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プロローグ


 薄暗い照明の地下にあるその部屋は、少し埃っぽい匂いがした。

 床には本棚に入りきらない大量の本、色々な職種の衣装、何に使うかわからない小物などが雑然と置かれている。

 壁一面はエビデンスボードとして使われていた。

 写真や資料、新聞の切り抜きなどが赤い線で結ばれ暗号のようなメモとともに貼られていた。


 部屋にはひとりの男がいた。黒髪の長髪、褐色の肌、琥珀色の瞳の持ち主だ。


「心臓を揺らす轟音」


「空を切り裂く閃光」


「大地は大きく震え、辺り一面は自然にかえった」

 

 男がぶつぶつと唱えているのは、イューロピア帝国史の冒頭の一節。


「青い光は体を這い」


「彼らこそが選ばれし者――」


 しかし読んでいる本は、大人向け雑誌であった。


 雑誌のタイトルは”夜半の凱旋”


「そろそろかな……」


 部屋のゴミ箱にはイューロピア帝国の国旗が埃をかぶって捨てられていた。

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