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パラレル邪馬大国/セア・テア  作者: 三井咲也
日輪の少女と黄金の神樹
6/21

6話 マリア・ラ・セレヴィーテ

 

 「教科書3ページを開くのじゃ」

 「……あぁ?なんでワレは椅子に座ってるのじゃ?あとお前誰じゃ!?」

 「マリアです」

 「そうか!ワレはヒミコじゃ!よろしく!って違うわ!おいガル爺!大体ワレはまだ朝飯の途中―――」

 

 有無を言わさぬガル爺こと、ミストガルの転移魔法によって、ワレはいつの間にか「学び舎」の一室に拉致されていた。

 そこから始まったのは、この世界『ファース』に関する講義。

 ガル爺の授業は、意外にも(失礼ながら)分かりやすかった。


 この世界「ファース」様々な種族が存在している。

 代表的なのはエルフ族・人族・魔族・ドワーフ族・獣人族の5種族。

 一括りに纏めたが獣人族は様々な身体的特徴を持つ。

 例を挙げれば顔がまんまライオンだが会話もでき知能もあるワ―ライオン族等の【ハイビースト】

 顔は人と同じだが戦闘となるとオオカミに変身をするデミヴォルフ族等の【ミドルビースト】

 動物的特徴が一部あるが見た目はほぼ人と変わらないレッサーパンダ族等の【ロービースト】


 ハイ・ミドル・ローと分かれているが、ハイだから強い、ローだから弱いという訳では無い。

 ワ―ライオン族は獣人の中で上位に位置する戦闘能力を確かに持っているがハイの中には猫族も存在する。

 強いのか?と言われれば残念ながら彼らは人間の子供と戦った所でコテンパンにされる程弱い。

 戦いが苦手で、ほぼ全ての猫族が武器ではなく商売で(そろばんを弾いて)生計を立てており唯一エルフの国にも訪れる。


 現在はエルフの国から地理的に対極に位置し、周辺を山々に囲まれた場所で国家を形成しているが、一部の獣人、猫族のような身体的能力も高くなく、見た目も他種族から見ても割と受け入れやすい種族なんかは商売をしながら他の種族と一緒に交じって生活を営んでいる者もいれば、人が住んでいない場所でひっそりと生活している獣人もいる。


 ドワーフ族

 彼らは主に武器や防具を作りそれらを輸出し生計を立てている。

 山岳地帯に居城を構える単一民族国家、彼らも住んでいる場所が遠い為、書簡でやり取りする位だが、人族の街に行けばドワーフ製の武器防具はお目に掛かることが出来る。

 

 見た目は男は身長が低いが体格のいい者達、女は人族の少女とあまり変わりないが身体的特徴と言えば男女共に力が強い事だろう。


 魔族

 彼らも獣人族同様様々な魔族と言う種族の集まりであり連合集権国家制を採用している。

 種族によって生き方、考え方はそれぞれ違うが、全魔族の中で1つだけ共通していることがある。

 それは【強さこそ全て】という事だ。魔族の中で最強の人物は魔王と呼ばれ。その魔王が全て取り決めていく。

 現在分かっているのはここまで、魔族はどの種族とも国交を開いておらず未だに謎多き種族である。


 人族

 世界の中で一番人口が多く平地に多くの領土を持っている。

 彼らは、同じ人同士だというのに、帝国。王国・法国等様々な国に分かれ日々日夜その領土を奪い合っている。

 同じ人同士で全く愚かとしか言いようが無いがそのおかげで他の種族は助かっている事は否めない。

 何故なら仮に人族全体が一つに纏まった場合。仮に他の種族に戦闘を仕掛けた場合。苛烈な戦になる事は否めないからだ。


 面白いのが同じ人同士でも国のトップ、そして国の運営に携わる者たちががまともだと国民の民度が高いが、腐敗した国家だと、その国に住む者たちも腐って行く。人族と言うのは実に染まりやすい不思議な生き物だということである。


 エルフ族


 「いよぉ!エルふぅーエルふぅー♪おい!マリアもやれ!」

 「えっ!えーっとえっえるふーえるふー」

 「………マリアやらんでよい、不憫じゃ。にしても人族の事をボロカスに言ったのに気にせんのじゃな」

 「ん?あぁうち(邪馬大国)は関係無いが他の国なんてそんなものじゃろ。おおむね言ってる事は正しかろうよ」

 「………そうか(こやつ……相当な大物か、あるいは何も考えておらんのか……)」



 ~☆エルフ族☆彡~

 

