。」

 「うん。私もこれはちょっと無理そうだし……」

 蓮華ははあっとため息交じりに苦笑いした。

 「じゃあ俺と真理と風下で参加するか!」

 卓は気合いの入れながら腕や首を回したりした。

 「いえーい! やっぱ優勝あるのみ!」

 風下も片腕を天井向けて上げると勝利のポーズをとった。

 「私は水球初めてなんだけど。」

 真理も一応やる気はあるらしいが、春奈に比べると相当ローテンションに見えた。

 3人は出場エントリーを終えると、係員からルールの説明や注意事項を聞いた。そのとき蓮華は大勢の客をかき分けてやっと一番最前列まで辿り着いていた。

 そんな騒がしさに包まれながら時間は10分ほど経過し、その後プール施設全体に響くくらいの声がマイク越しで響いた。

 「さあ! 今年も始まりました! 毎年恒例の夏の水中競技大会! 今年の種目は水球となります!」

 司会のテンションの高さに釣られて観客のボルテージも早くも最高潮を迎えた。

 「今年もたくさんのチャレンジャーが集まったぞ! 3人1組の今大会で出場グループは前18組! 9組ずつ分かれてのトーナメントで進行するぞ! それでは出場者に入場してもらおう!」

 司会の言葉を合図にプール施設内に闘志が燃え上がるような力強い音楽が流れ出し、それに伴って観客がいないプールサイドから全54人の出場者が出てきた。

 「すでにトーナメントのくじ引きはしてもらっているぞ! 戦いの舞台はこの巨大プール! しかし時間の都合上2つのトーナメントを同時に行うためこのプールで同時進行するぞ! ではスタンバイ!」

 司会が大きく片手を振り上げると巨大プールの下からプールを半分に仕切る巨大なプラスチック板が現れた。巨大なプラスチック板は水面上だけでも2メートルはあるもので暑さも50センチ以上ある大型のものだった。

 「このプール名物の一つでもあるこの仕切りいかがでしょうか! さあ戦いの舞台は出来あがった。あとは熱きチャレンジャーたちによる熱い戦いだけだ! ではいざ勝負!」

 司会の退場と観客の歓声がイベントの開始合図となった。

 まず第一フィールドで卓、真理、春奈のチームとその相手はたまたま遊びに来ていた女子高生3人組のチームが顔を突き合わせていた。

 「さあ! 勝つわよ!」

 春奈は水の中でピョンピョン跳ねていた。

 「水球ならまあ男のいる俺らの方が有利かな。」

 「ところで城根、水球って何?」

 春奈の頭上にははてなマークがいくつも出てきているような表情をしていた。

 「……お前、何の知らないのか。水球ってのはまあ水の中でやるハンドボールみたいなものだ。本来は7人で1チームなんだけど、今回は3人のミニ水球みたいだけどな。それからボールをあの黄色いラインのゴールに入れれば得点になるんだ。」

 そう言って卓が指差した先には黄色い紐で作られたゴールがあった。

 「なるほどね。いいじゃない分かりやすくて。」

 「卓は水球やったことあるの?」

 真理は卓の前に回り込んで訊ねた。

 「前に一度だけ陽介達とやったことがあるんだ。結構水の中で動き回るのはつらいんだけどな。」

 「へえ~。やったことある人がいるなら私たちの方が有利よね。」

 真理は少し口元を緩めて相手チームを見た。相手チームの女子高生3人は何やら楽しげに世間話をしていた。

 「では第一線早速始めます!」

 プール施設に響くホイッスルと同時にプールの真ん中にボールが投げ込まれた。それと同時にさっきまで世間話をしていた女子高生3人は綺麗なフォームのクロールでボールを取りに行った。

 「早い!」

 それを見た春奈も少し遅れてボールに向って泳ぎ出した。

 「真理! お前も取りに行ってくれ!」

 「分かった!」

 卓の指令に従って真理もボールに向って突っ込んだ。合計5人の女子高生が一つのボールに辿り着いてボールの奪い合いが始まった。それと同時に観客、主に男性の声が上がった。

