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4 ゾンビが溢れる【X-DAY】それでも俺は普通の暮らしを求める

+++<X―DAY 10日目>+++

10月半ばの頃である・・<ギギギ> <グギャ グギャ> <オオオオ>


「助けてくれ!ゾンビが・・」「噛まれた・・うう・・<グギャ!>」


「いったい何が起きているのだろう」・・<ガチャリ>俺は自分のオフィスに入り、部屋の鍵を掛けると【マネージャー】と書かれたエグゼクティブデスクの椅子に<ドスン>と腰かけた。


10日前に『国際空港で謎の感染か?』と言うニュースが話題となったが、正直Y県はド田舎なので他人事だと思っていたのだが、数日前からY県でも感染者が【ヒトに噛みつく】事件が連鎖し、政府は【ロックダウン】を宣言・・TVからは「AC~」しか流れず・・やがてインフラが停止したのだった。


<ジジジジ・・>電子タバコの電源を入れ・・「プハ~」と煙を吐き・・俺は天井を見た。


「ゲホゲホ!・・不味い」俺はタバコは吸わないのだが、前マネージャーが忘れて行った電子タバコがあったので、何となく吸いたい気分になった。


たぶん、自分の頭を整理したかったのだろう。


<ス~>っと、俺はデスク引き出しを開けた。何かにすがる様に・・


「ボールペン、書類・・来週からは宿泊予約が減ったな・・昨年からの【大災害パニック】で東北地方の旅館は大儲けだったよ。」と現実から逃避する俺だった。


すると、引き出しの奥から【1冊の本】が出て来たのだった・・


「うん?この本はたしか・・親会社の【緋色ホールディングス】会長が社員に買わせた本だったはず・・【ゾンビだらけの時に読む本】だって!うわあ・・」


<ボトリ>と俺は怖くなって本を床に落としてしまう・・


 人間は「運命的な出会いをした時はじめは拒否してしまうものだ」と、聞いたことがあるが丁度そんな感覚だった。


たしかフロントの女の人から「井上マネージャー!親会社の会長の本だから、強制的に買うこと。支払いは天引きにしておきますね!」と言われ、買わされた本だった・・


<ガサゴソ> <ギギギ> <ガサゴソ>と、廊下ではゾンビ?がウロウロしている。


俺は恐る恐る本の【目次】を開く・・「なになに・・【1序章は必ずあるものだ】だって」・・俺は本のページをめくった。


+++++はじめに+++++

はじめまして緋色グループ会長です。私がこの本を執筆している頃に【起こるであろう】ニュースを挙げていきましょう・・

〇 20✕✕年に大災害が来る!というパニックが起こり、日本中が【食料備蓄】【東北以北へ避難】の年になるが、結局Xデーとされた7月になっても地震・噴火が起きなかったことから~【食料不法廃棄】が問題となった。

〇 【世界的インフレ】になる!とも騒がれていて【燃料買い占め】も思ったが、年初からA国大統領が「インフレ封じ込め」を実施したところ、ガソリン100円!灯油50円!にまで値下がりし、軽油は据え置きだったためディーゼル車が不振となった。

〇 ワクチン義務化となり、年2回のワクチン接種が法律で決まった。

・・さて、貴方は「何が?ゾンビパニックの発生源だと思いますか?答えは本書を読み進むうちに気が付きますよフフフ・・


怖い~怖い!この本を買ったのは大災害パニックの【1年前】だぞ!俺は<バタン>と一旦本を閉じた。


「そうだ。ホテルに来た目的は【備蓄品】を取に来たのだった」と独り言良い、自分の気持ちスイッチを切り替える俺。


俺は【食料】等をリュックに詰めると廊下に向かって歩き出す・・<ガチャリ>と鍵を開けると・・<グギャ グギャ>と鳴く【中居さん】 <ギギギ>と鳴く【板前さん】がウロウロと徘徊する横を<スルリ>と通り過ぎるのだった。


そして階段を下り・・<ギャギャ>と鳴く【フロントさん】や<オオオオ>と鳴く【案内嬢】の横を、これまた滑るように避けて歩く・・


この小説の題名は「俺だけゾンビに襲われない」と言うものでは【無い】ことは、読者なら御存知のはず。


では何故?俺がゾンビに襲われないのか・・それは【隠密A】の権能のおかげの様だ。


俺はゆっくりと~旅館を出て、ゾンビ共を<スルリ>と追い越しながら、幅員約7メートルの市道を通り駐車場に出る。そして・・石段を登り、2メートル四方の大きさの【洞穴】の前に立つ俺・・「入り口こんなに広かったっけ?」と驚く。


中に入ると・・<カツ カツ>と、靴音も変わっていた気がする。


洞穴の奥から「誰だ!」と言う若者の声が聞こえた・・俺は「旅館のマネージャーだ。食糧を持って来た」と答える。


「あんたか!本当に無事だったのだな・・」と明るい声で答える男性。


「ああ・・旅館は完全に【制圧】されてしまっていたがね」と、俺は現状を説明し・・


<ドサリ>と、背負って来たリュックを地面に下す。


「キャッキャ!食べ物~」とはしゃぐ子供に対して、大人達は「これ!お礼を言いなさい!」と、まだ節度がある精神状態の様子。



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