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都市アヤゴン

転生してから2日目。


荷馬車(ワゴン)に揺られながら前方に都市アヤゴンが見えてきたらしく、

「もうすぐだ」

とお声が掛かった。


「ワイド様はこれからどんなご予定ですかな?」

俺はとにかく、生計を立てるためにもどうすればいいのか相談することにした。

「それでしたら、冒険者か商人ですな。冒険者になるには冒険者ギルドで登録し、様々な依頼をこなしていくのがよいでしょう。私も依頼を出したりしますし。商人は私のように店舗を持つものと、露天商、移動商、規模が大きくなってきますと大店舗があります。商業ギルドで発行します。取り扱う品目は多岐にわたり、その分それぞれの需要と供給にあわせて価格が変わったりします。楽しいものですぞ。」


ふむ、なかなか面白そうだ。

ただ気になるところといえば、軍資金(所持金)だ。俺は今、日本円しかもっていない。

先立つものが欲しい。


「都市も近づいてきたことですし、ワイド様には助けられましたからな。

また、お目に掛かれたらよろしく願いますぞ。」

商人グラハムはそう言って、右手を出してきた。

俺は握手をしようと手を出した。

手の中に硬いモノを感じる。


「・・・これは?」

「ほんのお礼です。今後ともよしなに。」


俺は右手を見てみると、黄金に輝く硬貨を目の当たりにした。

やべえ、金貨だ。しかもでけえ。

これ一枚でどのくらいの高価がつくんだろうか?

ありがたく、金貨をポケットにしまう。

しかしこの荷馬車(ワゴン)に乗ってる荷物は一体何なのだろうか・・・?



**********************


都市アヤゴンは、異世界の都市設定にありがちの、領土をぐるっと壁に囲まれていた。

しかし農家と思われる点々とした家屋は壁外に存在していたし、農地もそこそこ存在していた。

なんと驚いたことに、水路も存在しているではないか!

俺はこの世界に対して一段階評価を改めることにした。


俺たちが入る門は南門らしく、他にも北門、東門、西門があるそうだ。

長蛇の列、とまでは言わないが、門の前に列が出来ており、その後ろに並んだ。

並んでいる連中を見てみれば、冒険者か、旅人か、商人たちだった。


「次!入れ!」

門番が俺たちを呼んだ。

「これはこれはグラハム殿!無事に帰られたのですね!」

顔見知りのようだった。

「そちらの方は?」


「こちらは道中、私たちを助けて頂いたワイド様です。何分、いささか事情がおありのようで。よろしくしてやってください。」

「いいぞ。通れ!」


無事、通過できた。グラハム氏は顔が広く、融通が利くようだ。さすが商人というだけはある!

門を通過した後は、広場になっていて、そこで別れることになった。


「いろいろ教えて頂き、ありがとうございました!また、顔を合わせることがあったらよろしくお願いします!」

「いえいえ、ワイド様もご武運を!」


俺は石畳の道に降り、背伸びをしながら今後のことを考えた。

そろそろ夢から覚めてもいいころじゃないか?


そんなことを考えながら、まず冒険者ギルドに行くのが鉄則だろうと思い立った。

しかし、それよりも大事なことがある。

服だ!今だって周りからの視線が気になる。完全に浮いている!

さっそく、服屋を探して都市アヤゴンを散策することにした。


**********************


店の看板はどれも簡単な象徴(マーク)で統一されていた。

店名なども書かれていたが、そこで問題が発生した。


俺は、文字が、読めない。


だいたい異世界転生モノなら話せる、読める、書けるがご都合主義らしく整っているはずではないか!まだ話せるのは良しとしても、読み書きができなければ選択の幅が狭くなるだろうが!

この世界は俺の意志(アンチ)を反映して出来ているのか?


