5 攻略本を持つ俺は、村のみんなと協力して生き延びる!
「大丈夫ですよ。まだまだ【回収】に行くつもりですし、ゾンビ?もウロウロしているので【スキル持ち】の私でないと、今のところ【対応】できないでしょうから」と言う俺。
食料を受け取る中年女性は・・「私は【火魔法E】にランクアップしましたが・・やはり友人を焼き殺す勇気が出ないのです!」と告げた。
高齢男性も・・「私は【風魔法F】が備わりましたと告げる。
俺はゾンビパニックが鶴亀市を襲ったタイミングで、住民の方に「洞穴が安全だ」と教えて避難させたのだった。
中には「俺は立派なホテルの方が良い!と言う住民も居たが彼らは程なくして・・<グググ・・ギギギ!>とホテルで【唸る者】となっていた。
洞穴の【ダンジョン安全地帯】なのであろうか?お寺の広間程度の大きさの所に、年齢も様々な生き残りが100名程、何とか避難してもらった。
俺は全員に聞こえる様に・・「私のスキルは【隠密】ですから、ゾンビの横を歩いても奴ら気にも留めませんでしたよ。もう一回、食糧や毛布を取ってきますね」と言いながら、外に向かうのだった。
俺はアクションカメラを取り出すと・・「ハイ!緊急で動画を回しています。今僕は、もう一度避難民の為に毛布を【回収】に向かうところです。くれぐれも【略奪】では無いことを証明するためにも動画に残したいと思います」
+++それからどうした++++
ちなみに俺の名前は【井上和道】だ。【食道】はペンネームである。
俺が今居る場所はY県の日本海側にある【温川温泉】であり、俺は【緋色旅館温川】のマネージャーとして、系列の亜蔵布温泉から赴任して来たのだった。
出身はY県内陸部の【山岡市】で、M県との県境にあたる【亜蔵布温泉】が俺の実家だ。
代々、宿坊の仕事をして来たが両親の代になってから休業し【緋色ホテル亜蔵布温泉】で働いている。
俺は地元の高校を卒業後、ホテル関係の仕事に就くためにと【桜蘭田学園大学】の観光ビジネス科に通わせてもらった。卒業後は今の旅館に正社員として入ったのだが、実務1年程度でマネージャーは大分早い!理由はおれが【ユーチューバー】として有名になった事にあった。
「あ!そう言えば・・親父とおふくろは大丈夫かな?」と、今更気になった【親孝行?】な俺だった。
<ギギギ> <ゴゴゴ> ゾンビ?と共に坂を下る俺・・
路上に居るのはゾンビだけでは無い【ご遺体】も多数転がっていた。
根が真面目な俺は、ご遺体を見つける度に・・【収納】!して長期保管していたのだ。
「あ、郵便局・・ATM壊しても非常時だから大丈夫なんじゃネエ」と自分に言い聞かせ、割れたガラスドアから中に入ると・・「先客が居たか!」
局の丈夫なガラスドアは、等身大にガッチリ破られており、向かい合ったATMのボディも重機の【爪痕】により、観音開きに引き裂かれていて・・
「紙幣だけ持って行ったのか」床には若干の新紙幣と、多くの硬貨がばら撒かれていたのだった。俺は<収納>と言いながら右手で床を触る・・<スー>っと音も無く、新紙幣・硬貨が床から消えたのだった。
賢明な読者ならばお分かりであろう。これが【空間魔法】であることを。
温泉の商店街に来た・・「お!お菓子屋さんだ。お邪魔しま~す」店の中は荒らされていたが【砂糖】【食用油】【カセットコンロ】【調理器具】を無事、回収する事が出来た。
「薬局だ・・お邪魔します」お次は【コンドーム】【栄養ドリンク】【風邪薬】【胃腸薬】【湿布】などを回収した。
「鮮魚店は・・電源が落ちているなあ・・腐っている」NGだった。
「農協スーパーは・・やっぱり荒らされているな・・食品棚がカラだ!」・・俺は、ゾンビ?の間をすり抜けながら洞穴に戻る。
「すまない【身体強化】が出来ないものでコンロとか砂糖とか軽い物しか持って来れなかった(ウソ!)局や銀行は荒らされていて、農協スーパーもカラだった。」と言いながら、リュックから品物を出す俺。
みんなは「いやいや!アンタにだけ危険な思いをさせて申し訳ない。食糧は大分残っているので大丈夫。」「砂糖か!ありがたい。インスタントコーヒーが有るので、どうだい!一緒に。」と言いながら、避難民たちは【農協スーパー】の袋に入った食料を<ガサゴソ>と持ち寄って、みんなで分け合うのだった。
結構、みんな生活力あるのだなあ・・と感心する俺だった。
++++それからどうした+++++
<ジャラジャラ> <ドスン!> 俺はゾンビが行きかう【旅館】の屋上の小屋に入り、【戦利品】を排出した。
「新紙幣だけ残すのは何でだ?」等と言いながら【硬貨】【鉄骨】【鉄筋】【アルミサッシ】【ステンレス厨房用品】等を排出した。
空間魔法は、使い勝手がよく【ステータス】画面をスクロールさせると【カルク】のような枠が表示され、収納物を【時間ごと】【種類ごと】に管理できる優れものだった。
屋上から下を見れば、ゾンビ?にしか見えない者たちが坂を【下って】歩いている姿が見えるだけだった。