 始まりは1万年前と伝えられている。

 全種族がまだ存在していないその時代は精霊たちにとっては楽園――「ちょっと待て」

 

 「……なんじゃ?」

 「いや絶対長いじゃろこれ。もっとシンプルに頼む。後エルフだけ無駄に始まりから特別感を感じるのはなぜじゃ」

 「…………森の精霊ヴォレススピリットが具現化してエルフになった。今にいたる。………これで良いか?」

 「シンプルイズザベストとはまさにこの事よ……話がずれるのじゃが1つだけ質問してよいか?」

 「……なんじゃ?」

 「何故ワレの言葉がこの世界で通じるのじゃ?後、何故ガル爺が先生をやっているのじゃ?それとこのマリアとはだれじゃ?」

 

 

 ずっと疑問に思っていたのじゃ。棲んでいる世界が違うというのに言葉が一緒?あり得えんじゃろ。

 だけど言葉が通じる。3ページを開けと言われてその中身を覗いた時に更に疑問が加速した。

 文字形がウチと全く違うのに何故か読めてしまう。

 そして衝撃だったのはガル爺の口の動きじゃ。口の動きと声が合っておらん。


 それと食べかけの朝食。まだ部屋にあるじゃろうか? 


 「ナギとナミも言っておったがな、恐らくこの世界に来て何らかの力が働いたんじゃないか?先生をやっているのは暇だからじゃ。一応第二代校長じゃぞ?マリアはワシの孫、まあお主と同じ姫だな。まさか空気を吸うようにサラッと嘘ついて3つも質問して来るとは思わんかったぞ」

 「何らかとはなんじゃ?」

 「正直分からん。のちにヨルヴァンが解明してくれるじゃろ。今はそんなものかと思ってくれると良い」


 「ふーむそうゆうものかぁ?」


 まあ分からないのならそれに関して悩んだ所でもうどうしようもない。

 ワレはクヨクヨしないのだ!


 「少し休憩じゃ、15分後に再開する」


 一度準備をするとその場を後にしたミストガルを尻目にこの場に居たもう一人の人物へと近づいて行く。


 「お主、エルフの姫なのじゃな!つーかお主肌白いのー。ちゃんと肉食ってるか?」

 「え?はいそうですこんにちは。まぁお魚なら食べますが」


 両親から受け継いだであろう光沢を輝かせるプラチナブロンドと緑色の眼が神秘性を漂わせる。

 母同様将来は約束された美女確定の今はまだ少し幼いが既に整った顔立ち。若干ほわほわ感が見て取れるが先程からの受け答えから、意外にもしっかりしているんじゃないかと思う。


 「ワレはヒミコ!」

 「はい、ヒミコさん。私はマリアです」

 「ふっ!おいおいマリーよ。ワレらは次期女王同士!それに一緒にあのガル爺の授業を受けた仲。さん付けは無しで行こうではないか!」

 

 ◇◇◇


 【マリア視点】


 私はマリア・ラ・セレヴィーテ

 ここスピリットキングダム女王の1人娘です。

 将来はお母様の後を継ぎ、この国の女王となる予定です。そのために日々国の事を学びそして自身の研鑽に勤しんでいる最中。


 普段は起床後、まず日課である私たちエルフの守り神である精霊神に祈りを捧げ、朝食を食べた後に勉学に勤しむという流れなのですが今日は祈りを捧げ終わった頃にお母様に呼ばれました。

 

 少し前までは毎朝食事を共にしていたのですが、最近はどうやら周辺国家がきな臭くなってきているようで、なかなか食事を共にする機会も減ってしまいました。まあ一人で優雅に食事をとるのも悪くはありません。


 ………嘘です。本当は少し寂しいです。まだまだ甘えたい年頃なのです。 


そんな中お母様からの突然の呼び出し。ひと月ぶりでしょうか?朝食を共にするのは。

 1日の始まりが少し色鮮やかになった気がします。


 ……おや?そっちは執務室ですよ?ダイニングはこっちですが?それと侍女では無く何故将軍のあなたが迎えに来たのでしょう?