仕方なく思いながらも、服屋の扉を開いた。

「いらっしゃいませー」

奥から声がする。

「本日は、どんなご要望で・・・?」

そう言いながら、30代ぐらいの男性が出てきた。

しかし目線は俺・・・というか俺の服にいっている。


「普通の服を・・・見立てて欲しい。」

すると店員は店の服を見回しながら、

「普通の・・・と申しましても、色々ございますが。

都市では、こちらの羽織物(ジャケット)が流行っていますよ!」

と、それなりに高そうなものを勧めてきた。


「普段使いに良いものを探しています。」

「それでしたら、こちらはいかがです?」

無難そうな白の上衣(トップス)に、茶色の下衣(ボトムス)を勧めてきた。

「では、それの上下を・・・」

すかさず店員は「こちらの羽織物(ジャケット)をセットでおまけしておきますね!」と言ってきた。


「銀貨5枚です。」


俺は商人グラハム氏から感謝の気持ちだと言われて受け取った金貨を渡した。

金貨を手に取った店員はびっくりして固まっている。

「あの、手持ちがそれしかなくて・・・」


一拍(ワンテンポ)置いて反応が返ってくる。

「ああ、いえ。すぐに釣りをお持ちします。」

なにやら焦っているようだ。


俺は待っていると、奥に消えた店員は革袋を持ちながらやってきた。

「こ、こちら銀貨95枚になります。」


きゅうじゅうご・・・!


自分自身、この世界の貨幣に対して認識を改めなければならないかも。

金貨1枚で銀貨100枚。

では、銀貨1枚で銅貨何枚なんだろうか?


「・・・すみませんが、銀貨1枚を銅貨に換えて頂けませんか?」

「あ、はい。少々お待ちください。」

店員は銀貨1枚を革袋から取り出し、手持ちの銅貨を俺に手渡ししてくれた。

数えてみると・・・20枚だった。


「確かに、受け取りました。こちらで着替えても・・・?」

「はい、奥の方でどうぞ!」


とりあえず俺は(この世界で)普通の服を手に入れた。

革袋ごと持って行っていいかと尋ねたら、どうぞ!と返ってきた。

「また、何かあれば立ち寄りますね。」

「今後とも!よろしくお願いします!」


**********************


俺は、服屋を後にすると、冒険者ギルドへと足を運んだ。

道中、露天商から美味しそうな匂いが漂ってきたので覗いてみると、

串刺しになった香ばしい肉が焼かれていた。


「これ一本、いくら?」

俺は店主に聞いてみると、「5枚だよ!」と返ってきた。

それなりのボリュームの食いごたえのあるやつだった。

さながら銅貨5枚で500円といった具合だろうか?


冒険者ギルドらしいそこそこ立派な建物と看板があるところは、

冒険者の出入りもあり、分かりやすかった。


俺は(ゲート)を開けて中に入ると、そこにはいかにも冒険者といった人たちが大勢いた。

奥のカウンターに受付嬢がいる。

冒険者カードを登録するために、俺は金髪美人の受付嬢のところに足を運んだ。


「初めてですか?」

「はい、冒険者カードの登録にきました」

「それでしたら、こちらに記入(サイン)をお願いします」

俺は渡された羊皮紙とペンを貰って、目を用紙に下した。


・・・まずい。

文字が読めねえ。


なんで読めないかって?異世界だからだよ!

見たこともない文字が並んでるんだ。普通、転生モノは読めるだろうが!

なんて不便なんだ!


俺は恐る恐る目を受付嬢にやって、口を開く。

「・・・すみませんが、・・・俺、文字が読めなくて。」


すると受付嬢は「ああ、すみません。私が代筆致しますね」

と、さもよくあるように進めていた。

・・・なるほど。一瞬焦ったがこの世界じゃ、識字率はそんなに高くないらしい。

俺はホッと胸を撫で下ろした。


「冒険者に似たご経験は?」

「・・・一度、盗賊を追い払ったことがあります。」

「年齢と、お名前をお願いします」

「27歳、ワイド・トレント。」

主要(メイン)武器は?」

「一応、(ソード)で。」

「魔法は使えますか?」


魔法・・・俺自身、使った事はない。出来るのかもしれないが、今のところ期待薄だ。これまでの経験(たかが1日)からして、たぶん使えないだろう。


「やったことは無いので、なんとも言えないですね。」

受付嬢は、「?」という反応をしている。

俺、また何か変なこと言いました?


