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パラレル邪馬大国/セア・テア  作者: 三井咲也
日の巫女と黄金の神樹
3/12

3話 ハッピーバースデッド


 「良く参られました人族の姫。私はミスティス・ラ・セレヴィーテ。この国を治める女王です。まず目覚めたら牢屋の中に居たという事で大変驚かれたかと思います。

 事情は将軍から聞いているかと思いますが、牢屋に入れてしまった事はなにとぞご容赦いただきたく思います」


 檻から出され、飯を食ってガレットとわちゃわちゃしている途中でやって来たセルフィに、この後女王と会談があると言われた時にはこれはドッキリだと確信した。


 フッ。いったい何処の国がその日のうちにトップと会談するっちゅうのじゃとな……


 しかもパジャマ姿で…!


 そしてワレはまさかまさかの今日誕生日!16歳!つまりこれは計画的ドッキリ……!恐らくこの扉が開かれたらクラッカーと共に皆から祝われる事間違いなし!


 ………じゃが普通そういうのは夜やるモノではなかろうか?


 ……フム、だがまぁよかろう。


 


 乘ろう……このビックウェーブ(芝居)に……

 しおしおだったアホ毛に活力が灯る……!






 全然違った…!


 マジモンの女王じゃった!

 見た目はほわほわしとるが父上と母上が時折部下に見せる研ぎ澄まされた雰囲気に酷似しとる。

 そして隣にいる全体を緑色のローブで身を包んだ白髭のご老体。こっちも見た目は「あっ昔はイケメン。今はダンディなおじいちゃんですね」的な歳の取り方をしたご老体。まだ一言も発してはいないがその風格、これまで激戦を乗り越えて来たかのような眼光がめちゃんこ痛い。ドッキリと疑って悪かったからその目を向けないで欲しいのじゃが!


 女王と謎のご老体の後ろにはセルフィとガレットが控え、この場にいるのはワレ含め5人。

 ……ガレットはこっちに来てくれないかの?4対1は卑怯(もう友達)じゃろ?


 そんな事を考え気を紛らわせた。

 はぁ……敬語は苦手なん(なんか負けた気するん)じゃが仕方がない

 

 「お初にお目にかかります女王陛下。わらわは邪馬大国大王ナギ、王妃ナミの娘ヒミコと申します。こうして女王陛下に拝謁の栄を賜り光栄でございます。それと先程の言ですが気にされる必要はございません。いきなり自身の領土に他国の者が現れたら捕えるのは当然の事。と言いますか正直わらわも困惑している所でございます。こうしてエルフという種族が今目の前にいる事に」


 (ぺきかん(完璧)な言葉遣いなはず……!パジャマ姿じゃが……!)

 自分より上の立場の人間と接する機会があまり無かったヒミコはあまり敬語を使い慣れていない。

 将来他国のお偉いさんと会う機会もあるからという理由で弟と2人で師でもある爺やからちょこちょこ教わってはいた。

 そんな過去習った事を必死こいて記憶を手繰り寄せ、見事にその切れかかった細い綱を渡り切る事に成功したと思っている。


 「フフッ確か御伽噺でしたか。あぁそれと今回はあくまで個人的な非公式会談です。どうぞおかけください」


 「失礼す…します」


 対面のソファーに座るは女王ミスティス、そして謎の老人。その背後にセルフィとガレット。

 座ったのを確認すると女王はニコニコ笑みを浮かべ、うんうんと頷きながらワレを見つめてくる。

 

 めちゃんこ居心地が悪い。

 何みとるんじゃとも言えんし、悪気も無さそうじゃし。何より何故か母上と似た雰囲気を感じる。

 少しだけその視線から逃れ気分転換のために視線を外した。


 この部屋は日差しが室内に差し込んでいる。うん。相も変わらず空は青いの。

 

 「父上、いかがですか?」


 女王の問いに、隣の老人が眼光鋭く、品定めするようにワレをジロジロと見つめた後、ふっと目尻を下げた。


 「……あぁそうだな。その特徴的な青みがかった黒髪、それにその意思の強そうな目、顔立ちもナギとナミにそっくりだ。ふむ……どちらかと言うとナミの面影が強いか」


 「…………ふぁっ!?」

 

 今なんと言ったのじゃ?そっくり?まるで知っているような口ぶりは何のじゃ?


 「父上と仰っていたが、そちらの御方は……?それにまるでワレの母上と父上を知っているような口ぶりは……?」


 「こちらはミストガル、私の父で先代国王です。今は私に譲位し日々余生を謳歌しているのですが、あなたの事を伝えたらこうして確認するため見に来たのです」


 まさかの先代の王様じゃった。いやなんとなくそんな気がしていたのじゃがそれよりも

 

 「ミストガル、それにミスティスって御伽噺に出てくる登場人物の名前と一緒なのじゃ」

 

 「その御伽噺の内容が分かりませんが、泉でエルフと出会ったとなどの話しは出ていますか?」


 「はい、男女2人が真っ白いシカの後をついていくと、泉に出たと。そこには動物と戯れていた少女がいたと確か物語の最初はそのような感じだったと記憶しているのじゃ」


 「なるほどなるほど……それは私ですね」


 「……え?」

 

 ◇◇◇



 それは、漆黒の世界に無数の宝石が咲き乱れる、ある夜のこと。

 若き男女は、街を抜け出し、男だけが知る絶景の地を訪れていた。

 天上を飾る星々は、傍らで瞳を輝かせる女性――男にとっての「もう一つの宝石」を優しく照らしている。

 男が永遠の愛を誓おうと、意を決して口を開きかけた、その時。

 突如として、周囲一帯が真っ白な光に塗り潰された。

 咄嗟に男は女性を抱き寄せ、その身を覆う。

 瞼を閉じてもなお、日中の太陽すら凌駕するほどの強烈な輝き。

 天変地異か、あるいは神の降臨か。

 光の奔流の中で、二人は時間の感覚さえ失い、ただ嵐が過ぎ去るのを待つしかなかった。

 ……やがて。

 瞼の裏を刺していた光が収まり、男が恐る恐る顔を上げる。

 そこにあったのは、紺青の夜空ではなく、命の息吹が溢れる蒼天の世界だった。

 見渡す限りの大草原。

 漆黒の夜は一瞬にして消え去り、二人は理解の及ばない「異界」の地へと放り出されていた。

 二人は歩き出した。ただひたすらに、草原を越え、森の入り口へと辿り着く。

 迷い、引き返そうとしたその時。木々の隙間から一頭の獣が姿を現した。

 雪のように白い体躯。天を突くほどに見事な一角。

 それは神聖な輝きを放つ、巨大な一角鹿いっかくじかであった。


 『――ついてきなさい』


 声ではない。直接脳へと響く意思に、二人は顔を見合わせ、その誘いに身を委ねることにした。

 導かれるままに歩むこと一時間。

 森の最奥に、天からの光が降り注ぐ幻想的な「泉」が現れる。

 蛍のような精霊たちが舞い、静寂がダンスを踊るような、言葉を失うほどに美しい場所。

 泉の淵には、先客がいた。

 小動物たちと戯れ、にこやかに語り合う一人の少女。

 二人の気配を察した小動物たちが一目散に逃げ去ると、少女は不思議そうに首を傾げた。

 そして、鈴の鳴るような声でこう問いかけたのだ。


 

「――あなた達は……だれ?」



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