 ……えっ?今日は特別?誕生日……ではありませんし。うーん、謎が深まります。


 結局答えに辿り着けずに執務室に着いてしまいました。まぁ良いでしょう、呼ばれた理由は後で分かるというものです。


 分からないものは分からないのです。

 分からない事は恥ではない。どんどん質問すればいい、それが若者の特権であるとお爺様も言っていました。


 セルフィがドアをノックし、やがて奥から侍女が顔を出し私が来たことを告げています。

 そのまま扉が開け放たれた先には、書類を見つめながら眉間に皺を寄せるお母様の姿。

 可哀想です。女王というのは華やかさとは無縁な大変なお仕事のようですね。早くお母様のお仕事をサポート出来るくらいになりたいと思う今日この頃です。


 「失礼します、お母様」


 ピクリと耳を動かし、にらめっこしていた書類から声の主の元へ視線を向けた。

 そうです私ですお母様。娘の顔を見て満面の笑みを浮かべています、それだけで私の心が温かくなる気がします。


 「おはようマリア、ささっ、そこに座って」


 …………何かおかしいです。いつもならもっと2-3言会話があるものですが、さっそく要件に入ろうとしています。まぁ考えても分からないものは分からないのです。


 「実はね、私の友人でもあるナミとナギの娘がこの世界に来ちゃったのよ。だからねマリア?仲良くしてあげてね?あぁそれから、今日はこの後の予定全てキャンセルしてとりあえずこのままお父様の執務室に向かって頂戴」


 …………ん?


 お爺様の執務室に入室しましたが誰もいません。中に入ると何故か下座に2名分の椅子と机が並べられています。

 まぁ待っててと言われていますので、とりあえず座って待つことにしましょう。

 セルフィ?どこに行く……あっそうですか。ガレットが……はい、案内ご苦労様でした。ええ1人で待てます。寂しくは無いですはい。

 それにしてもセイバー(救世主)の子供ですか……私が生まれる前の話しなので実際お会いしいた事はありませんがエルフ族の窮地を救った2人の人族の英雄だそうです。


 大人ならば実際に見た事もあるようで、近年エルフ族の歴史の授業に載り始めた割とフレッシュな出来事、そんな子供がやって来るとは世の中良く分からないものです。同い年位が理想です。


 そう物思いにふけっていると、空間が歪み始めました。

 お爺様の転移魔法ですね。

 上座にはお爺様が現れ、下座には椅子に座った状態で人族の少女が。

 相変わらずお爺様の魔法は器用です。うんうん。


 「教科書3ページを開くのじゃ」

 「……あぁ?なんでワレは椅子に座ってるのじゃ?あとお前誰じゃ!?」


 ……。一体何でしょうかこれは

 お母様がいきなり執務室に行けと言われてきてみればお爺様はいきなり授業を始めようとしますし。人族の子にいきなりお前呼ばわりされるし。今日はいきなりが多いですね。


 まあいいです。何か考えがあっての事なのでしょう。

 昔一度習った事のある他種族についての授業も復習という事にしましょうか。

 あっ休憩という事でお爺様が部屋から出て行った。置いて行かないで欲しい。こう見えて多少人見知りなのです。


 「お主、エルフの姫なのじゃな!つーかお主肌白いのー。ちゃんと肉食ってるか?」


 出て行った瞬間にヒミコさんと言う方が速攻で私に話しかけて来た。

 ……ちょっと心の準備と言うものをですね。

 例えばヒミコさんが何か物を落として私が拾う。

 「ありがとう」「いえ」――みたいな。今から会話が始まるよ的な些細なきっかけから始まる感じを私は大事にしたいのです。


 ………いつのまにか私はマリーと呼ばれています。人族の距離感というは侮れません。

 

 私は文字通り箱入り娘として育てられました。と言うのもデミアルビノとして生まれ、日光に弱いのです。

 ここ数年でようやく免疫力が強くなり外に長時間出れるようになりましたが。


 つまり何が言いたいかというと、今その話を順序たてて言おうと会話を組み立てていたのに。もう何故かマリーと呼ばれている。


 んーなんでしょう?ここから学ぶべき点というのは会話はスピードが命という事でしょうか?

 箱入り娘として育てられ、同世代とコミュニケーションをあまり取ってこられなかった事が悔やまれます。

 まあいいです、お爺様に後程確認するとしましょう。分からない事は恥ではありません。メモメモ 

 それとガレット?廊下で待機しているのは知っています。入ってきてもいいのですよ? 彼女と2人きりにするのはまだちょっとキツイのです。

 

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