「・・・・では、こちらにどうぞ。」

奥の通路に通される。周りの冒険者たちが「ぉお?」といった感じがした。視線が気になる。


奥に通されて、ちょっとした中庭に出た。柱に円がくっついた(ターゲット)が見える。

「では、こちらに立って頂いて、利き手を的に向けてください。」

「こ、こうか・・・?」

「はい、右手に意識を集中して・・・何でもいいです、炎でも、水でも、空気でも。的に当てるつもりで」

どんどんと手の平に温かい何かを感じる。

そして・・・。


しゅぽんっ


小さな火種が、飛んだかと思ったら、ひょろひょろと地面に落ちていった。


「「・・・・・・・・・」」


魔法は、一応、出せる。

ただ、戦闘には向いてないな。


「・・・、あ、ありがとうございました。」

受付嬢が、気まずげにこれで終了です、と言ってきた。

「一旦、中に戻りましょう。」

受付嬢の後ろに付いて、ギルドの中に戻っていく。

「わ、わたし、ミラリスと申します。ワイドさん、魔法使えますね・・・!」


それはどういう意味だろうか?

あなたの魔法、ショボいですね、って言ってる?

いやいや、練習したら、そこそこいいとこまでいけるのでは?

と、自分自身を鼓舞する。今の俺では、火種が欲しい、火を出してくれ!はいよ!なレベルだろう。


ギルド内に戻ってきたら、冒険者の階級(ランク)について、依頼(クエスト)内容の種類、傭兵として出兵することもあることを教えてくれた。

「冒険者の階級(ランク)は5つあります。上からAA(伝説級(レジェンド))、A(熟達者(グランドマスター))、B(熟練者(マスター))、C(修練者(ミドル))、D(初心者(ビギナー))となっていて、それぞれに(ゴールド)(シルバー)(アイアン)(カッパー)黄銅(ブラス)のプレートが与えられます。ワイドさんは初心者ですので、こちらの黄銅(ブラス)のプレートになります。

昇格の際の条件は、実力はもちろん、人間性、知識、技量を当ギルド、または同レベルの冒険者5名以上の是認が必要になります。」


「なるほど。冒険者の属性とかはあるんですか?」

「属性?ですか?」

「例えば、拳闘士、剣士、魔法士とか・・・」

ミラリスは目線を上に向けて、考えながら回答した。

「ああ、それぞれ特徴的な戦いをする方はいらっしゃいますが、特別に分けてはいませんので」


つまり前衛・後衛といったパーティーの組み方は、交代(チェンジ)もできるという意味だろうか。

何はともあれ、近目標はパーティーに入ることかな。


「・・・・ワイドさんは、魔法も使えるので期待大ですね!」

その言葉は皮肉と受け取っていいか?

