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転生守銭奴女と卑屈貴族男の本館事情 04

 ドレスの裾……ドレスの裾? それにしては少し、生地が薄いような……。

 でも、ここのメイドの服って、スカートの裾、こんなにひらひらしてないよね。ミルリやノルテの着ているメイド服は、こんなにも分かりやすいフリルはついていない。


 本館の方のメイドは違うのかな……? とはいえ、チェシカやエルーラも同じデザインだったよね。でも、本館勤務と別館勤務で完全に服を分けて、普段本館勤務のチェシカやエルーラでも別館のときは別館のメイド服を着るっていう可能性も……ゼロじゃないな。


 義叔母様が来るという話は聞いていないけれど、わたしと義叔母様の交流があることは別館勤務ならば全員知っているはずだから、こうして庇われる必要がない。


「大奥様、お体に障ります。一度、お部屋に――」


 ノルテの言葉に、わたしは思わず、スカートの裾に落ちていた目線を上げた。ノルテよりも身長が低いのか、顔を見ることはできなかったけど……今、大奥様って言った?

 大奥様、ってことは――ディルミックの母親、ってことだよね?

 え、今、ノルテを挟んで、その先に、ディルミックの母親がいるの? 本館の部屋にこもっているんじゃなかったのか。


「あの人のための花を少し貰ったら戻ります。それより――そちら、どなた?」


 気を病んでいる、というから、もっと弱々しい印象を受けると思っていたが、想像よりもずっとしっかりした声が聞こえてくる。


 大奥様、とやらがわたしについて尋ねた瞬間、ピリ、と空気がひりついた。元より、彼女が現れたことで、ノルテの背中からはひしひしと警戒心を感じていたけれど、それがかなり強まった。


 ……もしかして、これ、わたしがディルミックの嫁だとバレたらやばいのでは……?


 すんなりノルテが答えない、というのであれば、わたしがディルミックの嫁だということは言いにくいことのはず。だって、別に言っても差し支えないのなら、言えばいいだけの話なのだから。


 ノルテ的には、大奥様を刺激したくないのだろう。穏便にやり過ごしたいはず。

 でも、ディルミックの母親に、誰か、と問われたら、ノルテの立場ならば、はぐらかすことは難しいに違いない。雇い主の一家の人間が問うているのだ。しかも、そんなにおかしな質問でもない。

 問題は、どのくらいディルミックが情報を遮断しているのか、である。結婚したこと自体言っているのか、言っていないのか。結婚式に出席していない以上、そもそも知らないのかもしれないし……。


 もし、ディルミックと結婚しました! 子供もできてます! なんて言おうものなら、嘘つくんじゃないわよ! って暴れるかもしれないってこと?

 ええい、どう説明するのが正解なの!?

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