 「もらった!」

 ボールを手にしたのは相手チームのショートヘアの女子高生だった。それを合図に他の2人はショートヘアの女子高生の両サイドを泳いでガードを固めた。

 「ボールに触れない!」

 2人のガードが邪魔して春奈も真理もボールに触れることさえできなかった。

 「これでまず先取!」

 そう言ってショートヘアの女子高生はボールをゴールライン向けて投げた。

 「卓! 止めてってあれ? 卓はどこ!?」

 真理はさっきまでゴールライン前にいた卓の姿を探した。

 「あれは入ったわね。」

 相手チームの女子高生3人はゴールを確信してハイタッチをした。

 「城根~!」

 春奈の叫び声の次の瞬間、プールの中から卓が思いっきり飛び出た。大きくジャンプした卓は腕を上に伸ばし、ゴールライン前を飛んでいたボールを弾いた。

 「言ったろ、男がいる俺らが有利だって。」

 ボールを弾かれた相手チームの女子高生たちは驚愕の表情を見せていた。

 「卓!」

 「よくやった城根!」

 真理と春奈もガッツポーズをとった。

 「男の俺の方が身長も高いし、腕も長いからな。ここのプールの水深は2メートル50センチある。身長がある分もぐるのも楽だし、地面を蹴ってジャンプする高さも身長の分有利になるからな。」

 「よしっ! 今度はこっちが攻める番よ!」

 春奈はそう言って相手側のゴール前まで泳いでいった。

 「すぐにゴール前をカバーするわよ!」

 女子高生チームも春奈を追って自分たちのゴール前まで移動した。

 「真理、行くぞ!」

 女子高生チームと卓の間にいた真理に卓はボールをパスした。

 「オッケー!」

 真理は小さくジャンプして頭上に落ちてきたボールを上手くキャッチした。

 「あそこからシュートするつもり!?」

 女子高生チームに焦りが生まれた。そのうちの一人が急いで真理の元まで戻った。

 「はああああ!」

 真理はまた小さくジャンプして相手ゴール目がけてボールを投げた。ボールは真理の元に戻ってきた女子高生の手が届かないぎりぎりの高さを平行飛行しながら飛んで行った。 

 「あんなとこからシュートなんて!」

 春奈の近くにいた2人の女子高生はジャンプして腕を上に上げた。そのうちの一人の指先がボールをかすめてボールの軌道がゴールラインから大きくずれてしまった。

 「ヤバい!」

 卓は焦った表情を見せた。

 「大丈夫!」

 ゴール前にいた春奈が一度プールに潜って床を蹴って勢いをつけてから水面から飛び出た。そしてそのまま空手の突きの構えをとった。

 「いっけええええ!」

 春奈はボールを突きでゴールラインにボールを飛ばした。ボールはそのままゴールラインに一直線で入った。

 「な、なんとおおおお! 見事なファインプレーです! 素晴らしい先取点!」

 春奈のゴールに司会も観客からも盛大な歓声が沸き起こった。

 「よっしゃ!」

 春奈のガッツポーズに真理と卓も親指を立てた。

 「すごい! 春奈!」

 観客側で見ていた蓮華も何度も拍手していた。

 それからも春奈チームの猛攻は止まらず、その試合の結果は8対3で春奈チームの勝利となった。

 「初戦大勝利!」

 試合が終わって観客側にいた蓮華と合流した3人は4人でハイタッチした。

 プールでは既に第2戦が始まっていた。

 「なあ真理……」

 試合が行われているプールを見た卓はポンポンと真理の肩を叩いた。

 「何?」

 真理が卓の顔を見上げると卓は無言で試合をやっているプールを指差した。真理は卓の指さす方を見ると硬直した。

 「え、な、何で……」

 そこには真理の実の兄、篠崎謙介が試合を行っていた。

 「さっきは気がつかなかったけど、やっぱあれ謙介さんだよな……?」

 卓の質問に真理は小さく頷いた。

 謙介はプールの中を華麗に動き回ってボールをさばいていた。その謙介の動きに合わせて動き回るのは謙介の討伐者としてのパートナーである要と、卓も真理も見たことのないたくましい体つきの男だった。

