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「して、手紙を書くと言っても一体何を書けば良いのやら。」
「お返事と言っているので、まおうさまの近況でもお伝えしたら良いのではないですか?
もしくはゆうしゃが気になっているスライムについてとか。」
「ふむ。
森林部ということはストーンスライムやウッドスライムなどがおるか。
いっその事、ゴツゴツしたストーンスライムの肌触りが心地よいものとでも書いてやろうか。」
「別に止めは致しませんが、それで恨みを買うのはまおうさまですよ?」
「それは困るな。
いや、勇者に嫌がらせをすることは良いが、より一層恐ろしい手紙が届くとしか思えぬ。
どうにか奴にダメージを与えるような内容を。
その上こちらへの被害が少なくなるような・・・」
「そんな欲張りなことは無理じゃないですかねー。
素直に近況報告で良いと思いますが。」
「魔王がそんな生温いことできるものか。」
「ゆうしゃにビビってる時点でどうかと。」
ここは魔王城。
選ばれし精鋭・幹部ひしめく、魔王の最終決戦地。
その最奥たる謁見の間にて、魔王と魔物の相談は続く。