第1話 終わりの始まり
2020年9月3日 その日世界は一変した。
人類史上最大最悪のパンデミックが起こってしまったのだ
。
----パンデミック発生2時間前----
[REVOLVER東京支部]:
「はぁーマジで疲れた。今週で10件って人使いの荒さが異常だって.....」市瀬がため息を吐く。
「あぁ。本当にな、昨日も爆破テロを未然に防げって向かわされてマジでしんどかった。」と浅倉と市瀬は愚痴を溢しながら歩く
この2人はREVOLVERの隊員である。
REVOLVERとは、警察ですら対処できない犯罪や事件を秘密裏に対処する日本の切り札であり、最後の引き金とも言える組織である。
2人がREVOLVER(東京支部)の拠点内を歩いていると同期の神風颯太に合う
「あれ?颯太じゃね?」市瀬がそう言うと神風はそれに2人の存在に気づき
「....市瀬に浅倉、久しぶりだな。」と神風と2人に声をかける。
「颯太じゃねぇか。お前海外だっけ?」
「ハイジャック組織の壊滅に3ヶ月.....互いに警戒してたからな、潰すのには苦労したよ。」
「スゲェよな海外って、俺たちはまだ東京支部で死ぬほど働いてるよ。」
「元々東京支部の人間だったのに"本部"に引き抜かれるなんて、大したもんだよな。」
「そうか?俺はやれる事をやっただけだ。まぁ本部から見て優秀な事に違いはないだろうが。」と神風は言う
「.....謙虚って言葉知ってるか?」
「他者を評価する人物が、自分自身を正しく評価できない人間であったら意味はないだろ?」
「そ、颯太....相変わらずだな。」と話していると3人の後ろから1人の隊員が話しかけてくる。
「おい、お前ら。」それは先輩の隊員であった。
「この近くの路地で怪物を見たと言う目撃情報があったんだ。急で悪いんだが、調査に行ってきてくれ。」と命じられた3人であった。
「怪物?最近その事件多いですけど.....REVOLVERが動くほどですか?」
「そうですよ。いくら何でも急すぎじゃないですか?そんなん警察にでもやらせとけば。」市瀬の意見には概ね2人も同意であった。
「.....いや、ここ数週間で怪物の目撃情報が8件以上、どれも一般人が襲われて、警察が駆けつけた時には怪物も被害者もいなかったらしい。だから....」
「REVOLVERの出番だと。」浅倉が先輩の言葉に口を挟む
「あ、あぁ。怪物は発見次第始末してくれ。無論、一般人に気づかれない様に発砲をできる限り控えてくれ。」
「では、向かいます。」神風はそう言い、2人と共に怪物を目撃したと言う路地に行く。
[怪物の目撃情報があった路地]:
「.....とりま路地に来たけど、」市瀬は辺りを見渡す。
「何もいる様な感じしなくね。」
「怪物は愚か、犬猫も.....」そう言いかけた浅倉出会ったが、背後から気配を感じ振り返る。そこには、人型の怪物がいた。
「マジかよ。」市瀬は怪物を前に少し怯えつつ、構える。
それを見た2人も構える。人型の怪物は全速力で3人に接近する。
「銃火器の使用は控えろよ。ただ、相手の力は未知だ警戒しろ。」神風が冷静に2人に指示をする。
「俺が前線でやるから、お前らは俺の援護を....」
そう言いかけた瞬間、市瀬が怪物に向かって飛び蹴りを仕掛け、その攻撃は顔面にクリーンヒットする。
「グギャァァァァ」怪物は悲痛な悲鳴をあげ、奥の壁に蹴り飛ばされ倒れる。
「えっ。おい、話ぐらい聞けよ。」浅倉は得体の知れない怪物に何の躊躇いも無く攻撃できる精神にある意味感心し同時に物凄く引いた。
「人からの命令無視すんのと油断してるアホに不意打ちすんのは俺のポリシーなんだよ。」市瀬は得意げに言う。
「誇ることじゃねぇな。」
「それにしても、コイツ一体何なんだ?」3人は倒した怪物を観察する。怪物は通常の人間と同じくらいの背丈であり、驚くべき事にその化け物は"人間の服を着ていた"
「.....服着てんな。」
「は?だから何だよ。服着てない方が.....」市瀬はある事に気づく。
「お前らもわかったか?」
「.....コイツ元々人間なのか?!」
「まぁそう考えるのが自然だな。一丁前に腕時計つける怪物があるなら別だが。」浅倉は興味が無さそうに言う
「人体実験でも行われたのか?まぁ何にせよ、一旦REVOLVERに報告するか。」神風はケータイを手に取り、電話を掛ける
「なぁ市瀬、コイツちゃんと仕留めたか?」
「まともに入ったけど運が良ければ生きてんじゃね?
