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転生守銭奴女と卑屈貴族男のお忍び旅行事情 06

 馬車が到着したのは、一件の屋敷。屋敷、と言っても、規模はそこまで大きくない。わたしたちが住む別館くらい……いや、子供が生まれて増築した分、いつもの館の方が大きいくらいだ。

 社交界には必要最低限しか参加しないため、王都に別荘はないものの、領内には何か所か別荘があるそうだ。こうして、地方を視察するときに利用するらしい。


 年に数回使うか使わないか、という別荘なんてもったいない……と思ったのだが、貴族が泊まれるレベルの豪華なホテルを各地に建てる方が無駄なのかもしれない。貴族が泊まるクラスの高級ホテルを、一般市民が簡単に使えるかというと……。


 王都だったら、他にも貴族が使うだろうから経営は成り立つのだろうけど、一つの家しか使わない、というのならば、逆に別荘の方がいいのかも。

 馬車を出迎えてくれた使用人の数も、必要最低限、といった風だ。まあ、年に何度かしか使わないなら、そう何人も必要ないしね。別館の使用人も必要最低限しかいないので、こっちの方が落ち着くくらいだ。


「さて――少し休むか? 僕の仕事は明日からだから、これからなら、少しだけ街を案内できるが……」


「――っ、行きます!」


 わたしは思わず食いついた。


 時間はちょうど昼過ぎ。お昼ご飯を取るには遅い時間だが、もう夕方だからと街を出るのを諦めるには早い。

 道中、一晩宿に泊まる必要があったくらいにはなかなか遠い距離を馬車でずっと移動していたわけだが、せっかくディルミックと一緒に街を歩けるのなら、多少疲れていても行きたい。


 仕事が終わったら一緒に街を散策する、という約束ではあったが、それより先に一人で回るのはなんだかつまらないな、と思っていたのだ。せっかく新しいことを知るのなら、隣にディルミックがいてほしい。


「……分かった。では、支度をして街に行くとしよう」


 ディルミックは少し笑い、そう言った。いかにも貴族、という恰好ではなく、平民の服装で街に行くらしい。まあ、ディルミックの仮面って、すごく目立つものね。


 平民の変装でも、顔をどうにかして隠すのだろうか? マスクとか? でも、あれって、今世だと医者以外がつけているところ、見たことがないけど……。ガーゼとか貼り付けて、顔を怪我している風を装うとか?

 部屋を案内され、着替えながら、そんなことを考える。屋敷の敷地内では顔を隠さなくなったとはいえ、外では昔と変わらず顔を隠しているディルミック。


 一体、平民スタイルだと、どういう風に顔を隠すんだろう……?

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