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第4話

関所の街ジャリストンの屋台で売っているものは多種多様にある。


色々な肉が刺さった串焼き。

リンゴも串に丸ごと刺さったまま焼かれていて、甘い匂いを周囲に拡散してる。

熱そうなんだけど……火傷しそうだわ。

マシュマロじゃないんだから丸ごと焼くのは無いような…


とはいえ気になるので全部買ってアイテムボックスに放り込む。

サンドイッチも串に刺さったまま焼かれて焼きサンドイッチとなってる。

串に刺さってない方が食べやすいけどなぁー。

もちろん購入する。


上海蟹みたいなのが串に刺さって焼かれてるのを見たときは……え? って一瞬固まったわ。

串にこだわってんな。

串物フェスティバルでも開催されてるのかと周囲を見回すが誰も彼も平常運転。


俺の中でジャリストンは串物の街だとインプットしていいのだろうか。


ミカンみたいなフルーツも串に刺さって焼かれてる。

つーか、串物以外の飲食の屋台が異常に少ない。

スープとかドリンクやお酒を販売する屋台以外はほとんど串物。


ここまでくると強いこだわりがあるんだろう。


まぁ、美味しけりゃ何でも良い。

食べ物系の屋台は全て購入した。


屋台の次は飯屋だ。

色々と店内を覗いてみるが……決め手にかけるような店ばかり。

とっくにお昼ご飯の時間は過ぎてるし、ジャリストンで食べる気は満々なんだが……悩むな。


それと道行く人達を見てると鳥を肩に乗せた人達が異様に多い。

羽毛がモフモフしてて触りたくなってくるな。

鷲や鷹という大型の猛禽類を肩に乗せてる人もいるし文鳥のよう小型の鳥類も多い。


んー、他で見たことない変な街。


店の入り口の横にあるオープンカフェで美味しそうなサンドイッチを食べてる人がいて、この店でお昼を食べる事に決めた。


店の中は混んでいて席が空いてなかったので、店内は諦めて店外の空いてる席に座ると制服を着た女性がメニューを持って注文を取りに来た。


スモークサーモンのサンドイッチとスモークチキンのサンドイッチが両方あるダブルセットなるランチセットがあったので迷わず決めて注文。

逆にドリンクは少し迷ったが紅茶にした。


紅茶とコーヒーのどちらも美味しそうな香りが漂っていたのでちょっと迷った。

だけど……店員の説明によるとランチの紅茶はポットで出てくる。

ポットにはカップ2杯分の紅茶が入ってるからお得ですよと言う説明に思わず釣られてしまって注文。


注文したランチが届くまで外の道行く人達をボーっとしながら眺める。

人の流れは少ないのかな。

昼休憩の時間は過ぎているし、冒険者達が帰ってくる時間にはまだ早い。

時折、道行く人の肩に乗る小鳥が俺の座るテーブルに挨拶しに飛んでくる。

飼い主もハイエルフの座るオープンカフェのテーブルに飛んで行って、テーブルの上で粗相をして戻ってくるのに気付くと、血相を変えて謝罪しに走ってくるが、いえいえ大丈夫ですよと粗相の跡をクリーン魔法で消去。