 「ん? どうした2人とも。」

 卓と真理の様子が変わったことに気がついた春奈は顔を覗き込んだ。その横で蓮華も少し心配そうな表情をしていた。

 「あ、あのチーム上手いわよね~。でも私たちなら大丈夫よ!」

 卓と真理の様子が変わった理由を勘違いした春奈は小さくガッツポーズを作ってウィンクした。

 「ははは。まあそうだな。」

 卓の口からは乾いた笑いしか出てこなかった。真理にいたっては今だに口をパクパク動かしている。

 そんなやりとりをしている間も試合は休むことなく進んでいた。

 「要! 今がチャンスだ!」

 「分かってるわよ!」

 ビキニ姿の要はその引き締まった綺麗な肢体をさらに際立てていた。そんな要は謙介からボールを受け取ると華麗に水面から飛び出てそのままゴールラインにボールを投げ入れた。

 「よっし!」

 それを確認した謙介は少年のような無邪気な笑顔で拳をぐっと天井にかざした。

 「ほう、なかなかのテクニックだ。」

 謙介チームの見ず知らずの男も腕を組んで何度も力強く頷いていた。

 その試合は一方的で14対0で圧勝となった。

 「謙介さんたち、強かったね……」

 試合を見終えた卓は真理に呟いた。

 「……そうね。」

 真理も棒読みのような言い方で返事をした。

 「さあ第2試合も気合い入れいて行くわよ!」

 事情を知らない春奈は変わらずハイテンションでまたプールに入った。蓮華もまた一人観客席に戻って行った。

 「まあ、謙介さん達とはトーナメントが違うから、お互い決勝行かない限りは直接対決はないだろうしな。」

 「でも私たちが負けたら春奈怒るわよ?」

 「……だよな。」

 卓と真理は重いため息をつきながらプールに入った。

 それから卓達は次々と試合を勝ち抜き遂に決勝進出が決まった。

 「よっっっっっっっっしゃ!」

 決勝進出を決めた春奈はプールサイドで大きくガッツポーズをとった。

 「おめでとう!」

 蓮華も心から3人の決勝進出を祝った。

 「「あはは」」

 唯一事情を知る卓と真理は苦笑いしか出来なかった。

 4人はもう片方のトーナメントの試合状況を見に行くと案の定謙介チームが決勝進出を決める最終試合を行っている最中だった。

 謙介チームの相手は巨体と凝縮された筋肉を持つ男3人組だった。これはなかなか強敵だったらしく点数も8対7で僅差でリードしているだけだった。

 「謙介! あと2分何としても逃げ切るわよ!」

 ゴール前を守っている要が攻めに出ていた謙介に叫んだ。

 「分かってるよ! おじさん! 二人でパスを回しながら進みますよ!」

 「おう! 了解だ青年!」

 謙介と体格のいい男はフィールドの両サイドに分かれて高めのパスを回しながら少しずつ前に進み始めた。

 「3人で両方とも潰すぞ!」

 筋肉の男たちは謙介を一人、もう一人の男を2人がかりで潰しにかかった。

 「ふっ、俺達2人に気を取られ過ぎだよ。俺達は2人チームじゃないんだぜ?」

 そう言って謙介は迫りくる男に目もくれずゴール前にポンとボールを投げた。

 「馬鹿が! そんな飛距離じゃゴールにならん!」

 すかさず筋肉の男はそのボールを取りに行った。

 「だから、俺達も3人1組なんだって。」

 ゴール直前に落下し始めるボールの下から潜水して自分のゴール前から相手のゴール前まで来た要が現れた。

