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転生守銭奴女と卑屈貴族男のお忍び旅行事情 12

 わたしとディルミックの間に、長い沈黙が流れる。

 えっ、この言い方って、もしかして、いや、もしかしなくても、もっと子供が欲しい、っていう……ことだよね?


 男児を二人と女児を一人。

 それがディルミックとの契約だった。


 契約をしたときは、子供なんて授かりもの、性別を産み分ける自信はないし、そう簡単に思い通りに産めるとは思っていなかったが、運がいいのか、長男、次男、そして長女と三男の双子、と見事に契約通りの数産んでいる。


 それから、ディルミックは手を出してこなくなったから、てっきりもう満足したと思ったん、だけど……。


「い、嫌なら構わない。これ以上は、契約外だし……いや、そうだな。僕と結婚しておきながら、子だくさんというのも、あまりにも外聞が悪い……。すまない、今の言葉は忘れてくれ」


「ちょ、ちょ、ちょっと待ってください!」


 唐突なディルミックの要求を、何とか理解しようとしていたら、黙っていたのを否定と受け取ったらしいディルミックが、一人で勝手に納得していた。わたしは慌てて待ったをかける。


「その……なんていうか……。と、とりあえず、子供を産むことに、反対したいというわけではないんですが……えっと……」


 わたしは言葉を探す。


「――……まだ、わたしのこと、抱けるんですか?」


 わたしの発言を聞いて、びしり、とディルミックが固まってしまったのを見て、あ、言葉を間違えたな、と思った。いや、だって、とにかく何か言わなきゃ、と必死だったんだもの。

 ディルミックがショックを受けたような顔をして、わたしの手を離したものだから、わたしは慌てて手を振りながら話をつなげた。


「や、その、違うんです。いや、遠からずってところでもあるんですけど。だって、ほら、ジェリーナとジェリクが生まれてから、セッ……、よ、……その、そういうこと、してこなかったじゃないですか」


 結構期間が開いたからだろうか。なんだか、露骨なワードを出すのが、妙に気恥ずかしかった。


 でも、双子が生まれてから、ディルミックと、そういう意味で共寝することはなく。子供を予定通りの数を産んで満足したか、わたしのことを家族と思うようになって、性的興奮の対象ではなくなったのかな、とか、思っていたのだ。

 でも別に、それって普通のことなんじゃないのかな、と、責めようとか考えたこともない。父親として、ちゃんとしてくれているし。よくある話だよね、と。


 ――が。


「……僕は、ずっとロディナに、また触れたいと思っていた」


 ディルミックの言葉に、その表情に、それがわたしの勝手な思い込みだったことを、今、初めて気が付いた。

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