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《3》
俺は泣いていた
無性に我慢が出来ず泣いていた
泣くこと自体の自身の要求に抗えず
泣くことに義務感を覚え
世の中の全てがイヤで泣いていた
思い出してきた
そうか・・・
俺は死んだんだな
真っ暗なのは
そうか・・・
目を閉じてるんだから当たり前
奇妙な夢は死んだ前の事なのか後の事なのか?
いつの間にか
目を閉じた脳裏で泣きながら記憶の整理をしていた
何も取り柄もない俺が過ごした不思議で客観的な幸せな人生
光となってから起きた断片的な不可思議な記憶
声が聞こえる・・・
知らない女の声と知らない音声
よしっ!眼を開けようっ!
瞼に眩しい光を感じた