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9.『自画像』

                 ※ ※ ※


コンテストまでには、三か月間ありました。

出展作品のテーマは毎年自由で、いつもエマが描きたいと思うことを見つけ、好きに描いていました。

でも、どうしても描きたいと思うことが見つかりませんでした。


仕方がなく、その年は先生が決めました。


『自画像』


それが、エマに与えられたテーマでした。


エマは諦めるように絵筆をとりました。

描きたくないのに描かなければならないのは、嫌なものです。

絵筆を握ると、どうしても絵が好きだったお父さんを思い出してしまいました。

それに、どんな絵を描くのか、こっそりミザリーに見張られている気がして、それも描きたくなくなってしまった理由の一つでした。


いずれにしても、毎日三時間、キッチリと絵を描かされていたのですが。


こうしてエマは、テーマが決まった翌日から制作に入りました。


それなのに、先生が風邪をこじらせて肺炎を起こしてしまったのです。

まだ下絵を描き始めたばかりのころでした。

ミザリーは、風邪なんてすぐに治るだろうと考えていましたので、代わりの先生を探しもしませんでした。


そのためエマは約一か月のあいだ、ひとりで絵を描く事になったのです。

ミザリーは、エマがどんな絵を描いているのか気にも留めていませんでした。


『自画像』なんて、ただ自分の姿を描くだけのもの。――そう、思っていたからです。


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