 「なっ!? 馬鹿な! この距離をずっと潜水で進んできたというのか!?」

 「これで終わりよ?」

 要は筋肉の男にウィンクを一つ飛ばすと落下してきたボールをキャッチしてそのままポンとゴールラインに入れた。そこで試合終了のホイッスルが鳴り響いた。

 「決勝進出を決めたのはこの2チームです!」

 結局、決勝は春奈チームと謙介チームに決定した。

 「真理、実の妹とはいえ手加減はしないぞ?」

 「はいはい……」

 やたらと絡んでくる謙介を真理は面倒くさそうに適当にあしらった。

 「あの、謙介さん、その男の人は誰なんですか? 初めて見るんですけど。」

 「ああ。それも当然だろう。なんせこの人は試合に出るためにそこらへんを歩いていたおじさんを適当にチームに入れたのだから。」

 謙介はそんなセリフを爽やかな笑顔で言い放った。それには真理や卓だけでなく要ですらため息をこぼしていた。

 「まあせっかくお互い決勝まで来たんだ。全力を尽くそう。」

 そう言って謙介は卓に握手を求めた。卓もそれに応じた。

 「ねえ城根! このかっこいい人誰!?」

 さっきから黙っていた春奈は目をこれまで見たことないほどにキラキラ輝かせて質問してきた。

 「あ、ああ。この人は篠崎謙介さん。真理のお兄さんなんだよ。」

 「え!? 真理ちゃんの!?」

 「う、うん。」

 真理は少し気まずそうに肯定した。

 「真理ちゃんにお兄さんがいたんだ~」

 蓮華も謙介とは初対面なのでへえ~などとこぼしていた。

 「君たちは真理の友達かい? これからも真理と仲良くしてやってね。」

 謙介の爽やかな笑顔に魅せられた春奈はもちろんです、と何度も頷いた。

 「じゃあ後ほど決勝で会おう。」

 そう言って謙介チームは反対側のプールサイドに向った。

 「はう~。すごいかっこいいじゃない……」

 春奈は謙介の後ろ姿をまだ眼で追っていた。

 「やめといた方がいいよ? 見た目だけじゃ分からないことなんていっぱいあるし。」

 妹目線からしか謙介を見たことが無い真理は単調な言い方で春奈に言い放った。

 「そんなことないよ~。きっと中身もかっこいいって!」

 春奈は完全に謙介のことを目線から外すことはなくなっていた。

 「はあ……」

 真理は今日だけで何回目になるかも分からないため息をついた。

 「まあでも確かに謙介さんはかっこいいと思うぞ?」

 卓はため息をついた真理の頭にポンと手を置いた。

 「確かに優しいし、討伐者としての実力もトップクラスなんだけどね。でも、どこか抜けてるとこがあるっていうか。」

 「はは、まあそれも謙介さんの魅力なんじゃないか?」

 「だといいんだけど。」

 そんな話をしていると水球の決勝戦が始まるアナウンスが施設内に流れた。

 「じゃあ私たちも準備しますか!」

 蓮華と春奈はハイタッチを済ますと蓮華は観客席に、春奈、卓、真理の3人はプールサイドでスタンバイした。

 「さあ! 水球大会もいよいよ大詰め! 決勝戦がついに開幕だあああ!」

 相変わらずハイテンションな司会の声はこれでもかと言うほどに響いた。

 「ここまで残った両チームは一体どんな白熱した試合を見せてくれるのか!? 観客のみんなも期待の眼差しをみせているぞ! では両チームプールに入ってスタンバイしてくれ!」

