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転生守銭奴女のメイドと卑屈貴族の護衛の恋愛事情 01

ミルリ目線のミルリメインの番外編。本編少し前からスタート。

 炎のように真っ赤な髪。


 雪のように白い肌。


 異国人である母の血を色濃く継いだこの特徴が、わたくしは死ぬほど嫌いだった。


 髪の色はともかく、褐色肌の人間ばかりのグラベインで色白な人間は、かなり目立つ。母のように、他国からこの国へ来る人もいるから、全くいないわけじゃないが。

 長時間、日光に照らされていると肌が黒くなる、というので、何度か試したことがあったが、赤くなってしまうばかりで、他の人と同じ褐色肌に近付けたことはない。


 毎朝、鏡を見るのが憂鬱だ。この世界で、醜いと言われる女は、男と違っていないはずのに、どうしても、お前は醜いと、鏡に言われているような気がして、たまらないのだ。


 ――だから、こうして、使用人室の洗面所を掃除するのは嫌なのに。


 わたくしは、溜息を吐きたい気分で、鏡を拭く。使用人室の掃除は、別館の使用人での交代制。本館と違って、人数が少ないからすぐに順番が回ってくる。

 仕方のないことだと言えば、仕方がない。


 この館にいるのは旦那様一人。その旦那様は、ほとんど一日中部屋にこもって仕事をなさっているので、この別館の管理に、そう人数はいらない。

 今は料理人が二人と、メイドが三人、執事が一人。たったそれだけの人数で足りてしまっている。

 むしろ、メイドが一人余り気味なくらいだ。日勤一人、夜勤に一人。予備で一人。その予備の仕事がなくて、基本的には本館の仕事と兼任している。一応。


 ……でも、そういえば、四人目の奥様が来ると、執事のセヴァルディが言っていた。なんでも、隣国からやってくる、平民らしい。

 わたくしと同じ平民が、辺境伯の奥様。同じ平民なのにずるい、なんて嫉妬はしない。

 旦那様の奥様は最初から平民ばかりだったし、たとえ貴族の妻になれるとしても、相手が旦那様なら、こうして下働きをしているほうがずっといい。


 それにしても、新しい奥様、か。今度は長続きするんだろうか。使用人の分際で、そんなようなことを考えてしまう。

 でも、三人だ。三人にも逃げられてしまったのだから、四人目もどうせ同じだろう、と思ってしまうのも無理はない。


 まあ、どんな人でもわたくしがやることは変わらない。業務を遂行する。それ以上でもそれ以下でもない。

 わたくしは洗面所の掃除を終え、休憩室へと戻る。全員仕事に行っているはずだから、共用の休憩室には誰もいないはず。


 そのはずなのに、一人、椅子に腰かけている男がいた。人がいるとは思っていなかったから、少しばかり驚いてしまった。

 しかも、使用人室になかなか出入りしない、旦那様の護衛であるハンベルがここにいたのだから、余計に。

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