プロローグ
神が本当にいるのならどうか私を殺してください。
「毎日毎日飽きないね」
「…悪かったな飽きなくて」
「せつな君はもう少し神を嫌うべきだよ」
俺が妹の零を殺してから丁度十年、そろそろ神からの天罰が来ても良い頃だと思っているのに、相変わらず無能な神様は俺を生かし続ける。
「無理だって君は神からの祝福を受けてるんだ、君にはこの世でやらなくてはならない事があるんだよ」
「何度と言ってるけど神の使いなんてやらねぇし、天使の使いも悪魔の使いも人間の使いも俺はやらない」
「むりだって」
「るせぇくそ天使」
けたけた笑いながら俺の回りをくるくる回っている翼の生えた天使、名前もベールで隠されている為顔だって知らない、十年前俺が零を殺してら姿を表した天使。
「まっ良いけどさぁ、でも丁度良い機会だし言っておくよ、天使はね神様とも悪魔とも、人間とも手を組んでない」
「ならお前はなんだ」
「天使だよ、世界の理が産んだ世界の為に産み出された君達のような、異形の物を導くもの」
「導く」
俺の前に来ると十年見せなかったベールの中の顔を見せるとけたけた笑いながら両手を大きく広げた。
「頃合いだよ!せつな!十年立ち君が零から抜き取った力は開花する!君はこれから神殺し悪魔殺しを行うんだ!君はね!選ばれた十の花の一つなんだよ!」
天使がそう言いきると俺は血を吐き出した、それはもう致死量の血を、驚きと苦しさで絶句している俺の事をけたけた笑いながら天使は見守っている。
「あはは、やっぱりすごいよせつな!君の力は!」
俺が吐き出し続ける血の中から水晶玉が現れた。
その水晶はみるみるうちに小さくなりやがてビー玉サイズまでになった。
「ふ~ん透明か面白いな~」
天使はそのビー玉を手に取るとかぱりと口の中に入れて味わうように飲み込んだ。
「お前っ…ぐっ」
「せつな落ち着きなよ血からの種を出したばっかだ、開花するまでちょっと休んでなよ、後々零の事も教えてあげるから」
ニィと天使に似合わない笑みを浮かべながら血の味がするキスを送ると俺の意識は闇に沈んでいった。