治療
幻影使い・・・君はいったい何者なんだ?
設定集に存在しない君は存在してはいけない。
つまるところ、偶然の産物。
幻影使いはめっちゃ巧い。
音が鳴るはずない。
密入国者は全員殺した。死体は灰となり、いずれ自然に帰る。
音が鳴るはずがない。
だが、ここで確認するわけにはいかない。
あの幻影使いの追手が来たら元も子もない。位置特定できないような防護術式を組んでいるからこその安全なのであって、ここが割と危ない場所であることには変わりない。
「さっさと運ぼう。そうしよう」
思考をかき消し、森の中で出せる最速で隠れ家に向かった。
物の数十秒で、隠れ家に到着
そして、僕は荷台を確認する。
絵画、宝石、(おそらく密入国者用の)食糧、そして『人の形をしたナニカ』が入った檻
そのナニカは今も蠢いている
先ほどの爆音で起きたのだろう。
僕はその檻を取り出し、檻のみを風の術式でチリにした。
例えるならヘドロのような色合い。
粘液上になっているところもあれば、人間としての形を保っている場所もある。
そしてこれをぼくは知っている。
なぜなら、僕の隠れ家には死に絶えたナニカが山のように積み重なっているから。
これを発見したのは2か月くらい前の話。
まあ、いつものように密入国者を見つけては殺し、見つけては殺していた。
そのうち、今目の前にあるようなナニカが入っている機会が増えた。
最初はスライムか何かだと思った。
でも違った。それは元々人だった。
なぜ知っているか?喋ったから。
みんな死にたがっていた。
「殺して・・・殺して」
「死にたい・・・・死にたい・・・」って女性の声で。
僕はとりあえず治せるか試してみた。
けど、回復術式・治療術式が全く意味をなさなかった。
結局、全員僕が殺した。一人残らず。安らかに眠れるように即死級の術式で。
そして、死に絶えた彼女らを研究しつくした。
解剖などはしていない。魔力について調べた。
結果、彼女ら専用の術式が生まれた。
そして、今日ぶっつけ本番で始める。
「ころして・・ころして・・・」
「今、治すよ」
なぜ治すか?不憫だからだ。
僕だったら、こんな変死体で死ぬのは嫌だ。
そう、自己満足。少なくとももっときれいな状態で死なせてあげたい。そんな自己満足だ。
「『アスクレピオース』」
金色の光が彼女に触れ、徐々にその体を元に戻していく。
膨れ上がった部分は収縮し、ヘドロのような色合いのナニカは蔓の痣が付いた色白の皮膚になり、その痣も徐々に消えていく。
そして、彼女の頬に赤いバラの痣が生まれる。
「よし、成功!!」
ナニカは銀髪のエルフだった。
勘違い系か?
そうするにしてもどの方向で行くか?
ちょっと考えまーす。
ちなみに、僕は金髪エルフよりも銀髪エルフの方がいい。