とりあえず登録はできた。依頼(クエスト)もいいものを紹介してもらおう。

「俺に丁度いいクエストはないだろうか?」

「それでしたら、Dクラスで鉄板のクエストがありますよ!」

「それを頼もう。」

「はい!討伐した魔物(モンスター)の体の一部の収穫をお願いしますね!」

「分かった。」


俺はクエストを受注した。


**********************


依頼書(クエスト)を持って、次は商業ギルドへ足を向ける。今日は忙しいのだ。

商業ギルドは、冒険者ギルドを出て5ブロックほど行ったところに建っていた。

冒険者ギルドもさることながら、商業ギルドも立派なものだった。古代ギリシャの神殿を思い起こさせる立派な柱が立っていた。


商業ギルドに入ると、冒険者ギルドとは違い、いかにも金持ちそうな人達が商談しているのが見えた。

奥にカウンターが見える。

「こんにちは、何か御用でしょうか?」

こちらの受付嬢は、俺の恰好(すがた)を見定めて言っているようだ。実際そうなんだろうけど。


「行商者カードを発行しにきました。」

「それでしたら、こちらに記入(サイン)をお願いします。」

ここまでは冒険者ギルドと同じだった。だが次の言葉に俺はショックを覚えた。

「俺、字が読めなくて・・・代筆お願いできますか?」

「・・・文字が読めないのにここにきたのですか?」

受付嬢は冷ややかな目で俺を見据えた。

「まあ、代筆してもいいんですけれど。今後、行商に関わるのに文字が読めないのはありえない(ナンセンス)ですよ。」


そうか。そりゃ契約とか、領収とかで必須になってくるんだよね。

それなのに俺は「面白そう」だからやってみる、で動いていた。

俺はしんみりしながら、代筆を頼んだ。くそっ、惨めなもんだ・・・。

「年齢と、名前は?」

「27歳。ワイド・トレント・・・」

「どういった形態で行商したいですか?」

「・・・取り合えず、露天商で。」

「取り合えずってなんですか?」

「・・・・え?」

俺は受付嬢と目を合わせると、彼女の目が不機嫌であることを知らせてくる。

「・・・計画を持って、やってきたのではないのですか?」

「いや、俺は・・・」

「あまり中途半端なままですと、痛い目をみるのは貴方ですよ?」

「・・・すみません。」


なんで俺がこんな目に合わないといけないんだ?これは夢だろう?なんで夢の中にまでこんな苦しい思いをしないといけないんだ!

「・・・移動商で。」

「取り扱う品目は?」

「・・・皮、肉、骨などの素材を」

「ではそのように致します。」

この受付、できる。さながら現職の女性上司だ。言い方がキツいが、テキパキこなす。

「売り上げが上がれば、その分売上税が発生します。また、露天商であっても出店には許可書がないとできません。もちろん、許可を出すにも税が発生します。都市の出入りにも通行税が発生します。それでよろしいですね?」


・・・税、いっぱいじゃね?


「それって、税率(パーセント)どのくらいになります?」

「売上税 1割、印税 銀貨5枚、通行税 銀貨5枚。」

「ええ!?」

「加えて商人税 銀貨5枚。」

頭が真っ白になった。

「・・・ですが、移動商だけは通行税の対象外です。良かったですね。」

「・・・」

喜んでいいのやら。だんだん分からなくなってきた。

「何で対象外なんですか?」

受付嬢は、斜め上を見上げて答えた。

「移動商には、それなりに危険性(リスク)があります。盗賊に合うかもしれない。生命の危機があるかもしれない。都市の出入りも多い。そういった理由が多く、都市でも対策しているのです。」


