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32型テレビが繋g...(略)~手取り15万、現代物資(10秒制限)で成り上がる~  作者: ひろボ


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心が世界を書き換えた日

 拠点の外、まだ朝靄が森を薄く覆う時間。


 湿った土と草の匂いが鼻をくすぐり、遠くでは小川のせせらぎが響いていた。


 朝露をまとった草葉は光を受けて揺れ、世界そのものが静かに呼吸しているようだった。


 リヴは火のついた薪を見つめ、頬を真っ赤にしながら弾む声をあげた。


「ねえナオキ!ちゃんと火が出たよね!? 私、やれたよね!」


 瞳はまだ高揚の余韻で揺れ、呼吸は少し荒い。


 胸が、興奮に合わせて小さく上下している。


 ナオキはその現象を、ありありと目に焼きつけていた。


「見た。見たよリヴ。普通に火が発生した。……これはとんでもないぞ。」


 その勢いのまま、スケッチブックを取り出し、水の分子構造や湿度、凝結、相転移の概念を描き始める。


「いいか、空気中には水分子が漂っている。目に見えないだけだ。これを集めて、密度を上げると――」


「集まれ……ギュッと……!」


 リヴは目を閉じ、掌を前に突き出す。朝の霧が揺れ、空気の中の湿気が一か所へ引き寄せられていく。


 ボトッ。


 手のひら大の水滴の塊が現れ、草の上に落ちた。


「よっっっしゃあああぁぁぁぁ!!!」


 ナオキは思わず歓声を上げる。


「お見事! 理屈通りだ! これは魔法じゃない。再現性のある現象制御だ!」


「へへっ、私すごい?」


「すごい! いや、すごすぎる!!」


 二人は押さえきれない興奮で笑い合った。


 次に彼は飲み水の改良を考えた。


「いいか、次は温度だ。沸騰は分子運動の加速――」

「アツくなれ……!」


 コップの水が一瞬で沸騰する。湯気が立ち上り、細かな泡が弾け、光を受けて揺れた。


「じゃあ次は雷!」リヴが勢い込む。

「雷は電荷の偏りと放電だ。空気の絶縁を破るんだ!」


 小さな稲光が掌の間で跳ねる。リヴは目を輝かせた。


 風。

 地。

 光。


 それら全てが、リヴの掌の中で形を持った。


 炎、水、冷気、雷、風、土、光――

 それらは混ざることなく、衝突することなく、まるで一つの調和を保つように存在していた。


 ナオキはその光景に息を飲んだ。


「……これ、魔法って言葉じゃ足りないな。

 世界が、理屈の通りに動いてる……

 なのに、こんなに綺麗なんだな。」


 炎の光が、リヴの頬を淡く照らしていた。


 その輝きを見つめながら、ナオキは小さく息を吐く。


 少し笑って、肩をすくめる。


「……こんなことができるなんてな。

 これから、世界がどう見えるか楽しみだ。」


 リヴはその言葉に静かに頷く。


「うん。ナオキがそばにいるなら、だいじょうぶ。」


 ナオキは息を吐き、ほんの少し照れくさそうに笑った。


「頼むぜ、リヴ。お前の方がよっぽど肝が据わってるんだから。」


 リヴは少し頬をふくらませて、

「む……なんか、それって褒めてないよね?」

 と小さく反論する。


 ナオキは笑いながら手を上げて、

「いや、褒めてる! 褒めてるって!」

 と慌ててフォロー。


 リヴはくすっと笑った。

「ふふ、じゃあ信じてあげる。」


 焚き火の光が小さく揺れた。

 リヴは胸に手を置き、そっと目を閉じた。


 ――揺れているのは力じゃない。

 揺れているのは、心だ。


 強くなれることが嬉しい。

 出来ることが増えるのが誇らしい。

 その全部を一緒に見ているナオキが、そばにいるのが――ただ、嬉しい。


(でも、それを言葉にしたら……きっと今の距離は変わってしまう)


 まだ、壊したくないものがある。


 だから言わない。

 まだ言えない。


 ただ、信じる。


 胸の奥にある熱は、まだ小さな灯。

 揺らめきながら、確かに生きている。


 リヴはその光を両手でそっと包み、言葉を落とす。

「……大事にしたい。ちゃんと。」


 それは、恋という名前をまだ知らない祈り。

 けれど、誰よりも真実に近い想いだった。


 LEDランタンの柔らかな光が揺れ、朝霧の風が少しだけ吹き抜ける。


 二人は並んで座った。

 話す言葉はなくても、沈黙はとても穏やかだった。


 ――そして、世界は静かに動き出していった――

朝霧の勢いのまま書いていたら、気づけばリヴが気持ちを口にしていました。

夜勤明けテンションで書いたら暴走モードまで突入してしまい……反省してます。


たぶん、彼女自身もまだ気づき始めたばかりの“好き”なんですよね。

次回は少しクールダウンして、彼女なりに整理していきます。


(読者の皆さん、ちょっと見守ってください。私も一緒に冷やします……)

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