6 やはり【一人じゃない】って良いことだと思う。
ホテルは6階建てだが、裏の山の方が高いので・・<パラ パラ>とモミジなのど落葉樹が早くも屋上に散りはじめていた。
「今年は日本海側で大雪かもな」俺はボソリとつぶやいて・・<ドスン>と日当たりの良い場所に腰かけて【攻略本】でもある<ゾンビだらけの時に読む本>を空間魔法から排出した。
俺はもう一度攻略本を【逆から】めくる・・「なになに~7<リカバリー>地球上で一番使われている金属は鉄です。可能な限り確保しておきましょう。
2番目はアルミです。今後、アルミの製造が難しくなる可能性があります。【1円玉】
【サッシ】なども確保しておきましょう。3番目は【ステンレス】です。包丁や調理用具に利用されており、略奪に遭いにくいので、確保は容易だと思います。」
「う~ん。そんな時代が来るのか?」・・俺は自分が置かれている【現状】を再確認した・・<グルルルル> <ギギギ>と言いながら、職員【であった者】たちが、旅館内を徘徊している現状を・・
〇ゾンビは本当に死んでいるのか?
映画で御馴染みのゾンビには【ロメロ形】と【ランナーゾンビ】がおり、最近では【変異型】も人気ですね。【社畜ゾンビ(ジャパニーズ)】【ナチスゾンビ】などです。
異世界もので言う【アンデッド】との違いは【生きている】【操る者が居ない】という点です。
〇あなたのまわりに出現したゾンビは【生きている】のが普通です。
では【栄養源】は何でしょうか?一番手軽なものは【血液】でしょう。
人間の肉を食べるのならばもはやゾンビというより【モンスター】に分類されるべきです。
それによって武器も変わるし、戦術も変わります。
そんな時であった・・<ズドーン!ズドーン>と、銃声が聞こえ<グシャ!ドスン>という交通事故の様な音が山の中から聞こえて来たのだった。
+++それからどうした+++
俺は【隠密】の状態のままで、旅館のフロントに隠れて様子を見守った。
<キキー>と言う急ブレーキを掛けて、軽トラックが川向うの【パン屋】前で止まった。
<バタン>と言う音と共に・・「はやく!時間が無い」と言いながら3人の男達が車から降りて、パン屋のガラス戸を引く・・「開いているぞ!」「チクショー!何もない!」「厨房はどうだ」男達の声に引き寄せられて、ゾンビ?らは【回れ右】をしてパン屋に集まって来た・・
<ズドーン!> と見張りの男が、10メートル位まで近寄ったゾンビ?を撃つが・・ゾロゾロと隣家の隙間からもゾンビがやって来る・・
「おい!もう限界だ・・」見張りが叫ぶと、中から2人が手ぶらで出て来たのだった。
【俺が既に回収済みだから何もないよ!】と、教えてあげたかったが恨まれそうなので辞めた。
代わりに「おーい!こっちだ。食糧があるぞ!」と声を掛ける俺。
3人は顔を見合わせて<バタンバタン>と、軽トラックに乗り込み<ドスン> とゾンビに衝突させながら、橋を渡り、俺の旅館の方に近づくのだった。俺は簡単なバリケードを鉄骨で作り、シーツ洗濯用大袋に食糧を入れて男達に渡したのだった。
リーダー格の男は「あんたは?大丈夫なのか?」と聞くので・・「ダンジョンで【隠密】スキルを得たからな!」と言って<スー>っと姿を消し~また現れて見ると・・
「なんだ?スキルって・・」「ダンジョン?ああ・・温川温泉に出来たと言う洞穴か?」「隠密って・・」驚く3人に対して俺は「今は住処に戻る方が先だろう!食料が必要な時は【洞穴】に来てくれ」と言う俺に、男達は意外な返事を返す・・
「食料は有るのだ。売るほどね!でも【お菓子】が無い!」「コーラも切れた!【戸隠】地区には甘未が必要なんだ!」「出来ればエロ本も・・事件が起きる前に!」と懇願するのだった。
++++それからどうした++++
「ハイ!今緊急で動画を回しています。私は今温川地区から坂道を登り、戸隠地区に向かっています。」俺は最初、車かバイクで行こうとしたのだが・・<グギャ> <ギギギ>と、エンジン音は流石に隠し切れないらしく・・<シャーシャー>と回収した自転車で坂道を登っていた。
「ゼエゼエ・・身体強化出来ていないものだから・・電動アシスト自転車で避難民に食糧・・いや【甘未】を届けに行ってきます!」と、自分に鞭打って漕いだのだ。
「本当に来るとは・・さあ!お茶でもどうぞ」と、案内したのは若い男性で・・
「ゾンビに気付かれないスキル?でしたっけ。羨ましい」と言う若い女性。
「甘未?わ~ラッキー!」と喜ぶ女性・・俺は思わず「チョット待った!なんで若い女性がこんなに多いの?戸隠だから隠れていたの?」などとテンパッた事を聞いてしまうのだった。
長老?らしき老人が口を開く・・「水が旨いからなのでしょうな」と・・田舎の人はたいていの事を【水が旨い】でかたづけるのだ。