だんだん、恐ろしくなってきた。俺は将来が心配だ。夢の中だけど。

「印税、銀貨5枚になります。」

俺は革袋から銀貨を5枚取り出した。

受付嬢は許可証を丁寧に差し出してきた。

「これが、許可証になります。命を大切に。」

俺は羊皮紙を受け取ると、がんばります。と言ってギルドを後にした。

後ろから声が聞こえる。


「商人税と売上税は払ってね~~~」


俺は調子を崩してしまった。


**********************


頭の中で計算する。

銅貨1枚で100円だとするなら、銀貨1枚で2000円。それが100枚で、金貨1枚20万円。

印税、商人税で1万円ずつ。

売上が仮に金貨1枚なら、銀貨10枚の売上税。

・・・先が長そうだ。


俺は次に教会へと赴いた。商人グラハム氏の勧めだったからだ。

教会は都市にあることもあって大きかった。それこそ神殿だな。

中に入ると、ぽつぽつと祈っている人が見受けらえる。

俺は前の方へ行って、教会の牧師?に声を掛けた。

「これはこれは、どうされましたかな?」

「はい、今日、私は冒険者と商人になりました。どうぞ、神のご加護を(わたくし)めにお与え下さい。」

俺は(ひざまず)いた。

「おお、そうでありましたか。では、祈らせていただきます」

「ありがとうございます。」

牧師は優しそうな手を俺の頭に向けて、祈った。

「この者、汝の子にありて、これからの先立ちに汝のご加護がありますように。共にいらっしゃり、また侍ることのできる生活の中で、これ以上の喜びはありません。どうか、お導きを。」

最後の言葉は、アーメンではなかったよ。


祈りが終わった牧師は俺を立ち上がらせて、こちらにどうぞと奥の部屋に招いた。

「さて、冒険者と商人両立させるのも大変でしょう。こちら、聖水(ホーリウォータ)水薬(ポーション)。どちらかを差し上げましょう。」

「えっ、いいんですか!?」

俺は驚いた。だってこんなイベント、異世界モノには無かったし!

「もちろんですとも」

出来れば両方貰いたかったが、俺はもちろん聖水(ホーリウォータ)を選んだ。


**********************


教会も、行ってみるものだなあ。いい収穫もあったし。

俺は手にある聖水の瓶を見ながら、今夜の宿を探し出した。


その姿を目で追っているのは牧師だった。

「聖水を選んだか・・・。残念なことだ。」

教会には試練(テスト)がある。謙虚な人物であれば水薬(ポーション)を選ぶはずだ。

もし、ポーションを選んでいれば、教会の宿を貸すことができる。だがそれは叶わなかった。

「ご達者で。」


俺は今夜泊まる宿を探していた。

だがどこも満室らしく、なかなか空き部屋が無かった。

くそっ、異世界モノなら簡単に見つけられるはずだろう!?

今晩は野宿かなあと思った。


狭い路地を通り、その先を曲がった。

俺は人通りの少ない道を歩いていた。

すると左手に看板を見つけた。しかし見づらい。

よくよく見てみると、寝具のような象徴(シンボル)だ。宿屋のようだ。しかし中は満室だろう。

最後の希望を願って、俺は中に入った。

「いらっしゃい」

一階は食堂のようだった。

「一拍できますか?」

「できるよ」

「そうですか、それでは・・・え?」

「泊まれるよ」

「泊まれる!?ありがとうございます!」

俺は寝具に横になって寝れるのか!ああ、神様ありがとう!

そう思いながら感動していると、

「銀貨5枚」

「え?」

「前払いだよ」

不意を突かれて変な声が出た。しかし背に腹は代えられない。

俺は銀貨5枚を手渡した。

「夕食はどうするね?銅貨5枚だよ」

「頂きます!」

俺は久しぶりの食事にわくわくした。

夢の中だろうと、腹が減れば食べる夢も見らぁ!

「・・・上の左手にある部屋、空いてるよ」

「ありがとうございまっす!」

階段を上がって、左手の部屋を開けた。

寝具が置いてある!俺はジャケットを脱いで、荷物を机に置いて寝具(ベッド)に飛び込んだ。


ーーーバンッ


・・・硬えェ。


**********************


遠くから鐘の音がする。おそらく教会の鐘だろう。

俺はそれを合図に、少しは横になって休むことのできた身体を起き上がらせ、一階にある食堂に降りて行った。

そこそこ人入りがある食堂では、ご年配方が酒を飲んでいる。

俺は空いている長机(テーブル)に腰を下ろした。

木製の(プレート)が目の前に置かれる。パンだ。そしてスープ。なんとも簡素だ。

そして、硬い。噛み応えがある。

俺は満腹中枢を刺激して満たされるこの食事を美味しいと思いながら、空虚な目を虚空を見るようにして夕食(ディナー)を口に運んだ。

































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