 司会の言葉を合図に両チームとも計6人が同時にプールに飛び込んだ。

 「熱き戦いをここで繰り広げてくれ!」

 司会の言葉の後にホイッスルが鳴り、プールの真ん中にボールが投げ込まれた。

 「妹がいるからといって手を抜くつもりはないよ!」

 まず最初に謙介が勢いよくボールを取りに行った。

 「男なら男の俺が行くぜ!」

 そう言って卓も負けじとボールの元へクロールで泳いで行った。だが、ボールに先に辿り着いたのは数秒の差で謙介だった。

 「よしっ!」

 ボールを片手でがっちりホールドした謙介はゴールまでの距離と後ろにいる他の2人との距離を確認した。

 「よそ見してる場合ですか?」

 その隙に卓はジャンプして謙介の手からボールを弾いた。

 「しまった!」

 謙介はすぐに水面に落ちて揺れるボールを再び取りにかかった。

 「今度は渡さない!」

 卓は水面からジャンプして勢いよくボールに飛びついた。そして両手でボールをしっかりキャッチすると謙介に背中を向けて春奈にバックパスした。

 「よ~しこのままゴールを決めちゃうわよ!」

 ボールを受け取った春奈はそれを落ちないようにがっちり掴んで泳ぎ始めた。すると正面から綺麗で無駄のないフォームで泳ぎ迫る要の姿が春奈の視界に入った。

 「そんなボールの持ち方だとすぐに取られちゃうわよ?」

 要はクスリと余裕の笑みを見せてするりと春奈の持つボールのところに自分の腕を潜り込ませてすれ違うその一瞬で見事にボールを奪取した。

 「なっ!?」

 要の流れるような美技に春奈は驚きを隠しきれなかった。

 「ごめんなさいね、あまり大人げないとか思わないでね?」

 要はそのまま春奈チームのゴール前まで泳ぎ切った。そしてゴール前で止まるとボールを投げるフォームをとった。

 「まずは先制点!」

 しかし、要が前方に腕を振り切ってもボールはゴールには入らなかった。それ以前にボールはどこにもなかった。

 「私のこと忘れないでよ。」

 ボールは投げるフォームに入った要の後ろにいた真理の腕の中にあった。

 「いつの間に!?」

 「投げるときに一番隙が出来るからそのときにひょいっとボールを奪っただけよ。」

 真理は得意げな表情を見せてから中間地点にいる春奈にボールをパスした。

 「真理ちゃんナイスプレー!」

 ボールを受け取った春奈はすぐに泳ぎ出そうとして体の向きを変えたがその先には謙介が立ち塞がっていた。

 「真理の友達でも勝負事では手加減しないからね?」

 「はうわっ!」

 謙介の笑顔に赤面した春奈は思わずボールを適当な場所に投げて、謙介チームのおじさんの前に落下した。

 「おじさん! チャンスだ!」

 春奈チームのゴール付近にいたおじさんはボールを掴んで投げる体制に入った。その次の瞬間、少し離れたプールでドバアというすさまじい轟音が鳴り響いた。

 「何だ!?」

 水球をしていた6人はもちろん、司会や観客もみんなしんと静まり返った。その後、轟音のした方向から水着姿の客が大勢走ってきて施設内はパニックに陥った。

 「卓! あれ!」

 真理は轟音のしたプールを指差すとそこには全長7メートルはあるであろう巨大な水の竜がいた。水の竜の中心部分は青白く光っていて、むしろ光が大量の水を纏って竜の形を作り出しているようにも見えた。

