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第七話 改めてオレもサブチームだ

次にヒーラーが連れて行ってくれたのは。

ヒーラー達が通っていた学校で。

途中図書館にこそ寄ったが。

ここまでのルートはヒーラーの高校生の頃の。

通学路だったみたいだ。

他にもオレはヒーラー縁の地を訪れて。

なんだか、改めてサブチームの一員になったみたいだった。

「このツアーの次なる目的地に着きましたぞ」

 

「学校、お前らが通っていた高校か」

 

街の中心部から東に行ったところにある再開発地区。


大きなショッピングモールを中心に沢山のお店が並んでいる。


その地域にある学校がヒーラー達の母校だ。


「一応言っとくが中には入らねえからな」


「オレ部外者だしな」


学校付近の道沿いに自転車を停めてオレ達は校舎を眺めた。


ここからなら学校全体を一望できる。


「図書館に寄りはしたが実はここまでの道のり俺の通学路だったんだぜ」


「そうなんだ」


そう聞くとヒーラーの高校時代を味わっているみたいだ。


「特盛ん家のゲームじゃないけどさ、俺との追走はどうだった」


「不思議な感じかな。ヒーラーの過去を辿ってるみたいで」


「レースゲームみたいにか」


「なんだよそれ」


冗談を言うヒーラーは楽しそうだ。


反面またヘビーな話題が飛び出してこないかオレは身構えていた。


だから、ヒーラーがオレについて尋ねてきたのが意外だった。


「ところでナギィ、お前高校の頃はどうだったんだ」


「どうって」


「お前あんま自分の事話さねえじゃん」


「そんな面白いものじゃねえよ」


目の前のヒーラー達の母校と記憶の中のオレが通っていた学校。


その二つを重ねながらオレはヒーラーに自分の高校時代を語った。


勉強はイマイチ。


書道部ならばと。


スポーツの成績はイマイチだったから。


文科系の部活に入ってみたものの。


出来上がっていたコミュニケーションの輪に入り切れず。


ただ部に顔を出すだけの人止まり。


友達も恋愛もなく。


漫画やゲームで見るようなイベントなんて特になかった。


最終的にロクに友達も思い出もなく。


それこそ。


ヒーラーが語ってくれた青春話とは真逆の無味無臭で。


我ながら振り返りがいもない高校生活だった。


だから、大学生になったら思いっきり青春を楽しみたい。


そんな風に期待していたってことを。


味気ないからこそ。


恥じも躊躇ためらいもなく。


淡々とオレはヒーラーに教えた。


「お前なりに頑張ったはずだろ、ナギィ」


「頑張ったさ。でも、うまくいかなかったよ」


「充分ナギィなりに頑張ったって、偉いぞ」


昔の自分を褒めてくれたのは嬉しかった。


でも、オレにとってはやっぱり窮屈きゅうくつな時期だったな。


「言っちゃなんだが、高校も今の部活も辞める選択肢はあったろうに」


自転車のベルを鳴らしてヒーラーがオレに問いかけた。


辛いなら辞めるし逃げる。


そうしなかった理由をオレは笑いながらヒーラーに明かす。


「辞めたら自分に負けた気がして嫌だったんだ」


「ナギィにもプライドがあるんだな」


「ヒーラーからプライドなんて言葉が出るとは」


「お前、オレをなんだと思っているんだ」


「ごめん。ごめん」


なんだかオレもスッキリした。


胸の内にしまっていた辛い思い出。


それを吐き出して心が軽くなった気がした。


特盛達との集合時間はまだ大分先だ。


それまでヒーラーの思い出を追ってみよう。


オレの心についた傷が癒されそうだから。


特盛と殴り合いのケンカをした神社。


奈種さんがカフェオレを(おご)ってくれた喫茶店。


牧菱さんから告白された河川敷。


誰かとの思い出の残る場所をヒーラーはオレに教えてくれた。


もう蚊帳かやの外じゃない。


改めてサブチームの一員になった感じがする。

ここまでお読みいただきありがとうございます。

夏も終わりが近づいてきましたが、

残暑が厳しく予想されます。

読者の皆様が健やかであるようにと思うばかりです。

話題が変わりますが。

近いうちに活動報告をあげる予定です。

今作の番外編に相当するものと。

次回の投稿作について。

それぞれの予告アナウンスをそこにします。

九月の上旬に、できるだけ早めに報告できればと思っています。

出来上がったら直近の更新話の後書き欄にも書き記すので。

ご覧いただければありがたいです。

次の投稿作について少し触れると。

内容はファンタジーです。

では、いつも通りの調子で締めさせていただきます。

次回の更新は9/4の17:00の予定です。

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