まぁ少なくとも首の骨はへし折れてるだろうが。」
「.....俺たちが素手で勝てるレベルで良かったよ。バトル漫画に出てくる様な奴だったら詰んでた。」
「持ってきた武器がハンドガンだからな。まぁでも今のでわかった。俺たち3人ならどんな奴でも余裕だな。」
「....だと良いな。」浅倉は少し悲しそうに言う
「何だよ。本当の事だろ?」
「はいはい最強最強。....ってか颯太、いつまで電話してんだよ。」そう浅倉は神風に言う。
「おい。"東京支部と連絡が取れない"」そう話した神風は焦っているのは冷や汗をかいている。
「あ?どう言う事だよ。」
「わからん。東京支部だけじゃない、他の支部にも繋がらない。.....何者かが明らかに人為的に通信を止めてる。」その発言に2人は耳を疑った。
「すべての支部と連絡が付かないなんて確かに異常だな。 .....ガチでバックに人間がいるとするなら、日本と全面戦争する気か。」
「国家機関だぞ?!ありえんのか!!?」
「.....まぁ、恨みは買ってるだろうな。だけど、REVOLVERは一般で公開されてない組織だ。すべての支部の情報を得ていたとしても、それの電波妨害に何の意味があるんだ?」神風は冷静に考える。
「考えてもわからん。取り敢えず東京支部に戻った方がいい。」浅倉は2人に提案する。
「確かにそうだな。」
「は?怪物どうすんだよ?!」市瀬は2人に聞く
「えっ?あ〜ほっとけ、行くぞ!!」浅倉は適当な事を言い放つ。
「適当かよぉ。」市瀬はもうどうでも良くなった。
3人は東京支部に向かって走る
[REVOLVER東京支部前]:
3人は駆け足で到着する
「おいおい嘘だろ.....」
「.....マジか。」
3人は見た。REVOLVER東京支部の外を警備している人間が血を流し倒れている所を。3人はその倒れている人間に近づく。
「.....死んでる。」
「銃じゃねぇ。殴られて死んでる、それも一撃だ。」浅倉は恐ろしい事を言った
「警備とはいえ、REVOLVERの人間を素手でやったのか。」
3人は拠点内に入る。入るや否や中には大量の死体に溢れかえっていた。そこには一切の音も気配も感じない。
それはもうここに生きている人間はいないと言う事を意味していた。
「そんな馬鹿な。」
「.....REVOLVERが襲撃されたってのか。こんな一方的に。」
「他の支部にも繋がらなかったって事は、他の支部も襲撃されてんのか?」
「.....REVOLVERは各県に1つあるんだぞ。
全部に襲撃かけたとして、46.....あり得ないにも程があるレベルだろ?」
「でも、繋がらないのは事実だ。どこで情報が漏れたのか知らんがまず間違いなく襲撃は本当だな。」
「じゃあどうすんだよ!?もう日本は終わりだぞ!!!」
「俺たちの出る幕じゃねぇだろ.....下っ端の俺らが出しゃばってもできる事は何もねぇって。」
「.....いや、ある。」神風のその発言に2人は驚く。
「......本部は今回の襲撃を知らない。知っているとしたら警察やらの機関を動員してもう動いてるはずだ.....
俺たちが伝えるんだ....本部に、この襲撃を!」神風は力強く2人に言う。
「まてよ。本部だって襲撃受けてるだろ?ここまで用意周到にしてる奴らが本部なんて言う心臓部を潰さない筈はねぇだろ?」浅倉は神風の話を否定した。
「本部は日本の最高機密だ。支部のREVOLVER隊員は本部の場所すら知らないはず。
もし、REVOLVER内に裏切り者がいたとしても本部を突き止めるのは不可能に近いはずだ。」
「.....確かに。本部の人間は戦闘においては支部の人間以上だからな。」
「行ってみる価値はあるんじゃないか?!どの道襲撃した奴らは分散した戦力をまとめて一気に本部に畳みかける気だろうし!!」市瀬は乗り気だ。
「本部の場所は知ってる。案内はできる。」
「.....わかった。俺も行くぞ。」
3人は外に出る。
「....本部ってどこにあるんだ?」
「"京都"だ。」
「京都....遠いな。襲撃した奴らが先に来ちまうんじゃねぇのか?」
「.....間に合わせるしかないな。」
「あぁ、そうだな。」
3人はこの襲撃を伝えるため、京都へ向かう。