 「魂玉が水を纏っているのか!」

 謙介と要はすぐさまプールサイドにあがった。

 「何何? なんなのあれ?」

 事態が飲み込めない春奈は卓の身体を揺さぶって訊いた。

 「分からない! とりあえずお前は蓮華と避難しろ! 真理!」

 「分かってる! 我、この世界との……あっ! 石更衣室に置いてきたんだ!」

 「なっ! て俺もだ!」

 2人が焦っている間に施設内はいつの間にかしんと静まり返っていた。聞こえるのは水の竜の雄たけびのみだった。

 「断絶された……?」

 卓は急に断絶されたことに戸惑いを隠せなかった。

 「討伐者は石を常に身につけている者よ?」

 卓と真理の元に来た要は自身が付けているイヤリングをピンと指で弾いた。イヤリングの先には翠の贈与の石がぶら下がっていた。

 「じゃあこれは要さんが?」

 「当り!」

 要は卓にウィンクを飛ばした。

 「私としたことがこんなミスをするなんて……。」

 真理は悔しそうに拳に力を込めた。

 「あれ? でもなんで石を持っていない俺達が断絶された世界にいられるんだ?」

 「あなたたちは石の力を一度直接体内に受けているのよ。それがきっと影響しているのね。もともと石の力は所有者の心と共鳴して発動するものだから。」

 「なるほど……」

 卓は自分の胸に静かに手を当てた。

 「ってこんなに悠長に話している場合じゃなかったわね!」

 水の竜は卓たちに気がついて雄たけびを上げたあとで大量の水を飛ばしてきた。

 「ヤバい!」

 すぐさまその場を逃げようとした卓は足がもつれてその場に転んだ。

 「連鎖防壁れんさぼうへき!」

 転んだ卓とその後にいた真理に遅いくる大量の水は要の武器である先端が刃物になっている長い鎖を高速で円状に回転させて弾いた。

 「大丈夫か!?」

 水の竜付近で戦っていた謙介が一度卓たちのところに戻ってきた。謙介の首からはネックレスになっている贈与の石があった。

 「ええ。今は私が防いだけど。でもこの子たち石を更衣室に置いてきたみたいで。」

 4人が集まったところに水の竜は再び大量の水を吐き出した。

 「ふんっ!」

 謙介は背中を向けたまま大量の水を剣一本で切り裂いた。

 「なら俺達が相手している間にさっさと取りに行くんだ! アイツ程度なら俺と要だけでも勝てると思うが、圧勝といわけにもいかないかもしれない。せめて石させあれば真理と弟くんも自分の身くらいは守れるだろ。」

 「……分かりました、行くぞ真理!」

 「うん。」

 卓と真理は謙介たちに背を向けて急いで更衣室への入り口のほうに駈け出した。

 「さーて、せっかくの決勝戦を台無しにしてくれた責任はちゃんと取ってもらうぞ?」

 謙介はにやりと笑って水の竜に向き直った。

 「でも、謙介。今までこんなの見たことある? 魂玉が別の物体を身にまとうなんて……」

 要は少し考え込むように奢に手を当てた。

 「確かにこんなことは今まではなかった。だけど、それは今までやってこなかっただけであって、魂玉自体には元からこのような能力はあったのかもしれないな。つい先日だって魂玉同士が集まって巨人になったりしていたわけだし。」

 「確かに。それともう一つ分かるのが魂玉は何かを纏ったりすることでその物体を自在に操ることが出来るということね。それは物体を武器にすることはもちろんだけど、生成することすらも可能なのかもしれない。」

 「どういう意味だ?」

 謙介の質問に要はこちらを向いて威嚇するようにうめき声を上げる水の竜を指差した。

 「さっきアイツは大量の水を2回も放出したのに、竜自体の大きさは全く変化していないの。普通自分の身に纏った水をあれだけ吐き出したら一回りくらい小さくなるはずなのよ。なのにアイツにはそれがない。ってことは身に纏った水とは別に水を生成していることになるはず。」

