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全き死を思え――

全き死を思え。

いびつさのなかにある

純粋な形、それは、

偽りなく示す。


単純なこと、あまりにも

平凡で、ありふれている。

夜に鳴く虫達、

あれは何だろう。私には

関係のない距離で、

しかし私にも聞こえる、

これが世界の音か。

夜を歩く者が、

足跡を残す音、

だが、これらに隠れて、

真の音が響く。

この調和は、あらゆる

死のもとに降り注ぐ、

内部からの共鳴。

鮮やかな色彩の世界、

そこにひとつひとつの

魂は、ひとつひとつ

異なる肉体で立つ。

あらゆる自由が真に

得られるならば、なぜ、

死だけ選べないのか。

いや、全てにおいて、

形象、意義、苦しみ、

それらが求められる。


死は与えられなければ

ならない。およそ人間の

最大の覚悟のもとに。

それは最後の旋律、

終止符を打つ手、

そこには可能な限りの

自由に満ちた、運命の

温かな喜びが要る。


全き死を思え。

我々はそのために生き、

時代を回す。羽の

音、心を満たす

雨の音、命を

濡らし、滲む。燃える

もの、死を思え。


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