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4.エマの癖

                 ※ ※ ※ 


陰湿なミザリーとの生活に、なじめぬまま、気づけば九歳になっていました。


心がふさがれてしまってもおかしくないほど、嫌な日々がひたすらに続いていたのです。

エマはもう、くじけそうで、つらくて、苦しんでいました。


それなのに、屋敷でも学校でも、そんな素振りなど何一つ見せませんでした。


屋敷では、あまり話をする相手がいませんでしたが、学校ではいつも明るくニコニコと笑い、みんなの人気者でした。


エマは可愛かったので、気のある男の子たちにちょっかいを出されたり、やきもち焼きの女の子たちに意地悪をされたりもしました。


でも、まったく気になりませんでした。


そんなこと、エマが抱える悩みに比べたら、本当にちっぽけなことだったのです。


エマは、心の中ではひとりぼっちでした。


『お母さんは今も、これからも、ずっーと、天国からエマを見守ってくれているんだよ』


どんなに寂しいときでも、つらいときでも、この言葉が支えでした。


それなのに、そう教えてくれたお父さん自身が、もうそれを信じていないように見えるのです。


『天国も、ないのだったら……』


エマは、自分が『この世界』にいてもよいのかとさえ、考えるようになっていました。


色々なことが、だんだんと信じられなくなって、心の中から少しずつ、お母さんの存在が遠のいていくような気がしました。


ロケットをぎゅっと握りしめるのが、いつのまにかエマのくせになっていました。

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