 要の表情は段々と深刻になっていた。

 「なるほどな。そう考えた方が自然かもしれない。なら水の中に光っている魂玉本体を直接攻撃するしかないな。」

 謙介がそう言って剣を構えた後に水の竜は施設内に響くほどの大きな咆哮を飛ばした。すると施設内のプールから水の竜巻が幾つも現れた。

 「なんて力!?」

 要はすぐさま竜巻から一定の距離を取って鎖を自分の元に手繰り寄せた。

 「要は周りの竜巻を頼む! 契約の紫、我に躍進の力を与えよ!」

 謙介の詠唱に共鳴したペンダントに着いた贈与の石が光り輝いてその光が謙介の身体に纏った。

 「連鎖一貫!」

 要の鎖は大きな円を描くように空中浮遊して一つ一つの竜巻を確実に貫いて行った。だが一度貫いて消滅した竜巻はすぐにまた同じところから現れて行く。

 「これじゃキリがない!」

 要は悔しそうに歯ぎしりした。

 「うおおおおお!」

 贈与の石で身体能力を跳躍的に伸ばした謙介は剣を構えたまま水の竜の懐まで飛んでいた。

 「きしゃああああ!」

 謙介を確認した水の竜は雄たけびと共に自らの身体に纏っていた水を何本もの槍のように変形させて謙介目がけて飛ばした。

 「ふんっ!」

 謙介は剣を横に大振りで振った。すると剣からゴオンと風を切る音と共に巨大な斬撃が放たれ水の槍を次々と破壊していった。

 謙介は一旦そのままプールサイドに着地してからすぐにまたプールサイドを蹴りあげ水の竜に突っ込んだ。

 「謙介! 後ろ!」

 再び跳び上がった謙介の背後から他のプールから発生した竜巻が襲いかかってきていた。

 「しまった!」

 謙介が防御の構えを取ったときにはすでに遅く、巨大な竜巻は謙介を完全に飲みこみそのまま流れるプールに直撃した。

 「謙介!」

 すぐに流れるプールに駆けつけようと要が一歩を踏み出した瞬間、流れるプールからすさまじい量の水しぶきが出た。水しぶきの中から輝かしい黄金の光を纏った剣を手にした謙介が現れた。

 「謙介……」

 再び現れた謙介はさっきとは比べ物にならないほどの威圧感を帯びていてそれを感じ取った水の竜は全部の竜巻を謙介に向けて放った。

 「散れ……」

 謙介は一言そう呟いて黄金の剣を軽く一振りした。剣から放たれた黄金の斬撃は竜巻を物の見事に粉砕した。だがその後にはやはり途絶えることなく新たな竜巻が生み出された。

 「要、アイツの動きを鎖で止めてく……」

 謙介の言葉は途中で途絶えた。いや、謙介の視界に入った3頭の水の竜が言葉を途絶えさせたという方が正しい。 

 「えっ!?」

 謙介の様子が変わったことに気がついた要もすぐに振り返るとそこにはさっきまでの竜の他に2頭増えて、合計3頭の水の竜が威風堂々と君臨していた。

 「一体いつの間に……」

 謙介の額からはやけに冷たく感じる汗が滴り落ちた。

 「一体でも厄介なのにそれが3体なんて……」

 要は鎖を握る手に力を込めた。

 (急いでくれ、真理、弟くん)