鳥によっては俺の肩にとまり、俺の顔に全身を擦り付けてくる人懐っこいのもいる。

思わず笑顔こぼれてしまうな。


注文したサンドイッチと紅茶が届き食べてると、物欲しげに挨拶してくる鳥もいて可愛いのでサンドイッチのパンの端を千切って食べさせてあげる。

お礼に少し鳴いて帰っていく小鳥達。


賑やかだけど騒々しい程でもなく楽しいランチが続く。


猛禽類にはローストチキンやローストサーモンの端を千切って食べさせてあげた。


テーブルの上がわちゃわちゃしてきた。


ハイエルフと鳥類の相性の良さがあって次々と飛んでくる。

どちらも森の生き物だからね。

飼い主も次々謝罪しにくるのでテーブルの上も周りもわちゃわちゃだ。

カフェの店員も俺に何かの被害があってはと気が気でない様子。


龍の森の中には小鳥はいない。

強烈なまでの弱肉強食の世界で生き残れない。

俺が持ち込んだ小鳥なら話は違ってくるだろうが、そうじゃないなら無理だろう。


だからこそ今のこのわちゃわちゃした状況も楽しくて笑顔がこぼれる。


全部食べ終わり紅茶も飲み終わり席を立つと小鳥達も飼い主の元に一斉に帰っていった

美味しい以上に楽しかったな。

しかしいくら楽しくても口笛は吹けない。

街中の鳥達が集まってきそうでさすがに怖いし。


その後は雑貨屋や酒屋を(めぐ)りハイポーションを売って得た40万Bを使いきった。


帰ろうとしてるとフルプレートアーマーを装備した騎士が走ってきて、ジャリストンを管理する領主代行が挨拶したいようだ。

ここまでやってくると言ってるが、俺も用事は済ませてヒマなので騎士に案内されて領主の(やかた)へ。

美味しいコーヒーでも飲ませてよっておちゃらけて言うと後ろにいる騎士が先行で走って行った。


領主の館の中は俺が入ってきたことで物々しい雰囲気に変化した。

館の門を守る騎士達が俺の顔と長い耳を見て背筋が伸びるし。

緊迫感に溢れてしまった。

まぁ良いかと案内する騎士に続き館へと続く庭園の道を歩いていく。


館の中に入るとメイドと秘書達がずらりと左右に並んでビシッと挨拶。

『いらっしゃいませ』

普段から練習してるんだろう、綺麗に揃ってる。

騎士の1人が先触れとして先行して館へ戻っていたので、領主代行も正面玄関の真っ正面にある2階に続く階段前で待っていた。


案内してくれた騎士は玄関の入り口で片膝を着いて敬礼。

騎士の案内はここまでらしい。

領主代行から挨拶を受ける。


「わざわざお越しいただいて申し訳ございません。(わたくし)、領主代行をしております『グレタ・フォン・カラマンリス』と申します。領主代行としてこの街をおさめさせていただいている男爵です。」


ビシッと騎士服を着こなしている。

グレタという名前でわかる通りの女男爵。

凛々しくて綺麗でカッコいい……

いや、美しいだな。

真っ赤に輝く髪をオールバックの様に撫で付けて後ろに流し、腰まである長い髪をポニーテールで結んである。

長い髪は白い布で巻かれてバサバサならないようにある程度固めてある。


グレタ女男爵の後を歩いて2階にある領主執務室に向かう。

身長は俺より少し高いぐらい。

175ないぐらいかな。

しかし横幅と体の厚みはガッシリと分厚い。

腰にはサーベルをぶら下げてるが得意なのは槍だろう。

後ろから歩き方を見てるだけで槍の達人(マスタークラス)なのがわかる。


武道の達人だと歩き方も美しさに溢れてる。


執事が開けてくれたドアから執務室に。

執事が勧めてくれたソファーに座ると、執事は俺とグレタにコーヒーを入れ壁際までさがる。


スッスッと物音1つたてずに動いている。

陶磁器のカップとソーサーからカチャリと音もしない。

執事も美しい動き。

こっちは執事の達人って感じ。


執事がさがったので俺から話しかける。

「やぁ、グレタ男爵。僕の名前は『ホープラー』。見たまんまのハイエルフ。5年前から龍の森の王で龍王の依頼で調停者になった。まだ10才なんで悪いが敬語が苦手でね、グレタ男爵も気軽に話して欲しい。」

「流石にそこまで気軽にとはまいりません……が、柔らかく話をしましょう。」


俺がジッと見つめてると頬を紅潮させて、やっと表情も声色も柔らかくなった。


良かった良かった。

それからはグレタ男爵からの報告だな。


今回のニャル誘拐事件のあらまし。

捕まえた賊どもは何かに怯えるようにして全て正直に事件の事を詳細に話してるようだ。

まぁ、森の裁判に連れてくって脅したから仕方がないだろう。

こっちにも森の面子ってのがあるからね。


エッシェンバッハ辺境伯家への自爆テロ未遂事件。


首謀者はエッシェンバッハ辺境伯家の政敵にあたる……『ヴァルダルアシュート侯爵家』


アーリンドル王国内部の政争かよと思わず顔をしかめてしまった。


どちらの家も歴史が古く国の成立からの成長と共に発展してきた正反対の家。

エッシェンバッハ辺境伯家は龍の森の近くに領地を持つことから、軍事に強く数多くの軍人を輩出してきた。


対してヴァルダルアシュート侯爵家は内務系の家で計算に強く、アーリンドル王国会計局を創立当時から牛耳ってる名門らしい。

ただ、政敵で争っているとはいえ両家共にアーリンドル王家に忠誠を誓ってる事が根本にあるので、支出を押さえたいとか予算を多くしたいとかの争いであって、お互いの言い分はお互いが理解してる。

お互いの能力の高さも理解してるって話。


大人の争いなんだと。


ただ、今回の問題は物事の表面の上っ面だけを見てる『ガキ』が首謀者となった。

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