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憲兵の犬  作者: 豆太
12/26

12やっと町についた件

「お前たちは、とりあえずその臭え服を着替えてこい。

 俺は荷馬車の手配に行く。こいつはモリスが連れとけ。」


町に着くとそういって隊長は馬舎の方へ去っていった。


「あんな大きい声で言わなくてもいーじゃんか。なぁ?」

メリィちゃんの耳に入ったらどうしてくれる とビッツが恨みがましそうに隊長の背中を見やる。


「メリィさんはそんな事気にしないさ。」

僕は少し面倒になってきたので、自分でも疑わしいと思いながらも適当な言葉を並べる。


「だよな!寧ろ優しく慰めてくれるかも!母性本能とか? 刺激しちゃうかも!」

と元気を取り戻すビッツに、

年下の女の子になんてもの求めてるんだ。と心の中で突っ込みながら角で別れた。



「17歳の女の子に、母性本能とか。ビッツ無いわー。」

一人呟きながら、後ろを確認すると犬はちゃんとついてきていた。

キョロキョロと物珍しそうに、町を見回し時折静かに尻尾を揺らしていた。

屋台の前も通ったのだが、食べ物の匂いに釣られていくわけでもなくついてきていた。

ずいぶんしつけの行き届いた犬だ。


それにしても、この町を初めてみるような様子。

もしかして、この町の犬じゃなかったんだろうか?

それとも屋敷から出してもらった事がないのか。


一瞬、別の町の迷い犬を更に迷わせてしまったかもしれないと不安になったが、

あの森の近くに他に町は無い。


多分、箱入りなんだろうなぁ と思いながら歩いていると

僕の住む家についた。


地面に突き刺さっている金属で出来た長方形の箱である。

古代の遺物で、当時はこの箱に荷物を詰めて運搬していたらしい。


運搬時に落下したのか綺麗に垂直に地面に刺さっているこの箱に、

ドアやらなんやら色々取り付けられている。

この至って普通の家が僕の家だ。


さて入るか、と玄関に手をかけた時

聞きなれた声に僕は振り返った。


「あらぁ、モリスさん。こんにちわ」

こんな時間に珍しいのね、と耳にウェーブのかかった濃い金髪をかける女性が

サラサラとした白い長毛が美しい犬と立っていた。


今日も豊かなバストと引き締まったくびれのコントラストが眩しい。

お隣のミネルダさんである。


今この状態で、一番会いたくない人に会ってしまった。

どうしよう。どうしよう。


ビッツにはああ言ったけど、僕だってこんな状態を知られるなんてごめんだ。

優しいミネルダさんは、引いたりなんかしないんだろう。

メリィさんとは違う、本物の大人の余裕で

大変だったのねと気遣ってくれるのかもしれない。

かもしれない。ではなくきっとそうなんだろう。


ビッツと違って僕はそんなの嬉しくない。

僕は恰好をつけたいタイプなのだ。


お願いだから近づかないで。

彼女がこちらに近づいてくる気配を察して焦った。


「こ、こんにちわ!ミネルダさんはお散歩ですかっ?

 僕はちょっと、家から持ってくるように言われたものがあるんで、

 取りに戻っただけなんです。すいません、今はちょっと急いでるんでまたっ」


ペコペコと頭を下げながら僕は一方的にまくしたて、ポカンとしたミネルダさんを尻目に慌てて家の中へ逃げたのだった。


読んでいただきありがとうございます。

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