 そのころ更衣室に向った卓と真理はあまりに広すぎるこのプール施設で道に迷っていた。

 「卓、更衣室ってどっち!?」

 「何!? 俺はてっきり真理が知ってるもんだと思って着いてきたのに。」

 背後で謙介と要と水の竜の激しい戦闘が行われている中二人は口論で争っていた。

 「人のせいにするわけ!?」

 「誰もそんなこと言ってないだろう!」

 「だったらどこに更衣室があるか教えなさいよ!」

 「だからさっきから案内とか探してるんだろ!」

 卓は断絶のせいで施設の係員がいないため辺りを見回して更衣室の案内を探した。

 「さっきどこからプールに出てきたんだっけな……」

 卓は更衣室の案内が見つからず焦り始めて頭をクシャクシャとした。

 「卓、あっちじゃない!?」

 真理はそう言って無人のやきそばの屋台の方を指差した。

 「やきそば屋? そういえばさっきやきそば買ったときに更衣室の入り口が近くにあったような……行くぞ!」

 卓は真理より先にやきそば屋の方に駈け出した。

 「あっ! 待ってよ!」

 真理もすぐに卓の後から走り出した。

 「おっ! 本当だ! 更衣室の入り口あったぞ!」

 先に辿り着いた卓が更衣室と書かれたプレートを発見して真理を手招きした。

 「やっぱり私って天才!」

 真理は小さくガッツポーズを取って卓の元まで着いた。次の瞬間2人の目の前に黒い靄が突然現れた。

 「えっ? 何!?」

 黒い靄を発見した真理はすぐに一歩下がった。

 「なんだこの靄!」

 卓も真理と同じところまで下がって靄を警戒した。

 「くふふ。お久しぶりですねお二方。」

 黒い靄が晴れるとそこから夏という季節感を完全に無視した膝までかかる黒のロングコートを来て腕に杖をぶら下げた長身の男、魂の傀儡子が現れた。

 「「!!!???」」

 真理も卓も突然現れた男を見ても声が出なかった。

 「5年ぶりくらいですか? そこまで再会に感動していただけるとは思っていませんでした。光栄ですよ。」

 魂の傀儡子はくすりと悪戯にほほ笑んだ。

 「た、魂の傀儡子……」

 真理は拳をぎゅっと握って魂の傀儡子を睨みつけた。

 「コイツ……」

 卓も魂の傀儡子から視線を反らさなかった。同時に卓の脳裏には5年前に炎の中で魂の傀儡子に殺されかけたときのことを鮮明に思い出した。卓の額からは嫌な汗がどんどんにじみ出ていた。

 「おや? どうかされましたか殿方さん? 顔色がとても悪いですよ?」

 卓の様子が変わった理由など分かりきったうえで魂の傀儡子は目を細めて口元を緩めた。

 「今度こそ俺達を殺すのか……?」 

 「はい。」

 魂の傀儡子は間を開けることなく返事した。

 「「……」」

 魂の傀儡子の返事に卓も真理も黙りこくった。

 「ふふ、冗談ですよ? 今日はまだ殺したりなんかしませんよ。私の目的の人も蚊帳の外に追い出されてしまったようですしね。」

 「目的の人……?」

 真理が聞き返すと魂の傀儡子は人差し指を立てて自分の唇にそっと当てた。

 「私のような紳士的な男には秘密の一つや二つあるものですよ。それをわざわざ言いふらすほど私は駄目な男でもありません。」

 「わざわざ俺達を生かす理由は何だ……?」

 「別に生かすというわけではありませんよ。結果的にそうなってしまうだけです。今ここであなたたちと争ってもすぐに彼らが駆けつけてくるでしょう?」

 そう言って魂の傀儡子は杖で水の竜と謙介たちの戦闘が行われている場所を指した。

 「さすがに4対1では分が悪すぎますので。それに私でなくてもあの竜たちが十分楽しませてくれますよ。ただ今日は久しぶりにあなたたちの顔を見に来ただけですので私はこれで失礼します。」

 魂の傀儡子は再び黒い靄に包まれて、靄が晴れたときにはその姿はどこにもなかった。

 「卓! あれ!」

 真理は水の竜が3体になっていることに気付いて指差した。

 「なっ!? 3体!?」

 「さすがにお兄ちゃんでもあれはきついかも……」

 真理は不安そうな表情で戦闘を見ていた。

 「真理! とりあえず今は一刻も早く石を取りに行くぞ!」

 「……うん!」

 卓と真理は再び駈け出し、それぞれ男子用、女子用の更衣室に入って行った。

 


「約束の蒼紅石」第4話いかがでしたでしょうか?今回は季節外れもいいとこのプール回になってしまいました(笑)まあその辺は今年の夏なんかの思い出を思い返しながら自分の夏と照らし合わせながら読んでいただけると少しは暑くなるのではないのでしょうか?ってそんなんで暑くなれたら冬は苦労しませんよね~ 作者もこの寒い中かじかむ手で執筆しているわけなんですけれどもそろそろさすがにマフラーなんかがほしくなる時期ですよね!少し時間が空いたときにでもいい感じのマフラーを探しに行きたいと思います!  

ではでは、次回の話も楽しみに待っていただけると幸いです!

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