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32型テレビが繋g...(略)~手取り15万、現代物資(10秒制限)で成り上がる~  作者: ひろボ


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森へ行こう

 今日は、前から計画していた森の探索の日だ。


 ナオキは、まるで冒険家みたいな装備で準備をしていた。

 防水リュック、方位磁石、地図、応急セット、

 そして腰には、いつものバール。


 リヴはその姿を見て目を丸くする。

「ねぇ、それ……完全に探検隊だよね?」


「いや、現地調査だ。安全第一。想定外を想定するのが医療系の基本」


「うんうん。でもそのバールは?」


「心の安定剤だ」


「物理的にもメンタル的にも頼りすぎでは?」


 ナオキは苦笑しながら、肩のリュックを締め直した。

「ほんとはさ、ドローンでもあればよかったんだけどな」


「どろーん?」


 リヴが小首をかしげる。

 ナオキは、両手で四角い形を作って説明した。


「小さい機械で、空を飛ばせるんだ。

 上から景色を撮影して、地形とか位置関係を確認できる」


「え、それ……人間が飛ばなくても空を見られるの? 魔法みたい!」


「まぁ、理屈で動く魔法ってとこだな。

 本当なら衛星も電波塔も使ってリアルタイムで地図を作るんだが……」


「えーと……えいせい? でんぱとう?」


「……うん、忘れてくれ。とにかく、この世界にはWi-Fiがないってことだ」


「ワイ……?」


「はいはい、次の話題いこうか」


 リヴは笑って、肩をすくめた。

「でも、ドローンなくてもいいじゃない。こうして歩けば、森の声が聞こえるんだから」


「安全第一でね」


 ナオキは空を見上げ、朝霧の中に淡い光を見た。


 ---


 二人はウロを出て、森の中へ足を踏み入れた。


 足元の苔がしっとりと濡れ、踏みしめるたびに静かに沈む。

 鳥の声が頭上から降ってきて、木漏れ日が霧に溶けていく。


「……やっぱり森って、生きてる感じがするな」


「うん。空気が柔らかい。あと、ちょっと甘い匂いがする」


「花粉か樹液か……まぁ、鼻がかゆくならなきゃセーフだ」


 リヴは笑いながら歩いていたが、ふいに立ち止まった。

 耳がぴくりと動く。


「……ナオキ、静かに」


「え? なにか――」


 その瞬間、茂みの奥でカサリと音がした。

 小さな影が跳ねる。


「……ウサギ?」


「違う。あれ、ヒュートだよ」


「ヒュート?」


 リヴが指差した先――そこには、白くて丸い毛玉のような小動物がいた。

 ぱっと見はただのウサギ。

 けれど、目がやけに大きく、耳の先に骨のような突起がある。


「危険生物か?」


「うん。一応ね。あの耳の角で木の根を掘って巣を作るんだけど、驚くと突進してくる」


「……ウサギなのに?」


「ウサギ“じゃない”からね」


 ヒュートは鼻をヒクヒクさせながら、こちらを警戒している。

 その目が一瞬、赤く光った。


「おい、来るぞ!」


 ヒュートが跳んだ。

 ぴょん、ではない。

 弾丸のような速さで、一直線にナオキめがけて飛び込んできた。


「わっ、早っ――!」


 リヴが前に出る。

 足元で空気が揺れた。

 彼女の指先から光の線が走り、ヒュートの進行軌道をなぞるように閃く。


「リヴ、待て! 危な――」


 ぼすっ。


 音にならない衝撃波。

 ヒュートはその場で動きを止め、ふらりと地面に転がった。

 気を失っている。


 リヴは息を吐いて、腰に手を当てた。

「ふぅ……びっくりした。こいつ、ちょっと気が荒いね」


 ナオキは呆然とその場に立ち尽くした。

「……いや、君の反応速度が荒いよ」


「だって襲ってきたじゃん」


「そうだけど……え、今の何? 魔法?」


「んー、ちょっと空気を押しただけ」


「“ちょっと”で吹き飛ぶウサギって何だよ……」


「魔法だけど、名付けて――リヴ式・理の投射《空気を押す!!》」


「ネーミングセンスが個性的!!」


「えへへ、でしょ? 理の響きを大事にしてみたの」


「“響き”じゃなくて、語感が強すぎるの!」


 リヴはくすくす笑いながら、ヒュートの鼻をつんと指で押した。

「……くすぐったそう。寝てる時のナオキみたい」

「寝てても攻撃されるの!? 俺ウサギ扱い!?」


 ナオキは安堵しながら苦笑した。

「危険生物との初遭遇、無事終了だな」


「うん。これで今日の目標、“安全に帰る”は達成率50%だね」


「おい、まだ半分かよ」


「残りは“もう少し奥を確認する”でしょ?」


「……そうだった」


 リヴは立ち上がり、森の奥を指さした。

「行こう。今度は、ヒュート以外の“森の住人”を見てみよう」


「了解。今度は俺が前に出る」


「ふふ、頼もしい隊長さん」


「隊長じゃなくて、現地責任者な」


「はいはい、りょーかい」


 二人の笑い声が、霧の奥へと溶けていった。



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