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プロローグ

鬱蒼(うっそう)とした森の中で目覚めた。


目覚めてすぐに自身の手を確認をするが俺が要求した通りに小さくてスベスベした手。


5才ぐらいの頃の男の子の手だ。

懐かしいな。

毎日の何もかもが眩しく輝いて……全力で遊んで学んでいた頃を思い出す。


ここから俺の再スタートだな。


もう地獄……地球はこりごりだわ。


アイテムボックスから取り出した服に素早く着替えると、一緒に取り出した革のブーツを履き、ポンチョのようなローブを上から羽織る。

軽くジャンプすると10メートルほど飛び上がり、隣に立つ巨大な樹木の中頃の枝に飛び移る。

樹木に魔力を流すと枝が横に広がり、手すりまでついたベッドに早変わり。

アイテムボックスから取り出した布団を敷いて結界を張り……では、おやすみなさい。

夢うつつとなりながら怒涛の今日に思いかえしながら。



・・・少し時を巻き戻す・・・



ブラック企業の恐ろしいところは…


『気付いた時には手遅れ』


でしょうね。

目覚めて気付けば自分自身の顔を部屋の天井付近から見下ろしていた。

とりあえず、これを『目覚めた』と言えるのかはさておき、自分自身の顔は安らかな死に顔なのかな? と言えるような気がする。

血の気が全く無く真っ白な顔をしてるが。


寝る前の頭痛がひどくて、こめかみかキリキリしていた。

だが、もはや日課となっているからなのか、激務の疲れから来る睡眠欲に意識を手放して寝たはずなのにな。


朝が来る前に目覚めたと思ったら、永遠に寝ることになっちまったか。


苦痛から解放された安堵よりも…

『あの仕事、中途半端な状態だからアイツに迷惑かけるな』

などと、もはやどうにもならない事を心配している辺りが

『ブラック企業脳に犯されてる』

んだろう。


こんな自分に少し悔しく思う。

ろくな人生じゃないね。


自分自身の穏やかな死に顔を見下ろしながら、自分が死してなお染まり続けるブラック企業脳に嘆いていたが、何かに引っ張られるように自分が上へと上昇していく。


上昇してる感覚が無いから景色が下に流れて行ってるようだ。


ん?

こういう時って走馬灯じゃないんだね。

走馬灯で思い出したくもない人生だったので助かるが。

俺って天国に行けるのか?

違うな。

産まれてからついさっき死ぬまでの生活がろくなものじゃなく、今いるこの世界は『地獄』だと考えていたので、地獄から救い出されたのかな。


そう考えると地球はやっぱり『地獄』だろう。


宇宙に飛び出ること無く、自分自身の姿が薄くなってから消えて、何もかもが真っ白な光の世界に引っ張られた。



天国に行くのはこんな感じ?



はたまた、違う地獄に落とされるのだけは勘弁してと願いながら。



真っ白な光の世界に自分の意識だけが漂う摩訶不思議な状態でどうしたもんかなと悩んでいたら、突然思念が送られてきた。


【おやおや、また地球の日本人の過労死か。勘弁してよもぅ。こんなとこにはぐれてるじゃん。】

「え?」

【んお! 君は珍しいね。転移者だったんだね。】

「ん、え?」

【しかもここまでも存在が残ってるほどのハイパワー。いやいや珍しいにも程があるよ】

「え?」

【噂には聞いてたけど、僕は初めて見たよ。へー、ふむふむ。】

「・・・」

【げ! いくつもの世界を救ったご褒美のボーナスステージで過労死してんじゃん。誰だよこんなエグい事すんのは。こりゃ上司に報告する必要あるなぁー。】

「ボーナスステージで過労死ですか?」

【うおぅ! 意識まであるの? 今までの僕の独り言聞いてた?】

「とりあえず。質問しても良いですか?」

【良いよ。なんでも聞いて。】

「ここどこですか?」

【ここは簡単に分かりやすく言うと次元の狭間。君みたいにヒドイ過労死とかしちゃうと輪廻転生からスルッと外れて、入ってきちゃう場所なんだよね。だから僕は監視パトロールしてたんだよ。】


おお、やっぱりヒドイ過労死だったんだ。


色々質問した結果、俺は前世どころか輪廻転生で数々の世界に平和をもたらし、ご褒美のボーナスステージで穏やかな生活するはずが、どこかバグって地球で過労死しちゃった超絶不幸な被害者らしい。


