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勇者になった日

9/19にHJノベルス様から1巻発売です!

よろしくね!!

 ボクは自分でもわかるくらい臆病だ。

 怖いものがたくさんある。

 動物が怖い。

 虫が怖い。

 水が怖い。

 雷が怖い。


 他人と関わるのが怖い。


 ボクはいろんなものが怖くて、逃げていた。

 だから、理解できない。

 こんなにも臆病なボクに、聖剣が宿ってしまった理由が。


「おばあちゃん……雨がひどいよ。こんな日くらい畑はお休みしたほうが……」

「ダメだよ。これ以上強くなる前に、畑を守らにゃいかん」

「で、でも……」

「安心しとき。なれとるから。シオンは部屋におればいい」


 そう言って大雨の中、おばあちゃんは畑に出てしまった。

 外は雨の音と、時折聞こえる雷の音だけが響いている。

 どっちも怖い。

 一人でいるのも怖くて、ボクは堪らずおばあちゃんを探しに行った。


 その時だ。

 雷鳴がとどろき、魔物の群れが村を襲った。

 小さな村で、魔物と戦う術なんてない。

 魔物が来たことだって初めてで、村のみんなは混乱していた。

 

「お、おばあちゃん!」


 ボクは走った。

 村のみんなも心配だけど、おばあちゃんが一番心配だった。

 ボクのことを育ててくれたおばあちゃん。

 いなくなったら、ボクは一人ぼっちになる。

 そんなのは嫌だ。

 こんな状況でも自分のことしか考えられない自分を情けなく感じる。

 だけど、それで精いっぱいだった。


 畑にたどり着いた時、おばあちゃんの周りに魔物が集まっていた。

 おばあちゃんは腰を抜かしてしりもちをついている。

 とても逃げられるような状況じゃない。


「おばあちゃん!」 

「シオン! 来ちゃいかん!」


 おばあちゃんは優しい。

 自分の窮地より、ボクの無事を安心して笑ってくれた。

 逃げてくれと、本心から言っているのもわかった。

 とても綺麗な心……。

 失いたくない。

 死んでほしくない。

 

「――助けなきゃ」


 その一言を口に漏らした直後、ボクの頭は真っ白になった。

 何分、何秒経ったのだろう。

 気が付けばボクの周りには、魔物の死体が転がっていた。

 右手には知らない剣を握っている。


「これは……?」

「聖剣」


 後ろから声が聞こえた。

 振り返った先に立っていたのは、見たことがない男性が立っていた。

 服装、立ち振る舞いから身分の高さが伝わる。


「そうか。お前が勇者か」

「勇者……?」

「ああ、その聖剣が紛れもない証拠だ。俺はアレクトス・デッル。この国の第二王子だ」

「お、王子様!?」


 まさかこの人が王子様だったなんて。

 とても不思議な人だった。

 心に雨が降っている。

 それなのに暖かくて、偽りのない笑顔を見せていた。


「村の方なら心配いらない。俺の部下たちが魔物を殲滅した。みんな無事だ」

「そ、そうですか」

「で、突然だが俺から提案がある」

「て、提案ですか?」


 彼はボクに手を伸ばす。

 

「俺と一緒に、王都へ来ないか?」

「王都……」

「ああ。お前の力が必要になる」


 この手をボクは、すぐにはとれなかった。

 臆病なボクには決断力がない。

 だけど、殿下の言葉に嘘はなくて。

 その心に雨が降っている意味に、少しだけ興味が湧いた。


 後にボクは殿下と共に王都へ行くことになる。

 勇者として。

【作者からのお願い】

実は私がいろいろ頑張った新作ラブコメが本日12/1に発売となりました!

ページ下部の画像をクリックすると購入ページにいけますので、興味ある方はぜひ見てください!

ラブコメだけど私が書くので、女性でもきっと楽しめるはずです!!


よろしくね~

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『残虐非道な女王の中身はモノグサ少女でした ~魔女の呪いで少女にされて姉に国を乗っ取られた惨めな私、復讐とか面倒なのでこれを機会にセカンドライフを謳歌する~』

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第一巻1/10発売!!
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― 新着の感想 ―
[一言] 夢中で読みました。 それぞれの心の葛藤、成長が丁寧に描かれていて私も傍に居るような幸せな時間でした。 第3章も物語の展開は勿論ですが、それぞれのこれから、も((o(。>ω<。)o))ワクワク…
[一言] これは完結なのですか? 一章、二章の後が五章なのですが、 三章、四章は公開終了という事でしょうか…?
[一言] 完結してないですよね? 完結済って表示あるからドキドキです。
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