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転生守銭奴女と卑屈貴族男の二年目結婚記念日事情 01

本館事情の少し後。

「――ロディナ、これを」


 お義母様の一件があって少し後。あれからは特に変わりなく過ごしていたある日の午後、ディルミックが小箱を渡してきた。片手にのるくらいの、さほど大きくないやつ。

 ディルミックが何かしら渡してくるのは珍しくないけど、わたしがアクセサリー類にはあまり喜ばないのを知っているからか、プレゼントにくれるのは茶葉ばかり。確かにそっちの方が嬉しい。

 でも、明らかに茶葉が入っている感じの箱ではない。


「開けても?」


「……ああ」


 どことなく緊張している様子のディルミック。わたしまでなんだか落ち着かなくなってきた。

 箱の中に入っていたのは紫色が綺麗な宝石だった。原石ではなく、綺麗にカットされているものの、宝石に詳しくないわたしはなんの種類か分からない。元の世界にもあったものなのか、それともこの世界にしかないものなのかすら。


 ただ、結構大きいサイズだ。このまま指輪とかにしたら、逆に玩具っぽくなっていかにも偽物みたいに見えてしまうだろう。ブローチ……にしたところで、ちょっと下品に見えてしまう。そのくらいのサイズ感。


「これは……?」


 何か、これでアクセサリーを作るのだろうか。これだけ大きければ小分けにして結構いろいろ作れそう。綺麗にカットしてあるのをさらに砕くのはもったいないけど。

 また何か出席せざるを得ないパーティーでもあるのかな、と思って首をかしげていると――。


「その――……更新料だ」


 ――なんて、少し、歯切れ悪くディルミックが言うものだから、わたしは驚いて宝石を落としそうになってしまった。


「こ、こうしんりょう」


「ああ。もう、君がいなくならないことは分かっているが――何か贈りたくて。君は誕生日を祝うように、記念日も祝うのかと思ってな。換金するならばそれなりの金額になるだろうから、好きにしてくれて構わない」


 更新料、なんて話を、以前にしていたのをわたしは思い出す。あれ、本気だったのか。

 それで、プレゼントにもお金にもなる宝石を選んだのか。そう言えば、ちゃんと手入れをすればお金になる宝石はそれなりに好き、と言った記憶がある。


 いや、勿論貰うけどね? ディルミックの方が大切になっただけで、お金が大好きなのも大切なのも変わらない。

 相対的に順位が下がらざるを得なかっただけで、お金『なんか』よりも大切なものがある、とは流石に言えない。お金は大事。貰えるなら貰って――……更新料? 記念日?


 はた、とその言葉に引っかかりを覚え、わたしの思考は停止する。

 そして、脳内で数を数え気が付く。


 ――もしかして、今日、二年目の結婚記念日だったりする?

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