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恋するバレンタイン・キック  作者: 三ツ星真言
8/50

破戒僧め

「おい、遅いぞ。親を待たせるとは、お前・・・・」

 季久美さんと話し込んでいてすっかり遅くなった僕は、

父親と待ち合わせの場所、未来書房に行った。

 よっぽど僕の顔が怖かったのか、心配になった季久美さんも、

僕についてきたんだけど、父親は時間に遅れた僕を怒るどころか、

季久美さんを見て、言葉を詰まらせた。

「エリカ・・・・」

 その時、父親が呟いた言葉を僕は聞き逃さなかった。

「初めまして。不良に絡まれていた私をこの駆磨君に助けて

もらいました。どうか、叱らないで下さい。」

「へえ~、こいつがね。そりゃあ、どうもご丁寧に。」

 この破戒僧め。若くて綺麗な女の子を見ると、途端に愛想が

良くなる。ちょっとは、息子を褒めろ。

 心配だから、送って行くという父親の誘いを神対応というのか、

丁寧に断り、季久美さんは颯爽と去って行った。

 そりゃあ、そうだろうよ。でも、ちょっと惜しいような気がした。

 それから僕たちは、父親の運転する大型の四駆で帰ったんだけど、

上機嫌の父親に対して、僕はずっと助手席で黙り込んでいた。

 今日はやけに猪鹿町への道のりが長い気がする。雪景色を見ても、

ちっとも胸が弾まない。

「おや、今日はやけに静かじゃないか。あの女の子のこと、

考えているのか。」

「・・・・・・」

 何も知らない父親のイジリも無視する。僕は、ポケットの中の

季久美さんにもらった義理チョコを握りしめていた。

「今は、我慢だ。事故られても困る。うちに帰ってからだ。」

 僕は、心の中で呟いた。


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