10 生存者を発見し、満足気な俺!
俺は再び倉庫のドアを開け・・「私は本庁の者だ。生存者はいないか?」と、声を掛けたところ・・「は、はい。私は鶴亀署の防犯課勤務、村上巡査であります・・」と部屋の角から声が聞こえた。
部屋が真っ暗で、奥の方には段ボールが積まれていたことから、姿が見えずにいたのだが・・
「あのう・・お名前を聞いてもよろしいでしょうか」と、女性の声で質問されたので・・
「私は井上警部だ。心配はいらないよ!助けに来た」と演技すると・・
<ガサガサ~>という音と共に近づいて来た女性は、紺色の警察外套を着ており【色白】であった。
俺は女性が5メートル程度近寄った時に・・「君はゾンビでは無いのだね?」と、警察官らしく質問すると・・
「ハイ。私は人間であります!」とハッキリと答えるのだった。
+++それからどうした+++
<ムシャ ムシャ>と、俺が出した食糧を食べる女性に対し「生存者は君だけなのかい?」と質問すると「あハイ<ブホッ><ゴホ ゴホ>」と、咽てしまう女性警察官。
「ああ・・ごめん。飲み込んでからで良いよ」と謝罪する俺!
落ち着くと、事情を話してくれた・・・
〇2カ月前から「ゾンビ出没」が問題になっていた
〇通報現場で警察官が負傷した
〇警察署内で突然発症?した職員が仲間を噛む事件が起きた
〇翌日の「警察全体会議」に、全員集まった職員が発症した
〇自分と同期の男性職員を倉庫に隔離し、他の職員は屋上に向かったらしい
と、言う話だったので会議室の反対側の倉庫に行くと・・
<ううう~> <ガサガサ~>と、これまた昆虫の様に奥の段ボールに隠れた【色白】の制服警察官が居たのだった。
<ムシャ ムシャ> 「美味しいです。グスン・・」と、若い男性もまた紺色の外套だけを着て俺の出した食糧をほおばった。
暫くして落ち着くと・・「私は刑事課の山上巡査です。ご苦労様です」と、軽く敬礼をされてしまう。
俺はニセ警官だという設定を思い出し・・「おう!そちらこそ体に異常は無いか?」と言うと・・「あのですね・・」と言いながらモジモジしだしたかと思うと、制服を捲るのだった。
「ずいぶん色が白いねえ!」俺は男性の二の腕が【透明】と言っていいくらいに色白だった事に驚く。
それを見ていた女性職員も負けじ?と腕を捲り・・「実は私も・・」と言いながら色白な若い腕をみせるのだが・・
女性職員は「私は夏に海外旅行に行ったので、かなり日焼けしたのです。ゾンビに噛まれる前は、茶色だったのですが・・」と言うのだった。
男性職員も「私は昔から色黒だったのですが、私も2カ月前にゾンビに嚙まれてから・・」
と、告げたのである。
俺は2人に対して「君達は私を見ても『噛もう』とは思わないのか?」と質問すると、2人は「「ハイ」」と即答する。
俺は当初の目的を思い出し・・「ところで拳銃の倉庫はカラだったのだが、持ち去られて行ったのだろうか?」と聞くと・・
「たぶん・・屋上です」と、山上君が答える。「村上さんを備蓄倉庫に避難させた後に、私も別の備蓄倉庫に避難させてもらったのですが・・その際に『屋上で決行しよう』と話していたのを聞きました」と、言うのだった。
ふたりが下を向くので、俺は「屋上で何を?」と聞くと、二人同時に<<えっ>>という顔をしたかと思うと立ち上がり・・「行って見ましょう」と言う村上巡査の先導で【屋上】に向かった。
屋上への扉は施錠されており、窓から外を見ると雪に埋もれた人間が、3~40名程血を流して倒れていたのだった。
<ギイ~>と思い二重扉を開けると・・「みんな拳銃を握っているね・・そうかゾンビに変わる前に・・」俺は手を合わせ、重い決断をした彼らに敬意をはらう。
山上君は「拳銃を回収しましょう。弾丸は4発づつ残っているはずですから・・<ズズズ~>」と、鼻をすすっていたのは風邪のせいでは無いのだろう。
誰かの外套の上に拳銃を40丁並べていたものを俺が「回収」と言いながら空間魔法で収納すると・・<<今のは何ですか!>>と2名が驚きの目で俺を見ていたのだった。
俺は今更だが、始めは村上巡査が警戒していたので制服を着て警察官のフリをした方が安心だろうと思った事を話すと・・
山上君は「まあ・・拳銃で自殺する発想が無かった時点で私は気がついたのですが」と答え。
村上さんは「私だって・・ごはんをタダで分けてくれる人が悪人のはずが無いですから」と、答える。
俺は「排出!」と言いながら、拳銃2丁を取り出して二人に渡す。
「単に思いから魔法で収納しただけだからね。俺は銃なんて撃つつもりも無いし!」と念を押す。
山上君は「そうですね。ゾンビって音に敏感だと言うのが定番ですから<バーン>なんて音を出したらたちまちゾンビが寄ってきますよね」と言う。
村上さんは「あ!そうだ・・防犯課の倉庫に回収した【ボウガン】とか【マチェット】が保管されているので、持って行ってはどうでしょう?」と提案するのだった。