俺に物凄く謝罪する彼? 彼女? は幾多の世界を管理する『管理者』の上級幹部でパトロール業務中らしい。

性別は無いので彼か彼女かは不明だ。

俺に聞こえてくる声のような思念もアニメの声優みたいな中性的で男女の判別不能。


管理者とは地球だと変革をもたらすほどの力を使える『世界を管理する者』のようだ。

ぶっちゃけ神様で間違いなく、人類滅亡なんか片手間でできるレベル。


【で、相談なんだけど君はどうしたい? 管理者見習いぐらいにならすぐになれるぐらいの功績があるから……でも今の君にオススメできる仕事じゃないね】

「え?」

【はっきり言って君が過労死したぐらいの仕事量が管理者見習いにはあって、管理者になるには百年ぐらいはかかるんだよね。

管理者にランクアップしてもそんなに仕事量は減らないし……君の感覚からするとブラック企業の社畜なんだよな。】

「それは勘弁して欲しいです。」

【だよね。管理者見習いになると『疲れる』って事が無くなるから精神だけがすり減っていってねぇ。】

「やっと解放されたのにもうあの地獄に戻りたくないです。」

【本来はお疲れ様と癒されるためのボーナスステージを経てからの管理者見習いなのに、君の場合はすっ飛ばして地獄から地獄への直行になるからね。】

「散々な地獄を長いこと我慢してきたんで、とりあえずはゆっくり生活してから、のんびりしたいですね。」

【だよね。申し訳ないんだけどボーナスステージのやり直しになるね】

「良いんですか? できるならお願いします。」

【良いも悪いもないよ。君が本来経験するはずのボーナスステージが一切無かったのはこちらのバグが原因であって君に落ち度は無いんだから。ちょっと待ってて。今、上司に確認と許可をもらってくるよ。】


ふっと思念が消えた。


……良かった。

今度の人生はのんびりと生活できるのが確定らしい。

しかもボーナスステージ人生が確定らしいから……

異世界でチートな能力とかもらって森の中で夢に見たソロキャンとかできるんかな。


などと妄想を膨らませていたら、思念が俺に飛び込んできた。

今度は2人分。


【僕からの報告を聞いた上司が君に謝罪したいって。】

《話を聞いたよ。誠に申し訳ない。私は『総合管理官』で、彼の上司だね。》

「いえいえ、貴方のミスじゃないですし」


管理者は『彼』でよかったみたいだな。


「ボーナスステージのやり直しはOKなんですか?」

《もちろん、それは間違いなく。彼の報告を受けて調査した結果、色々な手違いとバグが重なったようで、次回の君の人生は僕が責任を持って最終確認をするよ。では、任せるよ。》


上司の思念が消えた。


それからは俺の要望を管理者の彼とまとめる作業。

異世界転生で年は5才ぐらい。

言葉の問題、文字の問題などは全部クリアー。

ちなみにチートはもらえなかった。

ってより今まで全部の前世……何度も繰り返し輪廻転生した時に獲得したスキルや技術、更には獲得したアイテムや装備等々が備わった状態で異世界に行けるんで、今さら追加しなくても良いそうだ。


俺の『森の中でソロキャンしたい』という要望から……更に好きなだけ生きられるように寿命が存在しない特別な『森の王』ハイエルフとなって、森の中からのスタートになる。


使命なんて何もない。

世界平和もご自由にどうぞ。

勇者や魔王や天使や悪魔、魔族に魔獣に妖精に恐竜、更にはドラゴンなども混在するごちゃ混ぜの世界で何をしても良いらしい。

魔族を滅ぼし全人類を虐殺してもOK。

自分自身が持つ全ての魔力を使いきればリセットすら可能。


コンテニューすら良いのかよ。


英雄・魔王・覇王・勇者・賢者・魔導師・ビーストテイマー・忍者等々過去の輪廻転生で全て経験してきてるから、訓練すら必要ない。


正真正銘の『ご自由にどうぞ』


異世界転生する前に知識とついでに俺の名前ももらった。

地球での名前を捨てて新たな人生をリセットして歩むため。

そして変な名前で浮かない為に。



俺の名前は『ホープラー』名字はない。


森の王で5才のハイエルフだ。

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